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TBSラジオ「荻上チキ・Session」荻上さん・南部さんインタビュー

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 評論家の荻上チキさんがパーソナリティーを務めるTBSラジオの「荻上チキ・Session」(月~金曜午後3時半~午後5時50分)は荻上さんがゲストの専門家らと直接対談し、テーマを掘り下げていく報道番組だ。「自由で寛容な社会を作るための適切な情報と良質の議論を共有する場をつくりたい」。荻上さんのそんな思いを実現するため、2013年に午後10時から深夜にかけての帯番組で始まり、昨秋から現在の夕方枠に衣替えした。荻上さんとフリーアナウンサー・南部広美さんのパーソナリティー2人に、番組の魅力や新型コロナ禍での番組の意義について聞いた。

 「Session」は、荻上さんが、時事問題などの専門家や当事者らに問題意識を前面に出した質問を投げかけ、議論を深めていく特集「メインセッション」が番組の柱。「ダメ出し」で終わらず、ポジティブな提案「ポジ出し」につなげるという荻上さんの思想から、「探求モード」「提案モード」「検証モード」などテーマに合わせた切り口で進め、考えるヒントを提示していく。最近は国内の政治から新型コロナウイルス禍の百貨店の現状や、アフガニスタンから自衛隊機で退避した日本人女性へのインタビューなどを特集した。

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 ――夕方帯の番組には慣れましたか?

 <荻上さん> 健康になりました(笑)。ポジティブな話じゃないんですけど、夜の仕事が続くと睡眠障害になり、しんどかった。夜の番組をやっている人はローテーションなど一工夫が必要だと実感しました。そうすれば働き方の見え方が変わるかもしれません。本来なら番組後に映画などを見に行くこともできる時間帯ですけど、コロナ禍であまり行けていないかな。

 コンセプトは変えていませんが、言葉を補足することに気を遣うようになりました。深夜のようにじっくりではなくて、仕事や家事をしながらの「ながら」で聴く人が多い時間帯。だから1個のつまずきで、続きが聴けなくならないように工夫しています。SNS(ネット交流サービス)を見ていると、夕方は深夜より幅広い層に聴かれるので、その点でも価値観の押しつけではない、より丁寧な語りかけが必要かなと感じます。

 ――新しい価値観を作るための「発信型ニュース・プロジェクト」を掲げる上で心がけていることは?

 <荻上さん> いくつかありますが、対談では「今後このニュースでどこに注目すればいいか」とよく質問します。リスナーはこの番組以外にも、いろんなニュースに触れていきます。でも日々のニュースが流動的だったり、断片的な情報から何か良いニュースのように捉えられてしまうような構成だったりすると、望ましくない着地点に向かってしまうことがある。例えば、入管施設に収容中のスリランカ人女性が死亡した問題。最終報告書が出るかどうかがポイントだということばかりに着目してしまうと、当事者は納得していないまま、開示文書が黒塗りで大事な部分は覆い隠されてしまうかもしれない。だから事実検証を基にしっかり法務省側が謝罪し、法改正につながるかどうかまでがポイントになる。リスナーが番組で聴いたことを基準に物事が動いていないと、ニュースが前進してないんだな、と感じられるようになるのが重要。だから、今考えるべきことと、今後注意すべきことを合わせて議論するように心がけています。こちらから提案するというよりは、より良い方策はこちらではないかと選択肢を見えるような進行も意識しています。

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 <南部さん> リスナーの立場に立って聴いていると、ニュースの解像度が確実に上がりました。私の読んだストレートニュースにチキさんが解説する「デイリーニュースセッション」というコーナーがありますが、普通はニュースを聞くだけで終わってしまうところを、さまざまな当事者のインタビューや専門家の解説が加わることでつながっていき、リスナーのニュースの見方の理解度も上がっていく。そのお手伝いになっているんだろうな、と思います。

 ――新型コロナの影響はありますか?

