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水中写真連載 So Blue
嫌いも好きのうち? アジアコショウダイは「ぶ厚い唇」の個性派
2023/3/22 06:00 890文字アジアコショウダイです。英名は「(Oriental)Spotted sweetlips」。直訳すると「(東洋の)小さな斑点がある甘い唇」。英語の「sweet」は味覚だけに限らず「かわいらしい」や「すてきな」といった意味もあります。海外映画などで、恋人に使う場面もありますね。 横から見ると、暗褐色の
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奄美で出会った大きな恋 北上するザトウクジラの繁殖域
2023/3/8 06:00 1428文字ザトウクジラに、ぎょろりとにらまれました。クジラと泳ぎ目が合うと、優しい目に魅了されるのに、今回は勝手が違いました。 ◇ 冬には珍しく、鹿児島県の奄美大島に南風が吹いた日、強風を避け島北側の東シナ海でクジラを探していました。「魚群探知機では、水深25メートルの海底に大きな影が映っている」と船長
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人懐こい軍帽姿 乱獲で絶滅危惧、ナポレオンフィッシュ
2023/2/22 06:00 1031文字ふてぶてしい、ったらありゃしない。ヒトの斜め後ろから脅すようにぬっと現れ、大きなコブの下にある目をくりくり動かしながら、顔をのぞき込んで泳ぎ去るのです。最大で2メートルにもなる大きなサカナが、顔のすぐそばを通るので、びっくりしたヒトの方がのけぞってしまいます。 ◇ この大胆なサカナは「メガネモ
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愛情表現? 実はけっこう痛いホンソメワケベラの「キス」
2023/2/8 06:00 1020文字小さなサカナが「チュッ」としています。大きい魚は思わず「あっ」と言いながら、照れているよう。もちろん、バレンタインデーが近いからというわけではありません。 小さい方は「ホンソメワケベラ」で、全長約10センチ。大きい方は、平たい体形で体高約30センチの「ツバメウオ」です。 ◇ 異種間でのほほえま
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いとおしい「ウサちゃん」は地球にとって大切な存在
2023/1/25 06:00 955文字新年を迎えた各地の水族館では、その年のえとにちなんだ海洋生物を展示することがあります。今年は卯(う)年なので、英語で「ラビットフィッシュ」の名前を持つアイゴの仲間やウサギのように目が赤い「マンジュウイシモチ」、貝の一種「ウミウサギ」などが多いようです。 ◇ ここでは趣向を変えて、ウサギのような
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海で見つけたお正月 ニラミギンポの福笑い
2023/1/11 06:00 871文字まだ正月気分を味わっていたい皆さま、新年最初に紹介するのは海の「福笑い」です。 ◇ 「ニラミギンポ」が、岩の隙間(すきま)から顔をのぞかせ、目をあさっての方向にくりくり動かしています。おかめやひょっとこの目鼻を並べる正月の遊びのような、ヘンな表情です。 にらむというより笑わせているようにしか見
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まるで冬の妖精 ダイバーに人気の半透明のツノザヤウミウシ
2022/12/28 06:00 907文字水中の風景には見えないかもしれません。雪原で、冠雪したモミの木にしがみついて吹雪に耐える冬の妖精のよう。 大きさはわずか2センチほど。半透明の白い体に、黒い筋と先端のオレンジ色のアクセントがおしゃれ。つかみどころのない不思議な存在です。 ◇ 水温が下がり始める晩秋に姿を現し、春ごろまで見られま
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巻き貝が産む「海のワイングラス」 見つけられれば幸運
2022/12/14 06:00 871文字クリスマスやお正月が近づき、ついお酒に手が伸びてしまう季節になりました。ワインなどはいかがでしょう。 といっても、ここは海の話題です。残念ですが、飲むことはできない「ワイン」を一献。 ◇ ダイバーに「ワイングラス」と親しまれている、ナガサキニシキニナという小さな巻き貝の卵です。ロゼワインのよう
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「白鯨」のモデル マッコウクジラの結石が生み出す高貴な香り
2022/11/23 06:00 1176文字世界最大のコーヒーチェーン店と、1962年に亡くなった俳優のマリリン・モンローさんが愛用した香水には、共通点があります。さて何でしょうか。 ◇ 答えは、マッコウクジラ。今回の主人公です。 コーヒーチェーン「スターバックス」の名称は、19世紀の米国人作家ハーマン・メルビルが著した「白鯨」の登場人
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サンゴ死滅 「100年後の海」に潜ってみたら
2022/11/18 14:00 1068文字「未来の海」に潜った。東京・竹芝ふ頭から約150キロ、伊豆諸島の式根島(東京都新島村)にある御釜(みかわ)湾。海中では、サンゴが死んで白い骨格が溶け、岩の上を小さな藻類だけが覆っていた。約100年後に各地で想定されるという、酸性化が進行した海では、どんよりした風景が広がっていた。 ◇ ここは
