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「よそからの目で家を見られた」 信金職員を18年勤めた狂言師
2023/3/7 09:00 1657文字「ちょっとお尻、振りましょか?」。カメラの前でポーズを取る姿が、何ともおちゃめ。狂言を格式ばらず、「お豆腐」のように誰にでも親しんでもらえるものにしたい――。一家の家訓を体現するような笑顔に場が和んだ。 京都の能楽狂言方大蔵流、茂山千五郎家の茂山七五三(しめ)(75)が喜寿を記念し、難曲「庵梅(い
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宝塚歌劇・月城かなと 演出家が「月城歌舞伎」と称した型と心
2023/2/18 16:00 1984文字演出家は「月城歌舞伎」と称した。 宝塚歌劇の月組公演「応天の門」で菅原道真を演じるトップスター、月城かなとのこと。平安時代の「学問の神様」がふてくされ、熱く夢を語る。男役の型に心を乗せる緻密な演技で、人間らしい秀才を演じる。 ◇鋭いまなざしにこだわって 舞台は、平安初期の京の都。学者を多く輩出して
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劇団☆新感線 演出家が「看板女優にガッツリ芝居してもらう」意図
2023/2/12 16:00 2038文字「うちの女優にガッツリ芝居をさせたい」。劇団☆新感線の主宰で演出家、いのうえひでのりが、今回の公演に込めた意図はシンプルだ。新型コロナウイルス禍にあえぐ演劇界にあって、高い動員力を保ち続ける人気劇団。久々に挑むセリフ主体の劇で、なぜ女性に光を当てるのか。旗揚げから43周年を迎える老舗劇団の行く先も
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「1年以上断った」 姿月あさと、初代宝塚宙組トップに就いた覚悟
2023/1/28 16:00 1411文字「神様からのギフトをもらえたような気分」と充実した表情を見せる。 5組ある宝塚歌劇で、最も新しい宙(そら)組が発足して2023年で25周年。初代トップスターの姿月(しづき)あさとが自ら企画書を持ち込み、実現した記念コンサート「明日へのエナジー」が東京と兵庫で開かれる。トップ就任の打診を「1年以上は
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「これマジで地上波?」 桐谷健太に聞く「攻めた」犯罪ドラマの良さ
2023/1/26 20:00 1846文字「これマジで地上波で放送してくれるんですか? みたいな感じ」。俳優の桐谷健太は、主演ドラマの「攻めっぷり」をこう言い表す。 連続殺人事件を巡り、激しい暴力シーンも臆さず描くクライムサスペンスで、世の中の表と裏に精通する「情報屋」を演じる。コンプライアンス(法令順守)の意識が高まり、敬遠されがちなヤ
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「人間の弱さも醜さも」宝塚・柚香光が王子様役に見るリアリズム
2023/1/14 16:00 1498文字「人間の弱さも醜さも強さも欲も、美しさの中に凝縮されている」。宝塚歌劇団花組トップスター柚香光(ゆずか・れい)は、宝塚大劇場で上演中のミュージカル「うたかたの恋」の魅力をこう読み解く。ロマンチックな物語の奥底に見るのは、リアリズム。宝塚を代表する「ザ・王子様」役の皇太子ルドルフを繊細に演じ、悩める
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担当記者が振り返る 宝塚歌劇のこの1年 星・宙組とトピックス
2022/12/31 16:00 4253文字宝塚歌劇の担当記者が振り返る2022年。後半は、担当の反橋希美記者(担当歴1年半、観劇歴7年)と水津聡子記者(担当歴3年、観劇歴39年)が星、宙(そら)の2組と「その他」として注目のトピックスについて、たっぷりと対談しました。<前半はこちらhttps://mainichi.jp/articles/
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担当記者が振り返る 宝塚歌劇のこの1年 花・月・雪組
2022/12/30 16:00 3993文字2022年も残りわずか。宝塚歌劇団でも、さまざまな公演・出来事がありました。宝塚担当の反橋希美記者(担当歴1年半、観劇歴7年)と水津聡子記者(担当歴3年、観劇歴39年)が、大劇場公演を中心に1年を振り返りました。 前半は花、月、雪の3組、後半(31日午後4時に公開します)は星、宙(そら)の2組と
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目指すは「動物と子どもに匹敵するおばあちゃん」 高畑淳子さん
2022/12/27 08:00 1586文字「おばあちゃん役って、おもしろいですよね」。NHKの朝ドラで長崎・五島の「ばんば」役を好演する高畑淳子は、とても楽しげに語る。公演中の舞台では御年91歳、ニューヨークのおばあちゃんを演じている。50代から声がかかり始めた祖母の役。目指す境地は「動物と子どもに匹敵するおばあちゃん」だという。 ◇「ば
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「この不自由さが楽しい」 手話裁判劇の稽古場で生まれたもの
2022/12/5 15:00 3709文字「裁判長」と聞いて、どんな人をイメージするだろう。舞台で手話を使う女性裁判長の姿を見て、記者が思い描いていた「当たり前」が崩れていった。 今秋、神戸で上演された手話裁判劇「テロ」。ろう者と、耳の聞こえる聴者の俳優がペアになって一つの役を表現する演出で、舞台関係者の注目を集めた。演出家は、この劇の目
