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フィールドの向こうに
コインの裏表=田原和宏
2023/3/30 13:07 943文字誰もが自分らしく安心してスポーツを楽しめる場ではない――。 LGBTQなど性的少数者らの情報発信に取り組む団体「プライドハウス東京」が、体育現場についての調査結果をまとめた。 調査は2022年11~12月、18~29歳を対象にインターネットを通じて実施。838人の有効回答を得た。回答者のうち、性的
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いま会いたい
喧騒の中つづる野球愛 あるブックカフェ店主のWBC日記
2023/3/25 07:00 3092文字オリンピックやサッカーのワールドカップなどには熱狂的な応援がつきものだ。今回、日本も舞台となった野球の国・地域別対抗戦、ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)。「史上最強」とうたわれた日本代表の登場で開幕前から大きな盛り上がりを見せた。ただ、その様子を喧騒(けんそう)と感じる人々もいるだろう
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フィールドの向こうに
「野球の国」の人だから=田原和宏
2023/3/23 13:24 969文字その距離、1万3000キロを超える。アフリカ西部ブルキナファソとオンラインでつなぎ、野球を教えるというのだから驚く。 川崎市のジャイアンツ球場の室内練習場。テレビ大のモニターには、首都ワガドゥグの総合運動場に集まる選手たちの姿があった。プロ野球の巨人と国際協力機構(JICA)共催の野球教室だ。 指
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フィールドの向こうに
パフォーマンスの力=田原和宏
2023/3/16 13:10 959文字野球の国・地域別対抗戦、ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で、話題となっているのが日本代表のパフォーマンスだ。安打を放った打者が塁上などで両拳を上下に重ねてねじる。コショウをひくような仕草から「ペッパーグラインダー」と呼ばれる。 米国育ちの日系大リーガー、ラーズ・ヌートバー選手(25)が
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フィールドの向こうに
多国籍のまちから=田原和宏
2023/3/9 13:15 959文字多国籍のまちの証しだ。漢字はむろん、アルファベットやカタカナ、ハングル表記の印鑑を作ることができる。「注文客の7~8割は外国人」。東京都新宿区の新大久保商店街で、はんこ屋を営む伊藤節子さん(71)はそう語る。 伊藤さんが父から店を継いだのはバブル全盛の1989年。当時、商店街は日本の店ばかりだった
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声をつないで
多様性はいずこ 「ドルーリー欠場」騒動で浮かぶ日本社会の課題
2023/3/3 07:00 2473文字多様性をうたい、あらゆる違いを受け入れるとした東京オリンピック・パラリンピックは日本に何をもたらしたのだろうか。「多様な社会はなぜ難しいか」(日本経済新聞出版)の著者で、国学院大教授(ジェンダー論)の水無田気流さんに話を聞いた。 ◇森喜朗氏に見る社会の構造的問題 「最も多様性が浸透していないのが政
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フィールドの向こうに
Z世代のスポーツ離れ=田原和宏
2023/3/2 13:12 970文字Z世代のスポーツ離れが進んでいるという。新型コロナウイルスのパンデミックのさなか、ほぼ無観客で開催された2年前の東京オリンピック以降、そんな調査結果が目に留まるようになった。 Z世代とは1990年代後半から2010年ごろまでに生まれた10代、20代を指す。幼い頃からインターネットが身近にあり、SN
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プーチン氏を投げたかつての少女「心穏やかに過ごせる日を早く」
2023/2/26 16:00 2162文字ロシアのプーチン大統領を投げ飛ばした少女を覚えているだろうか。あの時、笑顔を見せたプーチン氏はウクライナ侵攻に踏み切った。あれから20年余り。指導者になったかつての少女は「心穏やかに暮らせる日を早く」と願っている。 ◇大統領「柔道は哲学」 大統領として来日したプーチン氏が柔道の総本山、東京・講道館
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フィールドの向こうに
2人のパイオニア=田原和宏
2023/2/16 13:11 950文字スポーツ界でいうなら、米大リーグの大谷翔平選手(28)=エンゼルス=だろうか。揺るぎない信念で新たな地平を切り開いただけでなく、その笑顔で多くの人々を魅了し続けることにおいても。 東京大安田講堂で、昨年のノーベル医学生理学賞に輝いたスバンテ・ペーボさん(67)の講演があった。独マックスプランク進化
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フィールドの向こうに
覚悟の決断=田原和宏
2023/2/9 12:59 942文字ひとりの小さな決断が、世界の歴史を変えることがある。1961年から卓球の世界選手権で3連覇した中国の荘則棟(そうそくとう)さん。冷戦下の米国と中国の雪解け、さらには日本との和解につながった「ピンポン外交」の立役者と言われる。あすで亡くなって10年になる。 遺骨が納められた東京・浅草の寺で、旧満州(
