-
24色のペン
花島弘さんと「共用品」=鈴木琢磨(オピニオン編集部)
2023/5/10 06:00 1666文字「載ったんですよ!」。あぶってもらったタイのアラでちびちびやっていたときでした。かれこれ5年ほど前の夕暮れ。わが行きつけ、石神井公園(東京都練馬区)そばの「勇寿し」に常連の花島弘さんがノレンをかきわけ、飛び込んできた。重い「広辞苑」(岩波書店)を抱えて。どうされたの? 問うまでもありません。いつも
-
特集ワイド
金正恩氏、祖父に会っていた? 通説くつがえす小説「雨の日の教え」 人民愛アピール、4代目への地ならしも
2023/4/12 13:09注目の連載 2921文字驚き、首をひねり、そしてちょっと切なくもなった。北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)総書記が幼いころ、祖父の金日成(キムイルソン)主席に会っていたとする小説が現れたのだ。通説では2人に接点はなく、ツーショット写真もいまだ公開されていない。本当に会ったのか? それともフィクションなのか? 2020年8月
-
24色のペン
今夜も揺れる赤ちょうちん=鈴木琢磨(夕刊報道グループ)
2023/4/4 06:00 1665文字われら赤ちょうちん族にはつらい3年でありました。会社帰りのちょいと一杯もままならず、目新しいつまみと酒を求め、ひたすらコンビニ通い。リモート飲み会も試してみたものの、むなしいばかりで。 ある夜、行きつけの酒場から薄明かりが漏れていたのでのぞけば、文字通りの「闇営業」中。カウンターにノンアルコールビ
-
特集ワイド
1990年 金丸訪朝団 小説で明かされた妙香山の夜 金日成礼賛?対日メッセージ?
2023/4/3 13:13注目の連載 2894文字かつて捨て身で北朝鮮に乗り込み、日朝の厚い壁に風穴を開けようとした政治家がいた。政界のドンと呼ばれた金丸信・元副総理だ。景勝地・妙香山(ミョヒャンサン)で建国の父、金日成(キムイルソン)主席とサシで語りあったのである。いまなお日朝外交史の謎とされる秘密会談、その生々しい内幕を描く北朝鮮の小説を入手
-
特集ワイド
発掘!「3・1独立運動」絵はがきの謎を追う 白衣のデモ?国葬の群衆?
2023/2/27 13:01注目の連載 2826文字1枚の絵はがき=写真=の真相を追いかけてきた。これまで目にしたことのない「白衣のデモ」が写っていたからだ。そう、1919年3月1日、日本統治下のソウルで起き、またたくまに朝鮮全土に広がった「3・1独立運動」のうねり、その一瞬をとらえた写真かと思ったが……。 あれは安倍晋三元首相の国葬をめぐる議論が
-
-
金正恩氏の娘は後継者? 祖父のスタイルでお披露目の軍事パレード
2023/2/10 07:30動画あり 2491文字祖父のスタイルを踏襲? 北朝鮮で8日夜に行われた軍創建75年の軍事パレードに金正恩(キム・ジョンウン)総書記の娘が姿を見せた。高級な黒いコートにベレー帽。「尊敬するお子さま」との尊称で呼ばれたが、なぜ幼いわが子を軍関連の晴れ舞台でお披露目するのか。調べてみると、祖父の金日成(キム・イルソン)主席も
-
特集ワイド
北朝鮮でよみがえる芥川賞候補作家・金史良-- 在日への思い、正恩氏にあるか
2023/1/30 13:06注目の連載 2952文字金史良(キム・サリャン)をご存じですか? 戦前、芥川賞候補にもなった在日朝鮮人文学者の草分けで、従軍ルポをつづっていた朝鮮戦争のさなかに消息を絶つ。そんな作家の評伝などが北朝鮮で相次いで刊行されている。どうやら金正恩(キム・ジョンウン)総書記じきじきの指示らしい。朝鮮戦争休戦から70年、なぜいま、
-
特集ワイド
25年 初代編集長・近藤勝重さんと語らう 記者よ!驚きの奥を掘れ
2022/11/21 13:21注目の連載 2905文字◇これからもがんばりましょう うっかりしていたが、わが夕刊特集ワイド、この11月で誕生25年になった。人だかりのしているニュースを追う「デイリーマガジン」、創刊150周年を迎えた毎日新聞の歴史にやんちゃなツメ痕を残せただろうか? 晩秋の一日、テンヤワンヤの店開きのころを懐かしみ、初代編集長でジャー
-
新たな革命伝説づくり? 金正恩氏の娘、ICBM発射現場で披露
2022/11/19 12:22 2807文字4代目は女帝か? 北朝鮮の朝鮮労働党機関紙「労働新聞」は19日、前日に実施した大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星17」の発射を現地で指導した金正恩(キム・ジョンウン)総書記が娘を同行させていたと写真付きで伝えた。正恩氏の娘がメディアで公開されたのは初めて。核・ミサイル開発の重要シーンに登場させた
-
北朝鮮「金王朝」に新たな謎 建国イベントに現れた少女は誰か?
