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外環道工事、全面差し止めは認めず 住民側抗告を棄却 東京高裁
2023/3/28 18:52 424文字東京外郭環状道路(外環道)のトンネル掘削工事予定地の周辺住民13人が、地下40メートルより深い大深度地下工事は陥没事故の危険があるとして、事業者の東日本高速道路などに工事差し止めを求めた仮処分申請の即時抗告審で、東京高裁(吉田徹裁判長)は24日付の決定で、一部区間のみの工事の差し止めを命じた1審・
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特別抗告断念「勝ち目がない」 袴田事件、検察が恐れたダメージ
2023/3/20 20:55深掘り 3005文字東京高裁が再審の扉を開いた袴田巌さん(87)の再審請求審で、20日に最高裁への特別抗告を断念した検察当局は、証拠の捏造(ねつぞう)を指摘した高裁決定を不服としながらも、静岡地裁に続く再審開始決定で土俵際に追い込まれて“撤退”を余儀なくされた。今後の再審公判で有罪立証を試みるのかは明らかにしていない
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無実の叫び、57年 「無罪、願っている」 袴田事件再審確定
2023/3/20 20:48 1387文字20日午後4時半、東京・霞が関。記者会見を予定していた袴田事件の弁護団が司法記者クラブに到着した。ちょうどその時、事務局長の小川秀世弁護士の携帯電話が鳴った。 相手は東京高検の検事。応答した小川弁護士の声は次第に大きくなった。念押しして電話を切り、会見場にいた支援者らに絶叫した。「特別抗告しないっ
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「検察側の主張排斥、画期的な決定」 袴田事件、弁護団が歓迎
2023/3/13 21:20 760文字1966年6月に静岡市(旧静岡県清水市)で一家4人が殺害された事件で死刑が確定し、2014年3月に静岡地裁の再審開始決定で釈放された袴田巌元被告(87)の再審請求差し戻し審で、東京高裁は13日、検察側の即時抗告を棄却し、地裁に続き再審開始を認める決定を出した。確定判決が犯行時の着衣とした「5点の衣
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「ギロチン」が断った漁業・営農・国 諫早湾干拓、必要な協議
2023/3/2 20:17深掘り 2441文字国営諫早湾干拓事業(長崎県)の潮受け堤防排水門について、最高裁がねじれていた司法判断を「開門認めず」に統一する決定を出した。約20年に及んだ法廷闘争は事実上決着するが、「開門」か「非開門」かで翻弄(ほんろう)されてきた漁業者と営農者の間にしこりは残る。和解による解決を促してきた司法にとっては望まな
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「手術しないと性別変更できぬ」は人権侵害か 最高裁が違憲性審査
2023/2/27 06:00 2644文字性別変更するには生殖機能をなくす手術が必要――。この性同一性障害(GID)特例法の規定の憲法適合性を最高裁大法廷が審理している。女性が生殖機能を残したまま性別変更し、その後に子供が生まれれば、戸籍上は男性でも子供にとっては生物学上の母となる。規定はこうした「逆転現象」を防ぐ目的で設けられた。だが、
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「事件記録は国民の財産」 神戸殺傷遺族の土師守さん、廃棄防止訴え
2023/2/11 18:50 2141文字1997年に神戸市で起きた連続児童殺傷事件や2004年に長崎県佐世保市で起きた小6女児殺害事件といった、重大少年事件の記録が各地の裁判所で廃棄されていた問題。最高裁は、適切な保存のあり方を見直すため、有識者会議を設置し、関係者から意見聴取を重ねている。14日にこの聞き取りに臨む連続児童殺傷事件の遺
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1票の格差、「分かれ目」超でも合憲 最高裁、アダムズ方式期待
2023/1/25 19:32深掘り 2320文字衆院選の「1票の格差」訴訟で2021年選挙を合憲とした25日の最高裁大法廷判決は、17年選挙に続き2回連続で合憲判断を示した。今回の最大格差は2・08倍で、憲法判断の分かれ目とされてきた「2倍」をわずかに超えていたが、その数値よりも国会の格差是正への取り組みを重視した格好だ。原告側の弁護士グループ
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刑事立証に壁 原発の安全性に「ゼロリスク」認めず 東電強制起訴
2023/1/18 21:15深掘り 1594文字東京電力福島第1原発事故を巡り、強制起訴された旧経営陣3人を再び無罪とした18日の東京高裁判決は、巨大津波を予見できなかったとの1審の判断を追認した。旧経営陣に賠償責任を認めた民事裁判とは正反対の結論となり、刑事裁判の立証の壁の高さを示すとともに、無罪が相次ぐ強制起訴制度の在り方が改めて問われる結
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同性婚訴訟東京地裁判決 立法府に問う「人格的生存への脅威」
2022/11/30 20:57深掘り 2251文字同性婚を認めない現行制度を「違憲状態」と判断した30日の東京地裁判決は、憲法の根底にある「個人の尊厳」を重視し、愛する人と法的な家族になれないことに苦しむ性的少数者たちの訴えに耳を傾けた。各地の自治体では同性婚制度の代わりにパートナーシップ制度が広がるものの、国会では本格的な議論が進んでいない。判
