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戦うって何?
プーチンのプロパガンダ 国内向けの「物語」も賞味期限切れ?
2023/3/23 05:30 3134文字ロシア政府はウクライナ侵攻以前から国内外でさまざまなプロパガンダ攻勢をかけてきた。なぜ国民はだまされたのか。プロパガンダの裏にはプーチン大統領のゆがんだ使命感が見え隠れする。クリミア併合(2014年)の頃から、ロシアの動きに警鐘を鳴らしてきた宇山智彦・北海道大教授に聞いた。【聞き手・鈴木英生】 ◇
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14色のペン
司馬遼太郎の東北=鈴木英生(オピニオングループ)
2023/3/14 06:00 1853文字「司馬遼太郎(1923~96年)には、東と西の『ベストミックス』みたいな面がある。そこが国民作家たるゆえんでしょう」。先日、宇野重規東京大教授(政治思想史)に言われた。 宇野教授の新著「近代日本の『知』を考える。 西と東との往来」は、関西で生まれたり青春を送ったり、大きな仕事をしたりした学者や作家
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戦うって何?
ロシア国民の無関心と諦めが戦争を支える ウクライナ侵攻1年
2023/3/2 05:30 3295文字ロシアのウクライナ侵攻から1年。6万人以上のロシア側兵士が死亡したと伝えられているが、ロシア国民のプーチン政権と戦争への支持は高いままだ。国民の本心は? どうすれば戦争をやめさせられるのか? ロシアの世論調査データに注目してきた浜由樹子静岡県立大准教授は、国民の無力感が戦争を支える構図がみえると指
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在外ロシア人研究者の思い=鈴木英生(オピニオングループ)
2023/2/28 06:00 1856文字同僚の小国綾子記者と、今月から毎日新聞のポッドキャスト「今夜、ブルーポストで」に参加している。27日公開の第2回は、ロシア軍のウクライナ侵攻から1年がテーマだ。収録中、ある在外ロシア人研究者に約1年ぶりに話を聞きたくなった。 国際関係の研究者、ブフ・アレクサンダーさん(53)。ニュージーランドのビ
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特集ワイド
西部邁さん死去から5年 闘争、いまも引き継がれ
2023/2/9 12:59注目の連載 2905文字社会経済学者で保守の論客、西部邁(すすむ)さんが東京都大田区の多摩川に入水して78歳で亡くなり、1月21日で丸5年がたった。私は、死の10日前まで約11年間、断続的に取材したり、寄稿を担当したりした。そんな私が、5年ぶりに会いたいと思ったのは、西部さんの友人で評論家の長崎浩さん(85)。一緒に、西
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2・26事件と青森 地方紙記者の戦後
2023/2/8 06:00 1979文字戦前のクーデター、2・26事件から今月で87年がたちます。事件は、私の初任地、青森県とも浅からぬ縁がありました。関係した地方紙記者らとその戦後、現在の同県にある核燃料サイクル施設までの流れを素描します。【オピニオングループ・鈴木英生】 1936年2月26日朝、雪深い青森市の陸軍第8師団歩兵第5連隊
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記者の目
宗教を警戒する日本社会 人ごとではない「カルト」=鈴木英生(専門記者)
2023/2/1 02:01注目の連載 1873文字昨夏来、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)問題に絡んで、宗教一般を、人権を侵害し公共の福祉に反する破壊的カルトと混同したような議論を見かける。宗教とカルトは、そもそも概念の位相が違う。しかも、実は誰もが両方に広く浅く関係している。 日本は、「自分は無宗教」と信じる人が多い。NHKの調査(2018年
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大学の「卓越した研究」? 就職氷河期世代が思うこと
2023/1/25 06:00 1892文字日本の研究力を世界トップ水準に高めようと、2023年度、政府が10兆円規模の基金を創設します。基金の運用益から年間数百億円を「国際卓越研究大学」に指定した大学へ配分する新制度を作るとか。「異次元の支援策」だそうですが……。その前にやるべきことがあるのでは、と就職氷河期世代の私は思います。【オピニオ
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無縁社会を変えるために こども食堂になぜ富裕層も通うのか
2023/1/13 08:00 4543文字少子高齢化が進み地縁血縁が弱まっている。新型コロナウイルス禍などで家族の「絆」は強調されたが、安倍晋三元首相銃撃事件など孤独の末に暴発する人もいる。人は何らかのつながりが必要なのかもしれない。無縁社会をどう変えるか。地域の子どもに無料や低額で食事を提供する「こども食堂」はその可能性を秘める。社会活
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保守論客、西部邁さん死去から5年 最後に会った記者の話
2023/1/11 06:00 2579文字「朝まで生テレビ!」での激論ぶりを覚えている方もいるでしょう。保守派論客として知られた評論家で社会経済学者、故西部邁(すすむ)さん。21日で、東京都大田区の多摩川で入水し亡くなってから丸5年になります。私は、おそらく最後に彼と会った新聞記者です。【オピニオングループ・鈴木英生】 2018年の1月2