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貧しい子にもサッカーを 広がる格差「支援世帯の3割借金」
2023/2/3 13:00 1441文字両親の離婚など悲しかった時もボールを蹴れば忘れられたという高校生。ユニホームを買ってほしいと切り出せず、息子が試合を見学していたと知った母――。今年も多くの親子から痛切な声が届き始めた。 NPO法人「love.fútbol Japan(ラブフットボール・ジャパン)」は、貧困など経済的な理由でサッカ
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フィールドの向こうに
「苦悩する人」=田原和宏
2023/2/2 13:08 938文字学生の頃から読まなければと思いながら、重く悲惨な事実にためらっていた。ようやく購入したものの数年来、本棚で眠っていた。 ホロコースト(ユダヤ人大虐殺)から生還したユダヤ人精神科医、ビクトール・フランクルの著書「夜と霧」(みすず書房)。強制収容所という極限状態において「生きる意味」を問い、深く考察し
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侵攻長期化、IOCには予想外か 露などの五輪復帰、突然の検討
2023/1/26 19:00 1181文字今年から本格化する2024年パリ・オリンピックの予選に向けて、国際オリンピック委員会(IOC)はロシア、ベラルーシの国際大会への復帰の検討に踏み切らざるを得なくなった。欧米諸国の競技団体や選手らの反発は必至で、対応を誤れば新たな分裂を招く恐れもある。 ◇「戦争は選手が始めたわけではない」 IOCの
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フィールドの向こうに
依存しないためには=田原和宏
2023/1/26 13:12 954文字講演を求める声がひっきりなしという。この1週間、和歌山など全国5カ所を回った。「本当にいま対策が求められている。困っていることをぜひ知ってほしい」 朝起きられない、昼夜逆転の生活、成績の低下、学校の欠席、不規則な食事――。ゲーム障害が引き起こす問題を挙げ、国立病院機構久里浜医療センター(神奈川県横
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フィールドの向こうに
ゆでガエル=田原和宏
2023/1/19 13:17 956文字危機感あふれるビデオメッセージが会場内に響き渡った。「サッカーのワールドカップで日本の国民がどれだけ盛り上がっていたことか。なぜ日本のアイスホッケーにそれができないのか」 発言者は、世界最高峰の北米プロアイスホッケーNHLを目指す平野裕志朗選手(27)。2部相当のAHLで戦い、「NHLに最も近い日
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あるオリンピアンの葛藤 気候危機のいま巨大祭典は開催すべきか
2023/1/17 16:00 2064文字スポーツには世界と未来を変える力がある、という。 ならば気候危機の今こそ、その力が求められているのではないか。環境活動家のグレタ・トゥーンベリさんが世界の学者ら104人の協力を得てまとめた編著「気候変動と環境危機」(河出書房新社)を読み、そんなことを思った。この本に強く心揺さぶられたという1996
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フィールドの向こうに
名前を呼ぶわけ=田原和宏
2023/1/12 13:00 953文字思わぬ素顔を見た気がした。ホイッスルをくわえてフィールドを駆け回り、子どもたちに笑顔で語り掛ける。その表情からはラグビーの指導を心から愛していることが伝わってきた。 オーストラリア出身の前日本代表監督、エディー・ジョーンズさん(62)。2015年ワールドカップ(W杯)イングランド大会で日本が優勝候
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フィールドの向こうに
五輪よりも運動会を=田原和宏
2023/1/5 13:09 946文字夢中で玉をカゴに投げ入れ、懸命に綱を引く姿を見るうちに、ある思いにとらわれた。多くのカネを投じてオリンピックをするぐらいなら、世界各地で運動会をした方がいいのではないか、と。 日本スポーツ協会(JSPO)が主催する在留外国人との交流イベントが昨年末、千葉県印西市であった。この日はマレーシアからの留
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国立競技場、将来議論避けたツケ 無責任の末「公費年20億円」
2022/12/28 20:51深掘り 1938文字巨費を投じて建設された東京オリンピック・パラリンピックのメイン会場に、大会後も「負の遺産」が残る可能性が出てきた。 ◇年13億円赤字、民間の提案次第 国立競技場(東京都新宿区)の運営管理を巡り、スポーツ庁は28日、民営化後も維持管理費として年間約10億円を上限に公費での負担を可能とする方針を明らか
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いま会いたい
「体罰は必要悪…」スポーツ界のあしき常識が揺らいだ事件の深層
2022/12/23 05:30 3000文字大阪市立桜宮高のバスケットボール部主将の男子生徒(当時17歳)が、部の顧問から受けた体罰を苦に自殺した事件から23日で10年。世の中を揺るがす事件だったが、スポーツ界の反応は鈍かった。その世界に身を置く記者も同じだった。「体罰は必要悪」。知らず知らずのうちに、スポーツ界のあしき価値観に染まっていた
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