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国会の姿勢批判 改革は進展見えず 1票の格差、仙台高裁判決
2022/11/2 06:00深掘り 2631文字7月の参院選の「1票の格差」を巡る1日の仙台高裁判決は、二つの選挙区での「合区」導入では格差の是正は不十分だと指摘し、都道府県単位の選挙区制度を見直すなど抜本的改革に乗り出さない国会の姿勢を厳しく批判した。国会からは今回の判決を重く受け止める声が上がるが、改革が進展する気配は見えない。 参院選は2
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解散命令、見えぬ実現 前例ない「不法行為」 旧統一教会質問権行使
2022/10/25 21:00深掘り 3088文字文化庁は、宗教法人法に基づく解散命令の請求を視野に、金銭トラブルで多数の被害者が出ている世界平和統一家庭連合(旧統一教会)を調査する方針だ。ただ、岸田文雄首相が示した「民法の不法行為」を根拠にした請求は前例がなく、調査には憲法が保障する「信教の自由」への配慮が求められる。請求に至る道のりは不透明な
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「W杯は俺が呼んだ」 剛腕元五輪組織委理事、原点は「ペレ」興行
2022/8/19 05:15 1579文字1977年9月、旧国立競技場が7万人の観客で埋め尽くされた。日本では人気競技にほど遠かったサッカーの試合では異例のことだった。「神様」と呼ばれた名選手ペレさん(81)が世界各地で行った引退興行だ。日本開催の仕掛け人は当時30代で大手広告会社「電通」に勤務していた東京オリンピック・パラリンピック組織
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「国の怠慢さ判断せず」 過失問う壁高く 原発避難者訴訟
2022/6/17 21:01深掘り 2954文字東京電力福島第1原発事故に対する国の賠償責任を否定した17日の最高裁判決は、1、2審とは異なる論理で結論を導き、国の過失を問うハードルの高さを改めて示した。未曽有の大津波による事故で国は原子力規制の在り方を見直したが、避難を続ける人たちへの賠償は十分と言えるのかという課題は残る。 ◇「司法がこんな
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「ブラックボックスの評価点」 求められる透明化 食べログ訴訟
2022/6/16 20:33 1215文字グルメサイトの評価点は恣意(しい)的に算定されているのではないか――。飲食店が抱いていた疑問について東京地裁は16日の判決で、評価点の算式「アルゴリズム」の一方的な変更は「独占禁止法違反に当たる」との判断を示した。賠償命令を受けた「食べログ」は業界大手。飲食店などからは「評価点の決め方はブラックボ
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安全性の立証責任果たされず 泊原発差し止め判決、北電を批判
2022/5/31 21:45深掘り 2105文字北海道電力泊原発1~3号機(北海道泊村)の運転差し止めを命じた31日の札幌地裁判決は、安全性の立証に消極的で、説明責任を果たさない北電の姿勢を厳しく批判した。 「北電の主張立証が尽くされる時期の見通しが全く立っていない。原告に、北電の立証に延々と対応することを余儀なくしている」。判決で谷口哲也裁判
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立法の不作為 最高裁、厳しく指弾 国民審査制限「違憲」判決
2022/5/25 21:13深掘り 2036文字海外で暮らす日本人が最高裁裁判官の国民審査に投票できない現行法を違憲と判断した25日の最高裁大法廷判決は、国民主権の観点から審査権を行使する重要性を正面から認め、国会の立法不作為を非難した。国民審査法の改正を強く迫る内容だが、国会側の改正に向けた見通しは立たない。 ◇国会に早急な改正を迫る 現行憲
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ネット中傷の連鎖どう防ぐ 「個人の尊厳」と「表現の自由」考
2022/5/3 10:00 3078文字インターネット上でSNS(ネット交流サービス)が普及したことで、誰もが不特定多数に向けて発信したり、表現したりできる時代になった。憲法21条が保障する「表現の自由」の重要性が増す一方、ネット上の中傷は「言葉のやいば」となり、時に深刻な人権侵害を引き起こす。ネット空間で「個人の尊厳」をどう守っていく
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スマホに「判決が届きました」… 民事裁判、IT化でどう変わる
2022/4/22 20:00深掘り 2524文字民事裁判の手続きをIT化する民事訴訟法改正案が21日、衆院本会議で賛成多数で可決された。今後、参院で審議される。改正案が成立した場合、これまで対面主義・書面主義を原則としてきた民事裁判はどう変わるのか。シミュレーションしてみた。【山本将克、遠山和宏】 ◇日本は「途上国」 米韓など先行 2025年秋
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記者のこだわり
3年で消えた5800万円の資産 司法が証券会社に鳴らした警鐘
2022/4/19 15:00 1822文字東京地裁が3月、顧客にローン契約の継続を違法に持ちかけたとして、大和証券(本社・東京都千代田区)に賠償を命じる判決を2日連続で言い渡した。原告の一人が取材に応じ、大和証券の担当者の言葉に従って、わずか3年で約5800万円相当の資産を失ったとする状況を語った。「顧客本位」の理念は置き去りにされていな
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