
東洋大情報連携学部(INIAD)の坂村健学部長が科学の視点でつづるコラム。
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人の心は変われない? 発達する科学技術にどう向き合うか
2023/3/15 10:00 1306文字ますます発達する科学技術に対し、人間はどう向き合えばいいのか。坂村健・東洋大INIAD学部長は、社会をよりよくしたいという人間の「欲」がポイントだと指摘します。 科学技術と社会の関係に焦点を当て、15年以上にわたり本紙にコラムを執筆してきた。加速的に進歩し変わっていく科学技術と、変われない人間の心
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「対話AI元年」に必要な教育改革とは
2023/2/15 10:00 1323文字昨年来の対話人工知能(AI)の進化は、情報通信技術に詳しい坂村健・東洋大INIAD学部長にとっても驚きだといいます。AIをうまく使えるかどうかで格差が生じかねない時代。「教育が変わらなければ」と坂村さんは力説します。 言葉で依頼して言葉で答えられるような作業なら何でも、それなりのレベルで数秒で答え
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イーロン・マスク氏に学ぶ 「迷走」を恐れない社会
2023/1/18 10:00 1367文字新型コロナウイルスの世界的流行や、ロシアによるウクライナ侵攻などで、世界は大きく変わりました。先の読めない時代にあって、坂村健・東洋大INIAD学部長は従来のやり方では通用しなくなっていると指摘します。 ◇「ツイッター迷走、実は大したことはない」 コロナ対策では「政府の方針が迷走」などとよくマスコ
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すべてを委ねるのか 対話AIの先にある怖さ
2022/12/14 10:00 1376文字近年、目覚ましい進化を遂げる人工知能(AI)。人間と自然な会話ができる対話AIが実用化されつつありますが、坂村健・東洋大INIAD(情報連携)学部長の脳裏には、ある「怖さ」が浮かぶと言います。 7月以降の人工知能(AI)の進歩は目まぐるしい。正確に言えば、誰でも触れるAIの公開が連続しているからな
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マイナンバー巡る「ボタンの掛け違い」
2022/11/16 10:00 1330文字政府のかけ声にもかかわらず、マイナンバーカードの普及が進みません。背景には、個人情報の取り扱いに対する不安があるようですが、東洋大INIAD(情報連携)学部長の坂村健さんは、導入当初に「ボタンの掛け違い」があったと指摘します。 つい最近の「マイナンバーカードの番号隠すケース、配布廃止を検討 番号知
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「お役ご免」COCOAの教訓から学ぶべきことは
2022/10/19 08:00 1345文字新型コロナウイルス感染症の接触確認アプリ「COCOA」について、政府は年内にも機能を停止することを決めました。感染拡大を予防する切り札として期待されましたが、その効果には疑問符もつきました。しかし「課題から学ぶべきことがある」と、坂村健・東洋大INIAD学部長は指摘します。 河野太郎デジタル相が9
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原子力 ドイツの変わり身の早さ 今こそまねるべきだ
2022/9/14 08:00 1306文字ウクライナ侵攻に始まったエネルギー危機をきっかけに、東京電力福島第1原発事故で議論が止まっていた原子力への「回帰」が世界的に進んでいます。「日本はドイツの姿勢をまねるべきだ」と坂村健・東洋大INIAD学部長は訴えます。どういうことなのでしょうか。 世界がエネルギー危機だ。特にウクライナ侵攻に対する
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「最後まで人工知能にできないこと」 商用作画AIから探る
2022/8/17 10:00 1314文字近年、目覚ましい進歩を遂げている人工知能(AI)。将来、人間の仕事が奪われることはないのか。東洋大情報連携学部(INIAD)の坂村健学部長が語る「最後までAIにできないこと」とは? 「AIにできなくて、人間にしかできないことは何か」という議論は以前からある。それが今またネットで盛り上がっている。
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KDDI通信障害 報道に欠けた「目に見えない仕組みを伝える」
2022/7/20 10:00 1317文字全国的に影響したKDDI(au)の通信障害は、事態を伝える報道の側にも課題があったと、坂村健・東洋大INIAD学部長は指摘する。さらなるトラブルの拡大を防ぐため、足らなかったものはなんだろうか。 7月2日未明に発生したKDDI(au)の大規模な通信障害は、5日午後に音声・データともに全国的に回復し
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「足なんて飾り?」未来のロボットのデザインは
2022/6/15 10:00 1251文字アニメやSF映画でおなじみの人型ロボットを、米国の大手企業が相次いで開発している。未来のロボットは果たしてどんなデザインなのか、坂村健・東洋大INIAD学部長が解説する。 電気自動車で有名な米テスラ社は、開発を続けていた人工知能(AI)制御の人型ロボット「オプティマス」のお披露目を9月末に行うと発