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我が輩はピグミーである 和名はまだない
2022/11/9 06:00 925文字尾を除いた体長は1センチほど。小さなタツノオトシゴです。 水深30メートル前後にあるソフトコーラル(軟質サンゴ)の「ヤギ」に尾を巻きつけ、すき間にまぎれ込んでいます。体の模様や色、コブまでヤギにそっくり。黄色いヤギだと黄色い体色になります。 ◇ 極めて小さなタツノオトシゴは9種とされますが、ま
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黒留袖姿の日本固有種 小笠原の海をひらひらと舞い泳ぐユウゼン
2022/10/26 06:00 998文字日本の固有種、ユウゼンです。 サンゴ礁などをひらひらと舞い泳ぐチョウチョウウオの仲間です。白く縁取られた黒いウロコが全身を覆うさまが、伝統的な「友禅」着物を思わせるから、と名づけられました。 光が当たると、深いメタリックグレーに鈍く輝きます。尾ビレと背、尻ビレの鮮やかな黄色も目を引きます。 ◇
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秋の夕日 大阪市内、お気に入りスポット探して 幾千幾万年変わらぬ営み 場所により違う顔 /大阪
2022/10/13 05:10 898文字秋は夕日が美しい。西に海を抱く大阪市内は、夕日巡りにうってつけだ。カメラを手に西日を追った。 ◇ ◇ ◇ ◇ 明石海峡に「だるま夕日」が現れた。蜃気楼(しんきろう)で太陽がゆがみ、だるまのような形に見える珍しい現象。高知県の宿毛湾などが有名だ。まさか大阪市内から見られるとは。 南港魚つり園護岸(住
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海中に色鮮やかな盆栽 サンゴが重なり合って作る造形美
2022/10/12 06:00 1114文字まるで盆栽です。でも、ここは沖縄・慶良間諸島の海中。盆栽の松やコケ、鉢のように見えているのはサンゴです。 ◇ 松のように、枝ぶりよく天に向かって伸びているのは「リュウキュウイソバナ」。高さ約1メートル。最大で1・5メートル程度まで成長します。ソフトコーラル(軟質サンゴ)の一種で、名のとおり沖縄
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海底にギョロリと目が四つ 砂場に潜む2匹のヤッコエイ
2022/9/28 06:00 948文字「誰かに見られている」。サンゴや小石が広がる海中を移動していた時に、視線を感じたのです。 ◇ 通常なら、色彩に乏しいモノトーン調の海底に、興味を引かれるような大きな生き物がいることは、まれです。一緒にいたほかのダイバーたちは、気にも留めず通り過ぎてしまいました。 それでも、何かが変だと小さな砂
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日本海に沖縄のサカナ 暖流が運ぶ、1年限りの生命の営み
2022/9/14 06:00 871文字透明度の高い青い海に、赤いソフトコーラル(軟質サンゴ)が映え、クマササハナムロやタカベが群れ泳いでいます。 どちらもタカサゴの仲間で、沖縄県では「グルクン」と呼ばれ県魚に指定されています。手軽な食材の大衆魚として定食のおかずになったり、丸ごと唐揚げにしたものがスーパーや総菜店などに並んだりします。
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卵をくわえて育てるアオスジテンジクダイのお父さん
2022/8/24 06:00 1007文字青ぶちのサングラスをかけたような表情で、「これ以上近づくな」とすごんでいるのは、アオスジテンジクダイのお父さん。 ◇ なぜオスだとわかるのか、って? 口に注目してください。くわえているのはエサではなく卵。それも自分の子どもたちです。もちろん、食べているのではありません。サカナの中には、メスが産
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表情も仕草も楽しいイシガキカエルウオ ダイバーと笑顔で見つめ合い
2022/8/10 06:00 942文字イシガキカエルウオが、顔の半分もありそうな大きな目で、きょろきょろと周囲を見回していました。とぼけているような、ちょっとふざけているような表情です。 真正面からだと、大きな口とその下側の黒い線のため笑っているよう。和製英語で「スマイリーブレニー(笑顔のギンポ)」と呼ぶ観賞魚愛好家もいます。特に女性
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エサをねだってすり寄る 海のギャング
2022/7/27 06:00 978文字海の暴れ者とかギャング、などと呼ばれ、何でも食べてしまう肉食魚のカスリハタです。 ぎょろりとした目と、ぶ厚い唇の迫力ある顔立ちで周囲を威嚇するように泳ぎ、いかにも恐ろしげ。 ◇ でも実は、カメラを構えた私を食べてやろうと近づいたのではなく、エサをねだってすり寄ってきたのです。 また、使用した広
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「ママ、あれは何?」 子クジラがヒトを観察
2022/7/13 06:00 1015文字南半球の冬にあたる5~7月、世界最大のサンゴ礁、オーストラリアのグレートバリアリーフに、ミンククジラの一種「ドワーフミンククジラ」が姿を見せます。出産や子育てのため、南極海から暖かい海域へ回遊してくるのです。 地元オーストラリアなど英語圏では、英名「Minke whale」を「ミンキーウエール」と
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