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日本の国境地帯 その可能性の中心
2022/12/18 06:00 1913文字ロシア軍のウクライナ侵攻、中国の台湾への圧力、北朝鮮の度重なるミサイル発射……。今年は、軍事的緊張を特にリアルに感じた年かもしれません。日本の国境地帯の首長らが一堂に会するセミナーから見えたものを報告します。【オピニオングループ・鈴木英生】 「昨年の暮れ、夜の9時から翌2時まで沖から砲声が聞こえた
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日本は「無宗教」の先進国 個人尊重の仏と大きく違う政教分離
2022/12/16 05:00 2904文字世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の問題を巡り、フランスの反セクト(カルト)法が話題だ。仏は、宗教と政治を厳格に分離する「ライシテ」体制でも知られる。その背景には、多文化共生や民主主義の問題にもつながる大切なポイントが垣間見える。ライシテを研究する伊達聖伸東京大教授は「日仏の政教分離を比較すると、
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カルトって? お坊さんと掃除をしながら考えた
2022/12/4 06:00 2133文字12月に入り、街はクリスマス一色ですね。今年は「宗教=カルト」みたいな公式も広まったけど……。そもそもカルトって? 辞書でまず出るのは、「崇拝」とか「熱狂的支持」といった意味。マニアが熱烈に好きな映画や音楽を「カルト的人気」なんて言ったりも。この社会でのカルトとは結局なんなのか、お坊さんと掃き掃除
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エマニュエル・トッド×與那覇潤 日本は「ゾンビ徳川時代」?
2022/12/2 05:30 4447文字旧ソ連崩壊を「予言」したことで知られる仏の歴史人口学・家族人類学者、エマニュエル・トッドさんと、日本近現代史に詳しい評論家、與那覇潤さんの対談。下は、日独社会の比較から日本を縛る江戸時代の名残、東アジア共通の課題である少子化にと話題が広がった。【構成・鈴木英生、写真・和田大典】 <対談の上は「高等
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エマニュエル・トッド×與那覇潤 高等教育と大衆が分断した欧州
2022/12/1 05:30 4257文字1970年代に旧ソ連崩壊を予測するなど、世界的な出来事を各国の人口や家族形態の分析で読み解いてきた仏の歴史人口学・家族人類学者、エマニュエル・トッドさんが来日した。今の欧米は、高等教育を受けた人と大衆の分断が先鋭化していると指摘する。では、日本は? 日本近現代史に詳しい評論家の與那覇潤さんとの対談
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拝啓中国共産党様 戦後西側文化が映した一側面
2022/11/20 06:00 1811文字先月の中国共産党大会は、習近平総書記(国家主席)個人の権力を、より一層強化したようです。近年の人権状況も踏まえつつ、戦後西側の文化に映った中国共産党の一側面を、同党への手紙にしたためてみました。【オピニオングループ・鈴木英生】 突然、手紙を差し上げる非礼をお許しください。どうしてもお伝えしたいこと
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記者の目
「論点 戦争と平和」を掲載して 韓国、台湾、沖縄が守る日本=鈴木英生(専門記者)
2022/11/2 02:01注目の連載 1888文字ロシア軍のウクライナ侵攻を受けて、「平和国家」日本の戦争に対する意識を問い直したくなった。だから、8、9月に識者インタビュー企画「論点 戦争と平和」を同僚たちと計8回掲載した。なぜ、戦後日本は、戦争をせずに済んできたのか。理由を探ることで、逆に私たちと戦争の接点が見えたと感じている。 日本は、侵略
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方言考 西郷隆盛と勝海舟は、どんな「共通語」でしゃべった?
2022/10/31 06:00 1695文字22日は「方言の日」でした。方言といえば、「ジャンボカッタガ」。初任地にいた20年ほど前、週明けの朝一番に言われたせりふです。どういう意味?? 現代でさえこの調子ならば、昔は他地方の出身者同士、どうやって話したのでしょう。方言にまつわるあれこれをつづってみました。【オピニオングループ・鈴木英生】
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ミャンマーの今 民主派武装組織10万人に 国軍と中露の関係は?
2022/10/21 14:00 2303文字ミャンマーで昨年2月、国軍がクーデターでアウンサンスーチー国家顧問率いる国民民主連盟(NLD)から政権を奪取して以降、軍事政権に反対する多くの国民が犠牲になっている。クーデター当初はメディアで大きく取り上げられたが、最近の情勢はあまり伝わってこない。ロシアや中国の影もちらついている。今後の行方や、
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ウクライナのユダヤ人と北海道のウイルタ 民族の痕跡
2022/10/17 06:00 1790文字公開中のウクライナのドキュメンタリー作品「バビ・ヤール」(セルゲイ・ロズニツァ監督)が、コアな映画ファンらの間で話題です。描くのは、第二次大戦中に首都キーウ(キエフ)郊外で起きたユダヤ人大虐殺。同時代の日本にも通じる、民族の交錯と戦火の痕跡を考えます。【オピニオングループ・鈴木英生】 1941年9
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