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記者の目
後発薬の供給不安解消のために 薬価制度と業界の改革を=小川祐希(仙台支局)
2023/3/22 02:00注目の連載 1871文字2021年から続くジェネリック医薬品(後発薬)の供給不安が解消しない。複数の製薬会社で製造工程に不正が見つかり出荷が滞ったことが発端だが、そもそも彼らが安定して利益を得にくい制度や業界構造、特定の国に偏ったサプライチェーン(供給網)の脆弱(ぜいじゃく)さといった問題が根底にある。解消への「特効薬」
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増える伝承施設 維持費負担や地元の関心低下に懸念
2023/3/11 14:00 3379文字東日本大震災の被災地では、当初の復興期間とされた2020年度に前後して、震災伝承施設が相次いで整備された。地域が経験した被害や復旧・復興の歩み、被害を繰り返さないための教訓を発信している。震災後に整備された施設は、行政主体のものだけで45カ所。新型コロナウイルス禍を脱し、来館者数も回復傾向にある。
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工事4カ月待ちも 自治体の水道事業「三重苦」 活路はどこに?
2023/1/31 06:00深掘り 3359文字自治体が経営する全国の上下水道事業が、苦境に立たされている。高度経済成長期に整備された施設の老朽化、職員の人手不足、人口減少と節水技術の進歩による収入減の「三重苦」にあえぎ、小規模な自治体ほど深刻だ。国や自治体は、事業の統合や住民参加で乗り切ろうと苦心する。【平家勇大、小川祐希】 ◇老朽管は増加、
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気候革命
紅葉の名所に風車…再生エネが自然破壊? 自治体異例の対抗策
2022/12/13 06:30 4395文字東北屈指の温泉地で、紅葉の名所としても知られる宮城県大崎市の鳴子温泉郷。10月下旬に記者が訪れると、温泉街を取り囲む山々は紅葉の見ごろを迎えていた。国道47号の大深沢橋から見下ろす渓谷は鮮やかな赤や黄色に彩られ、全国から集まった観光客がカメラを向けていた。 ◇住民団体が反対署名提出 「この絶景の中
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出遅れた日本「瀬戸際にいる」 大型の洋上風力発電が始動、勝機は
2022/12/6 13:56深掘り 3496文字国内初となる大型の洋上風力発電所が、年内にも秋田県の秋田港と能代港で商業運転を始める。国内のこれまでの洋上風力導入量はごくわずかだが、政府は再生可能エネルギー主力電源化への「切り札」と位置付け、2040年までに3000万~4500万キロワット(原発30~45基分)に拡大する方針だ。新たな産業や雇用
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古くて新しい水害対策「輪中」 現代にマッチする江戸時代の治水術
2022/9/29 15:30 1504文字全国各地で大雨や台風による深刻な被害が相次ぐ中、宮城県が7月の豪雨で浸水した地域に「輪中堤」の構築を検討している。「輪中」と言えば、愛知県などを流れる「木曽三川」の下流域で江戸時代に発展した治水術。それがなぜ現代の東北に? 東海地方出身の記者(35)には琴線に触れるものがあり、取材を進めると「古く
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ホヤのファンになって 宮城の隠れた名産品、地元PR そのお味は
2022/6/1 08:00 2592文字牛タン、カキ、笹(ささ)かま、ずんだ餅――。宮城県の名物として多くの人が思い浮かべるのは、この四つではないだろうか。実はもう一つ、隠れた名産品がある。国内で養殖されるホヤのおよそ半分が宮城産で、生産量日本一なのだ。しかし鮮度の維持が難しかったり、ゴツゴツした見た目や風味が独特だったりすることから、
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ホヤのファンになって 宮城の隠れた名産品、地元がPR そのお味は
2022/6/1 08:00 0文字 -
ジェネリックなど3000品目超が供給停滞 業界が抱える特殊事情
2022/3/25 17:00 3746文字病院や薬局などで購入できるジェネリック医薬品(後発薬)が、脆弱(ぜいじゃく)なサプライチェーン(供給網)の上に成り立っているのを知っているだろうか。製造工程に関する不正が相次いだ影響で、新薬(先発薬)を含め3000品目以上の供給が滞り、現場で混乱が生じている。取材を進めると、簡単には解きほぐせない
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がん治療薬、相次いで供給不足に 拍車をかけたある事情
2021/12/5 17:25 3160文字膵臓(すいぞう)や胃、乳房などのがん治療に幅広く使われる2種類の薬の供給が、昨年から相次いで不安定になっている。いずれも工場で衛生管理上の不備が見つかり製造が止まったことが原因だが、代替の製造拠点や調達先がなかったことが供給不足に拍車をかけた。命にかかわる医薬品の安定確保に課題を残した。【小川祐希
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国交省、独断で予約停止要請 「スピード重視」も即撤回の背景は
