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日本の脱炭素戦略は「危険な賭け」か 識者が指摘する問題点
2023/6/5 06:00 2878文字日本政府は「2050年までに温室効果ガス排出実質ゼロ」を国際公約として掲げる。その手段の一つとして政府が推進するのが、水素やアンモニアの活用だ。火力発電で化石燃料と混ぜて使う「混焼」技術はアジアでの普及も狙う。だが、脱炭素政策に詳しい諸富徹・京都大教授はこの手段について、主要7カ国(G7)の日本以
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暮らしの中の科学
アジサイの色なぜ変わる? 土の酸性度だけじゃない未解明の謎
2023/5/31 10:30 820文字青、紫、ピンク、赤……。梅雨を彩るアジサイの色は七変化。「移り気」の花言葉を持つこの植物の色はどのように決まっているのだろう。 「最も影響が大きいのは土の酸性度。土の中に溶け出したアルミニウムを吸収する量の大小で色が変わる」。愛知工業大学の吉田久美教授(天然物化学)はそう解説する。 アジサイは日本
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気候変動、かすんだG7サミット 温室ガス削減で大きな前進なし
2023/5/22 04:30深掘り 1617文字21日に閉幕した主要7カ国首脳会議(G7サミット)では、天然ガスを含む全化石燃料を段階的に廃止することに初めて合意した。だが、気候変動やエネルギー問題の討議の前に首脳宣言が公表されるなど、今回のサミットで地球温暖化問題の優先度が高かったとは言えず、温室効果ガス排出削減で大きな前進はなかった。 G7
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脱炭素、支持されない「日本流」 石炭火力や混焼、他のG7批判
2023/5/16 17:36深掘り 2687文字気候変動対策では、被害拡大を防ぐため「今後10年が勝負」とされる。主要7カ国首脳会議(G7サミット)でそのかじ取りを担う日本。ところが、石炭火力発電に依存する方針への批判は根強く「日本流」脱炭素戦略への支持は広がりに欠ける。新興国などの対策加速にもつながるような合意をまとめることはできるのか。 ◇
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花粉飛散予測、精度向上に期待も 効果は…/中
2023/5/12 05:31 1226文字「国民病」とも言われる花粉症対策の強化に向け、政府が動き出した。4月には関係閣僚会議を初開催し、岸田文雄首相は6月までに対策の全体像を取りまとめるよう指示した。対策は3本柱で、花粉の少ないスギへの植え替えや、飛散予測の強化のほか、治療法の普及だ。政府の取り組みは患者の症状改善につながるのか。 政府
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記者の目
G7気候・エネルギー・環境相会合 危うい「日本流」脱炭素=岡田英(くらし科学環境部)
2023/5/10 02:01注目の連載 1827文字地球温暖化対策は「この10年が勝負」とされるにもかかわらず、今年の主要7カ国首脳会議(G7サミット)議長国・日本は対策加速を主導しているとは言い難い。むしろ世界の脱炭素化の足を引っ張っているのではないか。4月に札幌市で開かれたG7気候・エネルギー・環境相会合の取材を通じて感じたのは「日本流」脱炭素
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脱炭素「日本は踏み込み不足」 異論相次ぎ難航 G7環境相会合閉幕
2023/4/17 20:40深掘り 3020文字16日に閉幕した主要7カ国(G7)気候・エネルギー・環境相会合ではG7として初めて、天然ガスも含めた化石燃料の段階的廃止で合意した。交渉過程では脱炭素に向けた議長国・日本の提案が不十分だとの指摘も相次ぎ、対策強化に後ろ向きの印象を残した。日本は今後、気候危機解決の道筋を示すことができるのか。 ◇石
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地球温暖化への対応「時間切れ迫っている」 来日のカナダ環境相
2023/4/13 21:10 853文字カナダのギルボー環境・気候変動相が13日、東京都内で毎日新聞のインタビューに応じた。地球温暖化への対応は「時間切れが迫っている」と指摘。3月に発表された国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の最新報告書を踏まえ、カナダが掲げる2030年以降の中長期の温室効果ガス削減目標の見直しも検討する必
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この10年が数千年に影響? IPCC報告書が説く“今すべきこと”
2023/4/10 07:00 2225文字全人類にとって住みやすく、持続可能な未来を確保する機会の「窓」は急速に閉じつつある――。国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の第6次統合報告書は止まらぬ地球温暖化に強い警鐘を鳴らした。気候危機を乗り越える処方箋はあるのか。 「(産業革命前からの)気温上昇を『1・5度』に抑えられないと、小
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日本、自動車CO2排出「35年に半減」提案 G7閣僚会合・共同声明原案
