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返却不要の図書館 13歳が「開館」して3年 地域の居場所に
2023/3/21 13:00 1694文字新型コロナウイルスの感染拡大をきっかけに東京都調布市の13歳の中学生が家族と始めた取り組みが3年を迎える。返却不要で本を持ち帰ることができる「Book Swap Chofu 川の図書館」だ。Swap(スワップ)は「交換」の意味で本の寄付もできる。毎回1000冊もの本が並ぶ多摩川のほとりは地域の人た
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「えびちゃん」のバトン=銭場裕司(東京社会部)
2023/3/13 06:00 1555文字そこには大刷りされた笑顔の写真とともに、生前の歩みを知ることができるパネルが並んでいた。「えびちゃん」と呼ばれて愛され、2021年12月に44歳で旅立った海老原宏美さんの企画展だ。 海老原さんは全身の筋力が低下する難病の脊髄(せきずい)性筋萎縮症だった。車椅子が欠かせなかったものの、周囲にいる人に
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廃業撤回 「街の本屋」の心を動かしたもの=銭場裕司(東京社会部)
2023/2/27 06:00 1362文字いったん決めた廃業を撤回した書店がある。営業継続を伝える張り紙を店先に出すと、その決断を喜ぶ投稿がネット交流サービス(SNS)上に広がった。街にあった本屋が姿を消していく。そんな厳しい時代に、何が廃業を踏みとどまらせたのか。 横浜最古の寺と呼ばれる弘明寺(ぐみょうじ)に続くアーケード商店街にその店
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「小さくても自分の店」 シェア型本屋で書店を開く価値
2023/2/7 06:00 1905文字区分けされた書店の本棚を借りて、自分が届けたい本を販売できる「シェア型本屋」が話題になっています。誰でも書店主になれる仕組みです。街から本屋が減っていく時代に、小さな本棚にはどんな希望が詰まっているのか。港町にある書店を訪れました。【東京社会部・銭場裕司】 その書店は、みなとみらい線の馬車道駅から
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本当に必要なのは「脱こども食堂」 ボランティアおばちゃんの願い
2023/1/24 06:00 2261文字子どもに無料や低額で食事を提供する「こども食堂」は2012年に東京都大田区で取り組みが始まってからわずか10年余で各地に広がりました。苦しい生活状況が続き、その存在価値は増しています。現状を知ろうと、こども食堂と、食材などの配布を長年やってきた女性に取材をお願いしたところ、はっとさせられる言葉が返
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43歳で認知症に やっと分かった「希望」の意味 仲間と今を歩む
2023/1/21 20:00 5535文字肩の力を抜いて不安を口にできる「場」があったらどんなに楽だろう。認知症の当事者にとって、そんなよりどころが、東京都八王子市にある。 2022年の秋、初めて訪れて落ち着かない様子の高齢男性に、さとうみきさん(47)が声を掛けた。「私も認知症って診断を受けています。43歳の時でもうすぐ4年になります」
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40歳でNHK退局 目の前にいる認知症の人たちを幸せに
2023/1/10 06:00 1757文字人生は選択の繰り返しと言えますが、時には大きな決断をして針路を変える人もいます。脂が乗った40歳でNHKを退局した元ディレクター、平田知弘さん(44)=東京都在住=もそんな一人でしょう。大きな組織を離れて飛び込んだのは認知症の人たちと向き合う仕事でした。「NHKも番組作りも大好きでした」と語る平田
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1年前のイブに急逝 14倍生きた「えびちゃん」が残した贈り物
2022/12/24 15:00 1932文字重い障害があり人工呼吸器を使っても地域で当たり前に暮らしていけることを身をもって示し、講演や執筆など積極的な活動を続けた海老原宏美さん=東京都東大和市=が亡くなって24日で1年になる。「えびちゃん」と呼ばれて愛され、交流した人たちに多くの思い出を残した。医師に「3歳ぐらいまでの命」と告げられたが、
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「誰も置き去りにしない」 災害弱者の避難、動画で訴え
2022/12/17 06:00 1447文字この秋、一本の動画作品が完成しました。「災害弱者」の水害への備えを考える内容で、重い障害のある女性が制作を手がけました。身体の自由がきかない中、足でパソコンを操作してイラストを描き、仕上げた労作です。13分37秒の作品にどんな思いを込めたのでしょうか。【東京社会部・銭場裕司】 作品を制作したのは東
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感じてほしい学ぶ楽しさ 障害ある子どもたちの学習塾
2022/12/3 06:00 1552文字障害のある子どもたちに算数や数学を教えている学習塾があります。東京都武蔵野市の遠山真学(しんがく)塾。誕生から約40年。どのような学びの場を提供しているのか知りたくて、塾を訪ねました。【東京社会部・銭場裕司】 JR武蔵境駅から歩いて5分ほどの場所にある塾を訪れると、小笠(おがさ)直人さん(48)が