2022/10/6 05:30 2952文字先ごろ、北朝鮮ウオッチャーが色めき立った。建国記念日の慶祝イベントに登場した少女が金正恩(キム・ジョンウン)総書記の娘ではないか? いや、金総書記の妹、与正(ヨジョン)氏の娘かも? さまざまな観測が飛び交ったのだ。真相は不明ながら、いかにも幸せそうな金ファミリーのハレの日のひとコマには見えた。核・
-
-
アントニオ猪木さん、「ケタ外れ外交」を貫いた師への尽きぬ思い
2022/10/4 06:00 2912文字マットを降りれば、シャイでお人よし、そしてロマンチストだった。79歳で死去した元人気プロレスラーで、元参院議員のアントニオ猪木さん。インタビューを重ねてきた私には「燃える闘魂」のイメージはない。ただあきらめはしなかった。「オレ、日本と北朝鮮の橋渡しがしたいんだ」。そこには師、力道山への尽きぬ思いが
-
旧統一教会に忌避感なき韓国 日本と異なる政治や社会との距離
2022/8/25 07:00 3072文字ずっと気になっていた。日本の保守政界とのつながりが問題となっている世界平和統一家庭連合(旧統一教会)に対する韓国社会の忌避感の薄さだ。「似而非(サイビ)=えせ」宗教と陰口をたたかれながらも、政治家はむろん、芸能人らも「広告塔」になることすらいとわない空気がある。なぜか? 韓国トロット(演歌)好きの
-
山本有三が抱いた参院への希望 細川護熙さんが憂える現代の気概
2022/7/1 13:45 2759文字久しぶりに作家、山本有三の旧邸、東京都三鷹市にある三鷹市山本有三記念館を訪ねた。緑まぶしい庭園を抜けると、しょうしゃな洋館が現れる。かれこれ10年ほど前、永田町で憲法改正の動きが顕著になっていたころだった。古本屋でふと手にした終戦直後の有三のエッセー集を読み、驚いた。山本有三といえば、小説「路傍の
-
特集ワイド
映画「スープとイデオロギー」ヤン ヨンヒ監督に聞く 済州の風に吹かれて
2022/6/9 13:07注目の連載 2980文字◇「4・3事件」と家族の味、オモニの物語 めっちゃ、うまい! ついうなってしまった。大阪は鶴橋生まれ、在日2世の映画監督、ヤン ヨンヒさん(57)がオモニ(お母さん)直伝の鶏スープを振る舞ってくれた。新作「スープとイデオロギー」は優しくも芯のある、そして韓国現代史のタブーをひとり胸奥にしまい込んで
-
特集ワイド
韓国民主化運動のシンボル、金芝河さん死去 「抵抗詩人」が残したもの
2022/5/16 13:10注目の連載 3084文字いつも気になりながら、ちょっと遠ざけてしまう。8日に81歳で他界した韓国の詩人、金芝河(キムジハ)さんは私にとってそんな存在だった。1970年代、日本でも広く知られた韓国民主化運動のシンボルだ。「抵抗詩人」のマクラ言葉にひかれはしたが、それゆえ素直に親しめなかった。訃報を聞き、久しぶりに「金芝河の
-
-
特集ワイド
正恩氏も登場 北朝鮮のミリタリー小説を読む 「南進」におわせ韓国けん制?
2022/4/26 13:17注目の連載 2839文字北朝鮮で実戦さながらの戦車部隊による戦闘訓練をテーマにしたミリタリー小説が現れた。核・ミサイル開発に拍車をかける金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党総書記も登場する。ロシアがウクライナへの軍事侵攻を進めるなかで読んだせいか、その迫真の描写にいささかぞっとした。 小説のタイトルは「予備隊はない」。雑誌
-
特集ワイド
還暦記者・鈴木琢磨の、ああコロナブルー 「それでも生きよ」 時代に響くコヘレトの言葉
2022/4/12 13:04注目の連載 2967文字センバツ高校野球が雨で順延になった土曜日のこと。なにげなく見だしたNHK・Eテレの「こころの時代」に引きこまれた。聖書学者の小友(おとも)聡さんが批評家・随筆家の若松英輔さんと旧約聖書「コヘレトの言葉」をめぐって対談していた。静かでとつとつとした語りがいい。自宅近くを流れる石神井川(東京都練馬区)
-
特集ワイド
ウクライナ侵攻 今も蜜月?プーチン氏と正恩氏 「誓いの剣」が向く先は
2022/3/24 13:10注目の連載 2839文字ロシアによるウクライナへの軍事侵攻を彼はどう見つめているのだろう? そう、北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)総書記だ。いまなお自らは沈黙したまま、核・ミサイル開発に余念がない。私が思い浮かべたのは、プーチン露大統領から贈られた剣のことだった。 平壌(ピョンヤン)から車で2時間ほど、名勝・妙香山(ミョ
-
特集ワイド
還暦記者・鈴木琢磨の、ああコロナブルー ボルシチに平和の祈り 食でつながるウクライナ
2022/3/7 13:14注目の連載 2886文字ちょっと風変わりな喫茶店がわが家の近く、石神井公園(東京都練馬区)そばにある。週に1度、水曜日のみ営業する、その名も「カフェ水曜日」。窓にステンドグラスをはめ込んだ2階建て民家、門柱に下がる小さな看板を見落とせばカフェとは気づかない。たまたま散歩の途中に見つけた私は本に囲まれた居間で飲むコーヒーの
-
特集ワイド
還暦記者・鈴木琢磨の、ああコロナブルー 小さきものへ、心寄せて 檀ふみさんと石神井を歩く
2022/2/21 12:36注目の連載 2800文字俳優の檀ふみさんは、わがまち石神井(東京都練馬区)生まれ、石神井育ち。最後の無頼派と呼ばれた作家、檀一雄の長女である。お目にかかりたかったが、ご近所のよしみだけでインタビューにうかがうのもずうずうしいし、照れくさくもあった。ところが、年明け早々、駅前商店街の大衆食堂にこんなお知らせが張り出された。
-