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避難解除後のまちの再生は 縮小される原発交付金、遠のく帰還
2022/3/19 07:00深掘り 3730文字東京電力福島第1原発事故によって大きく傷つけられたまちは、どうすれば再生できるのか。自治体には事故の後も原発関連の交付金などが支出されているものの、住民の帰還が思うように進まないまちの姿は、事故が残した傷痕の深さを表している。【関谷俊介】 ◇減免終了で「住民が離れていく」 「発展しましょう、と言わ
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しぼんだ除染事業 地元業者「今後は廃炉で食べていくしかない」
2022/3/16 05:00深掘り 3876文字放射性物質による汚染を乗り越えて繁栄を遂げた米ワシントン州ハンフォード地域をモデルに、福島の復興を――。2021年4月、福島県いわき市で「福島浜通りトライデック」という一般社団法人が発足した。産学官で連携し、東京電力福島第1原発、第2原発の廃炉事業を地元経済の振興につなげるというのが、この団体の主
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IRID、23年に解散検討 廃炉研究に700億円超す補助、使えぬ技術
2022/3/14 19:31スクープ 4051文字東京電力福島第1原発事故の後、廃炉研究の中核として結成された組織が、その役割を終えようとしている。「オールジャパン」のかけ声の下、東電を含む電力各社、東芝や日立、三菱系のプラントメーカーなどが集まり2013年に設立された技術研究組合「国際廃炉研究開発機構」(IRID)。参加法人からスタッフの出向や
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乏しい被災者支援、さらに細る 東日本大震災「10年で」絞る国
2022/3/10 20:28深掘り 3056文字東日本大震災から10年以上が過ぎ、国の被災者支援は一部で縮小、打ち切りの動きが出ている。被災自治体からは国の対応を許容する意見の一方、それぞれの事情に応じた支援の継続を求める声が上がる。【関谷俊介】 ◇小中学生の就学援助、4分の1不認定 「今でも、震災の影響がある子どもがいる」。仙台市のNPO法人
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ホストタウンが手にした遺産は? 東京五輪から半年「コロナ後には」
2022/2/8 06:30深掘り 1995文字2021年8月8日の東京オリンピック閉幕から半年となった。五輪とパラリンピックで交流や地域活性化が期待されたホストタウンにはどんなレガシー(遺産)が残ったのか。海外選手の事前合宿を計画した自治体の中には、練習用に施設を改修したものの、新型コロナウイルスの影響で合宿が中止になったり、現在も施設が十分
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要介護や障害…投票したいのにできない 郵便投票対象外の弱者
2021/10/25 17:22 1187文字31日に投開票される衆院選は各地で候補者が舌戦を繰り広げているものの、有権者の中には高齢や障害のために投票したくても投票できない人たちがいる。新型コロナウイルスに感染した人が自宅やホテルで療養中に郵便投票できるようにする特例法が6月に成立するなど新たな動きはある。だが、体が不自由な人にとっての「1
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衆院選・私の争点
震災復興、コロナ支援 「政治は動こうとする人すくい上げる役割を」
2021/10/23 05:00 1729文字「新型コロナウイルス禍で飲食店は悪者のように扱われた。ただおいしい、繁盛しているというだけでなく、社会的課題を解決することによって地位は向上していくと思う」。高崎丈さん(40)は12月に飲食店の開業を目指す東京都目黒区の一室を見渡しながらそう言った。まだがらんとしたこの場所で、新しい挑戦が始まろう
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政治を考える
「自分たちの社会をつくる権利」認識を 映像作家・丹下紘希さん
2021/9/28 09:00 3566文字ミスターチルドレンや山下達郎さんら有名ミュージシャンのミュージックビデオを制作してきた映像作家の丹下紘希さん(52)は東京電力福島第1原発事故を機に映像制作会社を休止し、東京から福岡に移り住み、今は京都で暮らす。福島の被災地や政治に関する映像を発信し、投票所案内プロジェクトの企画や小学校PTA会長
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政治を考える
問われるのは安倍・菅政治の8年9カ月 東大名誉教授の御厨貴さん
2021/9/16 16:00 4133文字菅義偉首相は退陣理由について説明した記者会見で「新型コロナウイルスとの闘いに明け暮れた日々だった」と、この1年を振り返った。政府のコロナ対応、安倍・菅政権の8年9カ月、そして自民党総裁選とその後に控える衆院選をどう考えるのか。東大名誉教授で政治学者の御厨貴さん(70)に聞いた。【聞き手・関谷俊介】
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「夢壊された」 感染おびえ、残飯処理 五輪清掃員が感じた失望
2021/9/12 05:00 1614文字「子どもの頃からあんなに好きだったオリンピックなのに、奴隷のような扱いをされて今は悲哀しかありません」。新型コロナウイルスの感染が収まらない中、開かれた東京オリンピック・パラリンピック。東京都内の競技会場でアルバイト清掃員として勤務した50代女性はそう大会を振り返る。新型コロナの感染におびえ、大量