2023/3/28 23:00スクープ 1027文字◇ゼロエミ車目標示さず、各国から異論 4月に札幌市で開催される主要7カ国(G7)気候・エネルギー・環境相会合に向け、議長国の日本が自動車から出る二酸化炭素(CO2)を2035年までに00年比で50%削減する目標を共同声明原案に盛り込み、各国に提案した。一方、電気自動車(EV)など走行中にCO2を排
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温暖化の国際目標、30年代前半にもアウト IPCCが示す分岐点
2023/3/21 21:18深掘り 3142文字持続可能な未来への窓は急速に閉じつつある――。国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が20日公表した第6次統合報告書は、地球温暖化の悪影響が世界中に及び、気温上昇を抑える国際目標の達成も瀬戸際に立たされている現状を浮かび上がらせた。脱炭素化や被害軽減のための「適応策」強化は一刻の猶予も許さ
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日本の共同声明原案、他のG7が反発 石炭火力の全廃時期示さず
2023/3/14 17:28スクープ 754文字4月に札幌市で開かれる主要7カ国(G7)気候・エネルギー・環境相会合を前に、議長国の日本が提示した共同声明原案に欧米勢が反発している。二酸化炭素(CO2)排出量の多い石炭火力発電所の全廃時期に踏み込んでいないことに批判が集まっており、協議難航は必至だ。日本政府関係者への取材で判明した。 2022年
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カメに「変身」した官僚 恥を捨てて訴えたかった命のはなし
2023/2/6 10:00 2042文字環境省の公式ユーチューブチャンネルに、顔を緑、耳などを赤くペイントした省幹部が登場する動画がある。本人は「恥ずかしいという思いもあった」と話すが、そうまでして画面に出たのは「新たな外来種規制をより多くの人に知ってもらわなければ」という思いからだった。 ◇「ミドリガメ」ペイントで新規制を解説 「法律
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カメに「変身」した官僚
2023/2/6 10:00 0文字 -
飼えなくなったら…アメリカザリガニ、ミドリガメ規制 ここに注意
2023/1/20 11:26 986文字改正外来生物法に基づき、侵略的外来種のアメリカザリガニとアカミミガメ(ミドリガメ)の規制が6月から始まる。多くの家庭で飼われている身近な生き物だが、今後どんなことに注意すればいいのだろうか。 Q 何が規制されるの? A 個人、事業者を問わず、新たに輸入や販売をしたり、販売目的で飼育したりすることが
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10年進まなかった生物多様性対策 新目標、企業活動に焦点
2022/12/25 18:00深掘り 2892文字カナダで開催された国連の会議は、生物多様性保全のための2030年までの国際目標を19日に採択した。名古屋市で10年に開催された会議で合意した20年までの「愛知目標」はほとんど達成できず、自然はかつてない速さで失われている。新目標の下で、生態系を回復させることはできるのだろうか。 ◇損失加速、一刻の
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途上国と先進国で埋まらぬ溝 気温上昇では進展なく COP27
2022/11/21 05:00深掘り 3040文字エジプトで開催された国連気候変動枠組み条約第27回締約国会議(COP27)は、地球温暖化の被害支援の基金設立に合意し、20日閉幕した。温暖化の悪影響が世界中で顕在化する中で「歴史的」な成果とも評価されるが、気温上昇を「1・5度」に抑えるための対策に関する議論では大きな進展はみられず、各国の政府関係
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COP27、延長視野に交渉続く 「損失と被害」資金支援で難航
2022/11/18 19:32 931文字エジプト・シャルムエルシェイクで開催中の国連気候変動枠組み条約第27回締約国会議(COP27)は18日、最終日を迎えた。地球温暖化対策強化の方向性を示す包括的な決定文書案や、気候変動に伴う「損失と被害」への資金支援のあり方を巡って協議は難航し、会期延長を視野に交渉が続いた。 18日に公表された決定
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気候革命
温室効果ガス実質ゼロ 「見せかけ」の宣言に国連がNO
2022/11/16 12:00 2485文字世界中の企業や自治体が相次いで温室効果ガス排出「実質ゼロ」を宣言しているのに、世界の排出量は頭打ちの兆しさえない。エジプトで開催中の会議で、国連は「やっているふり」のゼロ宣言にノーを突きつけた。 ◇偽りの宣言 「宣言が増えるのは良いことだが、厳密さのレベルはまちまちで、ディーゼルトラックが通れるほ
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気候革命
エネルギー危機下での気候変動会議 世界はどこに向かうのか
2022/11/11 08:00 2531文字気候危機への対応を議論する国連の会議がエジプト・シャルムエルシェイクで開催中だ。地球温暖化の影響が指摘される異常気象が国内外で相次ぎ、対策強化は一刻の猶予もないが、ロシアによるウクライナ侵攻後のエネルギー危機が強化の機運に影を落とす。 国際社会は気候危機克服に向けた道筋をつけられるのか。気候変動の
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