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軍のDXが見せつけたもの ウクライナ善戦の背景とは
2022/5/18 10:00 1292文字ロシアのウクライナ侵攻では、軍のデジタルトランスフォーメーション(DX)がカギになってきている。その重要性を、コンピューター科学者の坂村健・東洋大情報連携学部(INIAD)学部長が論じた。 「デジタルトランスフォーメーション(DX)」という言葉は2004年に使われたのが最初とされる。しかしそれ以前
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研究力と多様性を両立できない日本
2022/4/19 16:00 1187文字つい最近、東北大学の2022年度採用情報が発表され、ネットの中で(主に理系研究者の間で)衝撃が走った。工学系の教授クラスを一度に5人採用という公募で、研究ポストがなくて困窮している若手の研究者にとって、将来に希望の持てる話。しかしそれは「女性限定」だった。 イノベーションの鍵は「セレンディピティー
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ハイブリッド戦争を超えて
2022/3/17 02:08 1175文字今回のロシアのウクライナ侵攻への世界の反応について、アラブ系マスコミや、欧米や日本でもネットの一部で「人種差別ではないか」という意見を見た。ロシアのアフガニスタンやシリア侵攻では、今世界で巻き起こっているような共感と支援の波はなかった。ウクライナからの難民と中東地域からの難民とでは欧州各国の扱いも
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情報教育の逆襲
2022/2/17 02:00 1195文字高校の新しい学習指導要領が実施され、今春からの高校生は「情報Ⅰ」が必履修科目になった。さらに、その生徒たちが受ける2025年の大学入学共通テストでも「情報Ⅰ」が必須になる。 実は以前から高校で「情報」は必修化されていた。しかし大学入試で必須でない学科については、本腰を入れないというのが本音。内容も
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「悪意」糾弾より大切な事
2022/1/20 02:00 1226文字厚生労働省の統計不正が発覚し、2019年に全省庁での一斉点検が指示された。それにもかかわらず昨年末、国土交通省でまたもや統計不正が発覚した。問題の基幹統計は統計法でやり方まで規定されており、罰則規定まである。その意味で、厚労省や国交省で起きたことが「不正」であることは明らかだ。 厚労省のときは、「
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「公平」とは何なのか
2021/12/16 02:02 1231文字日本人は昔から「不公平」に敏感で、それが特に許せないという人は多い。しかし「公平」のためのルールが逆に公平を阻害しているケースは、むしろ他の国より多いのではないかとも思う。 私は障碍(しょうがい)を持つ方を情報通信技術で助ける「TRONイネーブルウェアシンポジウム」という会議を毎年開催している。3
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起こらなかったこと
2021/11/18 02:00 1222文字つい最近「HPVワクチンの勧奨再開決定」というニュースがあった。HPVワクチンは「子宮頸(けい)がんワクチン」のこと。5、6年前の報道番組で、接種後にまひになった、マウス実験で脳の障害が出たなどと、大きく取り上げられたのをご記憶の方は多いだろう。 そういう視聴者としては、「厚生労働省の専門部会が2
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日米研究事情
2021/10/21 02:01 1235文字2021年のノーベル物理学賞に選ばれた真鍋淑郎(まなべしゅくろう)博士が米国籍を取得し米国を拠点とした理由として「私は周りと協調して生きることができない。それが日本に帰りたくない理由の一つです」と答えたことが話題になった。 真鍋先生は1958年に27歳で渡米し、米国のリッチな研究環境の下、コンピュ
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デジタル庁の存在意義
2021/9/16 02:01 1220文字つい先日、経済産業省から「研究開発型スタートアップと事業会社間のモデル契約書の改訂に向けて、GitHubによる2回目の意見募集を実施します」という投稿がツイッターに掲載された。 GitHub(ギットハブ)は最近のシステム開発で広く使われているチーム開発のためのクラウドサービス。有志でプログラム開発
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自由と責任
2021/8/19 02:03 1203文字先ごろ、米国州医師会連合会(FSMB)のウェブページに「COVID―19(新型コロナウイルス感染症)ワクチンの誤報を広めると医師免許が危険にさらされる可能性がある」という声明が載せられた。わざとリスクは過大評価し、メリットは過小評価し、「コロナワクチンは打たないほうがいい」と言う医師は米国にもいる
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