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「ヘビーな作品は嫌いじゃない」 元宝塚トップ珠城りょうの挑戦
2022/12/3 16:00 1367文字「ヘビーな作品は嫌いじゃない」 元宝塚歌劇団トップスターの珠城(たまき)りょうが、退団後初めての主演舞台に挑む。演じるのは、戦前の中国・上海で実在した日本人女性ダンサー。欲望と野心が渦巻き、命があっけなく奪われる街で、希望を胸にたくましく生き抜く。「現代の人にも、上演する意味を感じてもらえる舞台を
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気鋭に迫る
「弱い者が歩く人生の美しさ」藤山扇治郎さんが語る松竹新喜劇の深み
2022/12/3 14:00 1745文字「昭和の喜劇王」の孫。同じ道を選び、芸を比べられることが宿命づけられながら、藤山扇治郎(せんじろう)さん(35)は正面から「目指す役者は、祖父の藤山寛美(かんび)です」と言い切る。大阪を拠点とする松竹新喜劇に入団し、この秋で10年目に入った。寛美を山の頂に仰ぐならば、今の自分は「家出て、つえもまだ
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「やっと認めてあげられた」 元宝塚・純名里沙が向き合ったあの頃
2022/11/28 16:30 1624文字「やっと自分を『よしよし』してあげられました」。迷いのない瞳でほほ笑む。 宝塚歌劇団を退団して四半世紀。元トップ娘役の純名里沙が出身地・大阪でウインターコンサートを開く。在団中に朝ドラのヒロインを演じるという前例のない活躍をしたが、ある時期の自分を「認めてあげられなかった」と明かす。心の壁を乗り越
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ファンタジーにしたくない 中川大志の「本当」にこだわる演技論
2022/11/17 06:30 1755文字見栄えの良さが大河ドラマでネタになる。そんな武将を演じた俳優の中川大志が初めての本格的な舞台で、イメージを覆す役に挑んでいる。醜い風貌で生まれ、家族に虐げられるも、美しく変身して報復する男の物語だ。現実離れした話に思えるが、本人は「ファンタジーにしたくない」という。役に血を通わせるための信条は「本
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「同じ歌?」 東ラブでカンチ役 濱田龍臣が柿澤勇人から学ぶこと
2022/11/6 18:00 1375文字「カンチ!」。ヒロインのこのセリフを聞けば、名シーンが脳内再生される人も多いはず。約30年前、月9ドラマで一大ブームを起こした「東京ラブストーリー」がミュージカルになって帰ってくる。ヒロインのリカが恋するカンチを演じるのは、俳優の濱田龍臣(22)。「いいなあ、こういう恋」。初めてという恋愛ものの舞
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「役か本人か」演技の一体感 宝塚雪組トップ・彩風咲奈
2022/10/18 16:00 1500文字「役か本人か」。舞台で役と俳優が重なって見える瞬間がある。宝塚大劇場で上演中の「蒼穹(そうきゅう)の昴(すばる)」で、雪組トップスターの彩風咲奈(あやかぜさきな)が見せるのは、そんな演技だ。時代に翻弄(ほんろう)されながら、熱くも冷静なリーダーシップで人の心を動かす。演出家いわく「役者と役の不即不
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「オスカルよりアンドレが好き」 元宝塚トップ榛名由梨の男役の美学
2022/10/16 16:00 2757文字「オスカルより、アンドレの方が好き」 宝塚歌劇の名を世に知らしめた「ベルサイユのばら」の初代オスカルは、榛名由梨の代名詞ともいえる役。それなのに、その恋人役(アンドレ)を選んだのはなぜなのか。 フランス革命を背景に愛と悲劇を描いた漫画「ベルばら」の連載が始まって、2022年で50年。榛名が大切にし
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「ごんたくれ」な元宝塚トップ 榛名由梨が優等生の殻を破るまで
2022/10/9 16:00 2378文字「あんたみたいな無個性はあかん」。元宝塚歌劇団トップスターの榛名由梨は、下級生の時に演出家から叱られたことを今も覚えている。歌劇団に25年在籍し、「ベルサイユのばら」など数々の名作の初演で一時代を築いた榛名。殻を破ったのは、「ごんたくれ」(わんぱく)な性分にぴったりのある役との出合いがきっかけだっ
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「ベルばら」初代オスカル 「最後の覚悟」で明治の男を選んだ理由
2022/10/2 16:00 1911文字りんとした瞳で前を見据え、スポーツカーでポーズを決めるこの女性――。後に日本の演劇史に残るヒット作「ベルサイユのばら」で初代オスカルを演じることになる。元宝塚歌劇団トップスターの榛名由梨、その人である。 舞台生活60年を記念し、今秋、喜寿にして舞台に立つ。演じるのは「無法松の一生」で知られる明治の
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「娘役もっと好きになって」宝塚雪組の朝月希和、サヨナラを前に
2022/9/23 15:00 1305文字「娘役の皆さんには、もっともっと娘役を好きになってほしい」。花園への別れを前に、表情は晴れやかだった。宝塚歌劇団雪組トップ娘役、朝月希和(あさづき・きわ)の退団公演となる「蒼穹(そうきゅう)の昴(すばる)」が10月、宝塚大劇場で開幕する。最後の役は、清朝末期の中国で貧しくも力強く生き延びる女性。「
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