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新・さわちゃんのティールーム
能力評価に偏る社会は健全か
2021/7/5 22:05 1828文字「ハーバード白熱教室」などで知られるハーバード大のマイケル・サンデル教授の新著「実力も運のうち 能力主義は正義か?」は、格差社会の拡大とそれを推進する能力主義が抱える問題を考える良い材料だ。 と、堅い書き出しになったが、つまりハーバード大に合格するような学生は、家庭的にも家計的にもかなり恵まれてい
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新・さわちゃんのティールーム
高校での「文理分け」は正しいことか
2021/6/2 16:39 2245文字これからも高校では「文理分け」が続いていくのだろうか。 大学受験に対応するための「文系」「理系」の分け方について、だ。これまでも、事あるごとに書いてきた。このままでよいのか。見直したほうがよいのではないか。だが、賛同者は多くないようだ。高校の先生は「生徒が大学に受からないことには話にならない」と、
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新・さわちゃんのティールーム
定期テストと予想屋稼業
2021/5/7 16:54 1103文字3学期制の学校だと、5月下旬あたりに中間試験が設定されることが多い。学校時代の定期テストは、いつまでたってもうっとうしい思い出だ。 以前、新聞紙上でも書いたが、定期試験の前になると無性に本が読みたくなった。明日は試験の初日という晩、普段は関心のない小説に手が伸びて、黙々と読み続けた経験、ありません
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新・さわちゃんのティールーム
不本意に入学する君に
2021/4/9 10:30 1592文字2021年度入試が終わり、新年度が始まった。コロナ禍で危ぶまれた入試だったが、感染に関する大きな混乱はなく、無事に終了したといって良い。試験場での感染防止対策も、かなり気を使った対応が施され、筆記試験ではそもそも黙って試験を受ける状況から考えれば、会場で感染拡大は想定しにくい。今後も、この経験を基
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新・さわちゃんのティールーム
コロナ下の教育の今、そしてこれから=澤圭一郎
2021/2/4 23:11 2695文字昨年に続き今年もコロナ禍に教育界は翻弄(ほんろう)され続けています。今号の「新・さわちゃんのティールーム」は、レギュラー筆者と、毎日新聞の教育担当デスクによる対談でお届けします。 <編集部> 昨年からのコロナ禍で、入試を含む学校教育は大きな影響を受けました。まずは、昨年の総括をお願いします。 <毎
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「予定調和」の視察はやめよう!=澤圭一郎
2020/12/3 22:17 1385文字ずっと気になっていることを書く。皆さんがどう思うかは、わからない。 今はコロナ禍なので、おそらく学校視察や見学は「自粛」モードになっていると思われるが、この「視察」や「見学」といった行事、中には偉い人やら物事の決定権を持っている人たちが現場を見たり、人に話を聞いたりするものもある。 大抵は、「良い
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新・さわちゃんのティールーム
社会における順応性? それとも生活力の低下?=澤圭一郎
2020/11/16 14:20 1642文字時代の流れや社会の変化は止めがたいし、それが世の中の「進歩」「革新」の根底にもなるので、否定するものではないのだが、たまに「これでいいのだろうか」と感じることもある。 これも以前、別の場所で書いたことがあるのだが、もう10年ほど前、親戚が集まってちょっとした会食をした際の話だ。当時、19歳の息子と
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新・さわちゃんのティールーム
名著「どくとるマンボウ青春記」にみる「学校の役割」=澤圭一郎
2020/10/7 11:57 1649文字中学から高校生のころ、作家の北杜夫さんの作品を好んで読んでいた。「楡家の人びと」「幽霊」など純文学の叙情的な文章が、多感な心に染みこんだ。学校の勉強に割くべき時間を北さんの本につぎ込んだ中高時代であった。他の場所でも書いたことがあるが、北さんの名著「どくとるマンボウ青春記」のことを書く。これは19
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新・さわちゃんのティールーム