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自公、福島の避難指示解除で提言 帰還意向や除染など課題山積
2021/7/20 20:30深掘り 2619文字東京電力福島第1原発事故による帰還困難区域のうち、避難指示解除のめどが立っていなかったエリアについて、自民、公明両党は20日、希望する住民全員が2020年代のうちに帰還できるよう求める提言書を政府に提出した。これに沿った形で政府も方針を打ち出すとみられるが、帰還の意向の把握や除染の範囲の決め方、除
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被ばくの恐怖、ポルトガル語で作業…「イチエフ」外国人労働者の実態
2021/7/17 05:00深掘り 7474文字2013年9月の国際オリンピック委員会(IOC)総会で、安倍晋三首相(当時)が東京電力福島第1原発(イチエフ)の汚染水対策について「状況はコントロールされている」と胸を張り、東京オリンピックの開催は決まった。世界に約束した「アンダーコントロール」のために貯蔵タンクを急ピッチで造る必要があった現場に
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国立とイチエフで「技能実習」 ベトナム人青年に五輪はどう映るか
2021/7/16 05:00 3263文字「中に入って、見てみたい。(自分が関わったのは)ちょっとでも」。東京オリンピック・パラリンピックのメインスタジアムとなる国立競技場(東京都新宿区)をフェンス越しに見上げて、ベトナム人男性はそう言った。約3年ぶりに再会したグエンさん(仮名、29歳)は肩の筋肉が盛り上がり体つきは良くなっていたが、はに
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狙われる東京五輪 分析で浮かんだサイバー攻撃の主体と狙い
2021/7/12 16:54 1642文字スポーツの祭典は繰り返しサイバー攻撃の脅威にさらされてきた。東京オリンピック・パラリンピックも例外ではなく、日本オリンピック委員会(JOC)が2020年4月に身代金を要求されるランサムウエアに感染させられたり、同10月の英外務省発表によると東京大会の組織委員会がロシア軍の情報機関から攻撃を仕掛けら
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「5年間、息子と毎日晩酌」熊本地震の発生と同時刻、父は語った
2021/4/21 17:30 3931文字4月16日午前1時25分、私は東京都内の住宅地にある一軒家にいた。ちょうど5年前の同じ時刻、約850キロ離れた地で、熊本地震によって二十歳で亡くなった大野睦(りく)さんが育った家だ。「5年間、睦とこうやって毎晩、晩酌しているんですよ」。そう言って私にもビールを差し出してくれた父浩介さん(55)と杯
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「命かけます。信じて」震災半年後、科捜研職員はなぜ死んだのか
2021/3/10 08:00スクープ動画あり 5302文字東日本大震災の半年後、山梨県内で宮城県警科学捜査研究所職員が遺体で見つかった。津波で亡くなった遺体のDNA鑑定作業で休みなく働いた土屋昌弘さん(当時46歳)。自殺とされ、10代だった2人の息子は今もひきこもる。「こんな形で震災が降りかかってくるなんて想像もしなかった。なぜ、夫は死ななければならなか
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官僚たちはどう復興を描いたか? 事務次官経験者2人に聞く
2021/3/9 17:00深掘り 2358文字東日本大震災の復興に向けて、首相の諮問機関である復興構想会議を支えたり被災者支援に当たったりした官僚は何を考え、どう動いたのか。発生直後から携わった2人の事務次官経験者に話を聞いた。【関谷俊介】 ◇佐藤慎一氏が創造的復興に込めた思い 当時、内閣官房内閣審議官だった。物資支援などの緊急対応のオペレー
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遺された子どもたち
原発事故から逃れ、たどり着いた新天地で父自死 肩寄せ合う母娘
2021/3/2 18:00 3474文字東日本大震災から3月11日で10年を迎える。毎日新聞は400人を超える震災遺児と孤児、その保護者たちにアンケートを送り、遺児と孤児181人と保護者163人から回答をもらった。それぞれの「10年」の営みが見えてくる返事を寄せてくれた遺(のこ)された子どもやその家族を記者が訪ねた。 東京電力福島第1原
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遺された子どもたち
「傷つけるならパパの腕を」 リストカット繰り返した娘は立派に育った
2021/3/1 18:00 3345文字東日本大震災から3月11日で10年を迎える。毎日新聞は400人を超える震災遺児と孤児、その保護者たちにアンケートを送り、遺児と孤児181人と保護者163人から回答をもらった。それぞれの「10年」の営みが見えてくる返事を寄せてくれた遺(のこ)された子どもやその家族を記者が訪ねた。「私にとって震災で何
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提言は生かされたか
「分かち合い」うたった復興事業 7原則の提言は生かされたか
2021/2/28 19:01深掘り 2477文字東日本大震災からの再生を目指し、首相の諮問機関・復興構想会議が7原則の中で示した「国民全体の連帯と分かち合い」というフレーズ。そこから導かれた復興増税などを財源とした予算が、被災地とは関係の薄い使途にも充てられ、うち7割が戻らないことが確実になった。震災から10年間で執行額が総額36・3兆円に上る
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