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昭和時代の1988年にテレワーク 実践した男性に会いに行く
2022/11/19 06:00 3581文字長野県の八ケ岳山麓(さんろく)にテントを張って電話線を引き込み、パソコン通信を使って東京と仕事のやりとり……。1980年代の昭和時代に、情報技術を使って本拠地から離れた場所で働くテレワークを実践した青年がいました。新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、新しい働き方がようやく広がった現代をどう見るの
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「介護は人生交差点」 現場に17年立つ社会学者
2022/10/30 06:00 2047文字重い障害で身体を動かせない人の支えとなる介護・介助は、命と暮らしを守るために欠かせないものです。それだけに大変な仕事というイメージもあります。その魅力を深く知りたいと思っていたところ、大学の教壇に立ちながら、介護を17年続けている社会学者の深田耕一郎さん(41)=福祉社会学=と出会いました。多くの
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43歳で若年性認知症に 私だからできること
2022/10/16 06:00 1659文字当事者が自分の経験や思いを語る言葉には大きな力があります。時には社会に染みついた先入観や偏見を吹き飛ばしてしまうことも。今月3日、若年性認知症のさとうみきさん(47)ら認知症の当事者4人と、約60人の小学生が対面して語り合いました。子どもたちの認知症に対するイメージはどう変わったでしょうか。【東京
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認知症の妻と8年 「失敗してもいい」編み出した介護手法は
2022/10/2 06:00 1704文字認知症のある人とともに歩む家族は、時には気持ちの面で苦しくなってしまうこともあります。人によって環境は異なりますが、明るさを失わない家族の経験談はひとつの希望になるかもしれません。ある男性は会社員時代に身に付けたスキルをいかし、自分なりの介護方法を試行錯誤しました。その8年の思いに耳を傾けます。【
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パジャマ姿で消えた父、捜して1年 認知症で行方不明に
2022/9/15 14:00 995文字認知症の症状がある神奈川県伊勢原市の稲葉道雄さん(89)が昨年9月15日にパジャマ姿で自宅を出たまま、行方が分からない状態が続いている。同日早朝、隣の平塚市内を歩く稲葉さんとみられる高齢男性が目撃されたものの、そこから先の有力な情報はない。行方不明から1年。家族は胸がつぶれるような思いで帰りを待ち
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テレ東米国元社長「認知症になって正解」 鬼滅の世界から生還
2022/9/12 06:00 2021文字これまで認知症になった人たちから直接話を聞いてきました。自分らしさを失わず、魅力あふれる人はたくさんいますが、今回紹介する男性もまさにその一人です。レビー小体型認知症の特徴的な症状とされる幻視を見るようになり、睡眠障害から人気アニメ「鬼滅の刃」に登場するような世界も体験。それでも男性は「認知症って
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コロナ禍でも… 千代田区が認知症当事者の集まりを続ける理由
2022/9/4 18:00 1875文字東京都千代田区が、認知症の当事者らが集まって自由に語り合える会合「実桜(みお)の会」を続けている。新型コロナウイルスの問題を踏まえて、同種の集まりを中止にする自治体や団体は少なくない。それでも区は感染防止対策を徹底しながら、コロナで揺れたこの2年以上にわたって月1回の開催を維持してきた。会は当事者
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本当に薦めたい絵本は 子どもと絵本、見つめた80歳店主の思い
2022/8/29 06:00 1859文字8月も残り少なくなりました。大人になっても夏の終わりにさみしさを覚えるのは私だけでしょうか。今回のコラムの主人公は、保育士として24年活躍した後、絵本の店を21年にわたって手がけてきた女性です。現在80歳。子どもたちと絵本を見つめてきた目に映るものは。【東京社会部・銭場裕司】 東急大井町線・緑が丘
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海に眠る約800人の幼き命 対馬丸のこどもからあなたへ
2022/8/15 06:00 1864文字本日で終戦から77年になります。玉音放送のわずか半日前にあった秋田市の土崎空襲。その体験者に話を聞いたのが、戦争をテーマにした初めての取材でした。半世紀以上がたち、ようやく苦しい記憶を話せるようになった女性のことを今でも覚えています。今回のコラムは沖縄の子どもたちの話を届けます。【東京社会部・銭場
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認知症になった銀河堂元店主がカフェで見つけたもの
2022/8/1 06:00 1448文字本日8月1日からウェブコラム「14色のペン」をスタートします。さまざまな取材経験を積んできた14人の記者が毎朝交代で記事を送り出します。トップバッターになった私自身、時間をかけて書き上げたコラムを読者の皆さんに届ける緊張を感じながら、あす以降、どんな記事を読むことができるのか、ワクワクした気持ちで
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