コロナ禍と教育、そして入試に向けて=澤圭一郎
2020/8/31 19:30 1174文字8月22日付毎日新聞朝刊に掲載されたインタビュー「シリーズ 疫病と人間」は、慶応大の小熊英二教授が考える「コロナ禍と教育」がテーマだった。 3月からの「全国一斉休校」で学校閉鎖がもたらした「格差」に言及し、オンライン授業ができた学校の生徒とそうでない学校の生徒、意欲的な生徒とそうでない生徒、家庭環
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新・さわちゃんのティールーム
「入試」は「就活」のようになるのか=澤圭一郎
2020/8/14 09:30 1435文字「夏休みが天王山」「夏休みを制する者が入試を制する」。入試を来春に控える受験生に、学校や予備校が叱咤(しった)する言い方だ。普段の授業に追い立てられない長期休暇は、苦手科目をじっくり見直したり、得意な科目をさらに伸ばしたり、深い学習をするための時間が取りやすい。半年先の一般入試に向けて、「天下の分
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大学も受験生も混沌…異例ずくめの今年度入試=澤圭一郎
2020/7/9 09:30 1072文字コロナ禍で、今年度の入試の見通しは混沌(こんとん)としたままだ。先ごろ、大学入学共通テストのスケジュールなどが公表されたが、追試も含めてナショナルテストを3回実施するのは初めてになる。3回目に当たる「追試」は、さすがに作問が間に合わず、大学入試センター試験の予備問題を使うことになるようだが、これを
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新・さわちゃんのティールーム
9月入学を急ぐより、入試範囲狭め「自ら考える力」「学習への意欲」はかる改革を=澤圭一郎
2020/6/3 09:30 1352文字未曽有(みぞう)の事態に直面している学校を対象に「9月入学」の論議が持ち上がっている。賛否がある。 私は、この事態の最中に拙速に導入することに反対だ。簡単にいえば、人手が大いにかかり、巨額の財政措置も必要になる。制度の見直しも多岐にわたる。その準備がこの混乱下でできるのか、大いに疑問だからだ。 さ
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新・さわちゃんのティールーム
何のために勉強するのか=澤圭一郎
2020/3/26 14:52 1241文字全校一斉休校が解除の見通しになり、新学期は4月上旬に迎えられそうな状況だ。ただ、大学は4月下旬以降の開講になるところもある。大型連休を授業に充てる学校も出てくるだろう。 今春の入試は終了したが、この夏以降の入試(推薦やアドミッション・オフィス型)はどうなるか、気をもんでいる関係者が多いに違いない。
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新・さわちゃんのティールーム
新型コロナ拡大 家庭学習の幅広げる機会に=澤圭一郎
2020/3/4 22:11 729文字お正月には想像できなかった「コロナ禍」である。3月に入って、入試のトップシーズンは終盤を迎えているが、まだ公立高や大学の入試は続いている。入学試験は中止にできないから、細心の注意を払っての実施になるが、受験生の心配は尽きないだろう。マスク着用や手洗い・うがいの励行を徹底して、積み上げてきた成果をぜ
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新・さわちゃんのティールーム
増える「読めない、書けない、話せない」子どもたち=澤圭一郎
2020/2/20 11:50 1308文字新大学入試への導入の可否を巡って一般にも認識が広がった「記述式」問題は、今後の入試でも中心になる課題だ。 すでに、推薦やアドミッションオフィス(AO)入試では「小論文」のスタイルで導入されており、定着している。今回は、小論文よりも字数の少ない記述問題(注①)でありながら、50万人が受験する一斉ナシ
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新・さわちゃんのティールーム
入試の「厳密な公平」と「公正性の確保」を両立するたった一つの方法とは=澤圭一郎
2020/2/1 18:31 1398文字大学入学共通テストを巡る大学入試改革の混乱は目を覆う状況だが、選抜試験や教育をどう捉えるか、を考え直すには良い機会だったと思う。 英語の4技能を測る民間試験の導入、受験生の書く力を問う記述式問題の導入のいずれもが撤回されたが、今回の改革案がまとまった時、公正性などが担保されないという課題は、何度も