2021/12/2 21:36 3154文字新型コロナウイルスの「オミクロン株」への水際対策で、政府は国際線の新規予約停止を求める航空会社への要請を取りやめた。岸田文雄首相が目指す「先手対応」に向け国土交通省が独断で行った要請だが、公表翌日に撤回に追い込まれた。首相官邸の「ガバナンス(統治)」能力にも疑問符が付きかねない。 ◇停止要請、国交
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オミクロン株 急速に拡大、南アでは7割 重症化リスクは不明
2021/12/2 19:27 966文字新型コロナウイルスの変異株「オミクロン株」について、世界保健機関(WHO)は最も警戒度が高い「懸念される変異株」(VOC)と位置づけているが、重症化リスクの程度やワクチンの効き目にどのような影響を与えるのかなどについては不明点が多い。WHOは数日以内に分析結果を示す方針で、各国でもデータ分析が進ん
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謎多きオミクロン株 国内初確認で「流行のきっかけ」可能性
2021/11/30 21:17深掘り 2311文字世界で感染が急拡大している新型コロナウイルスの変異株「オミクロン株」の感染者が国内で初めて確認された。政府は国内流入をなるべく防ごうと水際対策を強化するが、専門家は市中感染が起きるのを完全に防ぐのは難しいとみる。オミクロン株は未知の部分が多いが、国内でもこれに対抗するため3回目のワクチン接種を早め
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オミクロン株、世界で一斉警戒 「強い感染力」性質はなお不明
2021/11/28 19:48深掘り 2334文字新型コロナウイルスの新しい変異株「オミクロン株」の出現に世界の緊張が高まっている。その性質には依然として不明点も多いが、デルタ株よりも強い感染力が指摘されており、各国は警戒を強めている。 ◇再びマスク着用義務、入国禁止… 「ワクチン接種を2回受けた人の間でも感染が拡大する可能性がある」。ジョンソン
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坪倉正治医師が語る 「原発と新型コロナに共通する健康被害」
2021/11/9 14:00深掘り 3060文字昨年から続く新型コロナウイルスの流行は、人々のつながりを分断し、がんの発見の遅れや生活習慣病の悪化など多くの健康被害を招いた。福島県立医大主任教授の坪倉正治医師は、2011年の東京電力福島第1原発事故でも同様に、2次的な健康被害が生じたと指摘する。事故後、福島県で地域医療の支援を続けてきた坪倉さん
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新型コロナとインフルの同時流行 専門家が警戒する理由と対策
2021/10/12 06:00 1527文字新型コロナウイルスの「第6波」が予期される今冬に、季節性インフルエンザが同時流行しないか、専門家が警戒している。双方の患者が急増して医療機関に殺到すると現場の負担が増え、医療崩壊を招く恐れがあるからだ。昨冬は大方の予想に反し、インフルエンザは流行しなかったが、だからこそ専門家が同時流行を懸念する理
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ワクチン接種先進国でも制圧できず 「集団免疫」は獲得できないのか
2021/10/6 19:34深掘り 3456文字新型コロナウイルスワクチンの2回接種完了者が国内で6割を超え、感染者数は急激に減少している。一方、日本よりもワクチン接種の進んだ海外の国では感染が再び拡大。接種が完了した人の感染も相次いで確認されている。感染者が出ても他の人にうつしにくくなる「集団免疫」を獲得し、感染拡大の「第6波」を防ぐことはで
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自宅療養 「万が一」防ぐため、気をつけたい重要ポイント
2021/8/15 13:00 1238文字新型コロナウイルスの急速な感染拡大に伴い、自宅療養をする患者が増えている。軽症患者でも容体が急変することが、新型コロナの特徴だ。流行の主流となっているインド由来の変異株(デルタ株)は、従来株に比べて若い人でも重症化しやすいとされる。自宅療養での「万が一」を防ぐために、何に気をつけたらよいのだろうか
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期間中に第5波直撃 「五輪もやっている」の悪影響、専門家指摘
2021/8/8 20:15深掘り 1142文字東京オリンピックの期間中、新型コロナの新規感染者数は急増し、感染拡大の「第5波」が直撃した。首都圏を中心に医療体制は逼迫(ひっぱく)しており、専門家は「日本最大の危機が近づいている」と警鐘を鳴らす。 厚生労働省によると、東京五輪の開会式があった7月23日に確認された全国の感染者数は4204人だった
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デルタ株、続く猛威 感染100万人超 自粛頼みの対策に疑問も
2021/8/6 20:44深掘り 1798文字国内の新型コロナウイルスの感染者が累計で100万人を超えた。感染拡大の「第5波」に突入し、感染者数は過去にない勢いで増えている。ワクチン接種だけでは変異ウイルスの流行を抑えることはできず、新型コロナの収束とはほど遠い。 「感染のスピードと医療の逼迫(ひっぱく)のインパクトは今までにない厳しいものだ
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