 <荻上さん> 僕は年に1、2回は海外に行くことでリフレッシュし、その間に取材してきたものをお伝えしたりしてきたけど、それができない。夕方帯に移行し、取材に行くのが難しいのが重なって外からの報告は難しくはなりました。逆に世の中がものすごくリモート慣れして、これまで「遠くて出られない」と言っていた人でもオンラインならすんなりと引き受けてくれたりして、ゲストの層は広がった面はあります。

 ――新型コロナが拡大する中で、番組を続けてきた意義をどう感じますか。

 <荻上さん> コロナはそれぞれにとって思い入れが強いテーマで、人によって価値判断が大きく分かれる時がある。医療現場のスペシャリストが医療行政の評価に的確にコメントできるとは限らず、ベストミックスのスペシャルな人間はいない。でも緊張感が高まる時にどんな人から話を聴くかで、リスナーもどこかギスギスする。そんな中でも、リスナーには見比べることを続けてほしい。

 いろんな専門家に聴き、いろんな考え方を提示するけど、各論を踏まえてどう判断するかは、それぞれリスナーが決めるしかない。言論に緊張感があるけれど、自分たちが閉じ籠もらず、番組ではどんなものを提示できるのかを考え、議論の参加者たちの姿を把握し続けたいと思います。

 <南部さん> リスナーのメールを紹介しながら、コロナは生活と政治がつながっていることを身近にした出来事だと実感しています。生活に何かしら入ってきているので、どんな人にも疑問があるけど、疑問を専門家に直接聞ける機会はなかなかない。リスナーの不安や疑問を直接つなげられるプラットフォームとして大きな存在だと思います。

 ――菅義偉首相の記者会見をスタジオで実況中継し、ネット動画で生配信する試みは面白いですね。

 <荻上さん> 国会論戦や首相の記者会見はテレビでは「Q&A」風で紹介されるけど、実態とは随分違う。なるべく伝わるように解説を付け加えながら長めに振り返ることは、深夜の時代からやってきたんです。スタッフの提案で、夜の首相会見は生放送で配信ができるのではということで残業が始まりました(笑)。野球の実況と同じで、見方を示すことによって見る目も育っていく。国会の論戦を見るだけでは、「野党が追及し、政府はかわす」という格好に納得してしまうかもしれない。政府は質問に答えていないとか、野党もルール違反をしているとか、そういう解釈をしないと伝わらないこともある。実況を聞きながらなら、退屈な時間でもなんとか過ごせるでしょう。首相会見では、どの記者が質問の機会を与えられず、何を聞こうとしていたのかなども大切な情報です。

 ――インターネットラジオの普及など視聴環境が変わってきていますが、ラジオの魅力は?

 <荻上さん> 「Session」のリスナーはTBSラジオが好きという人もいるし、ニュースが好きな人もいる。局とニュースというタイムラインで聴く人それぞれに細かく打ち返せるのがラジオの特徴だと思います。テレビだと数百万人~数千万人を相手に番組作りをしなければいけない。ニッチなテーマでも(興味のある人は)数十万人はいて、意義はあるのに、テレビ的には小規模すぎて断念になった企画はあると思う。真剣に聴いてくれるそれぞれのタイムラインを持った人が、ともに議論できるというのは重要だと思います。その数十万人は各分野のオピニオンリーダーやインフルエンサーになる可能性もあり、世の中を動かすのに相当大事な数だと思うんです。「Session」は、そういう人たちが一つに集まり、特定の議論を重ね、隣の領域の議論にもアンテナを立てていく。そうしたつながりを作れているのは機動力とテーマ性に長(た)けたラジオという中規模メディアの強みだと思います。

 ――これからどんなことを取り上げたいですか?

 <荻上さん> いろんな音を紹介したいですね。ゲストの人が解説しても「高度なまた聴き」だけれど、ゲストが録音した日常の取材や音声などの素材を聴けば、体験したことになる。深夜の時代には開戦の日に流れたラジオ音声を順番に流すという企画をやったことがあります。真珠湾への攻撃から進んでいく様子を再現し、リスナーと追いました。生の素材を聞くと、こういうものなんだって実際にわかる。そんな素材をたくさん流して、音声メディアとしての強みをもっと出していきたいと思います。

【略歴】

 ◆荻上チキ(おぎうえ・ちき) 1981年、兵庫県生まれ。NPO法人「ストップいじめ!ナビ」代表、「社会調査支援機構チキラボ」所長。メディア論を中心に、政治経済から社会問題まで幅広く取材・論評する。著書に『ウェブ炎上』『いじめを生む教室』『みらいめがね』など。前身の「Session-22」時代にパーソナリティーとして2015年度ギャラクシー賞を受賞。

 ◆南部広美(なんぶ・ひろみ) 1970年生まれ。岩手県花巻市出身。日本短波放送で株式市況や経済ニュースを担当後、J-WAVEのニュース室勤務アナウンサーを7年間務める。 J-WAVEの「 Jam the World」「Tokyo コンシェルジュ」「みうらじゅん安西肇のGOLDEN TIME」やNHK BSの「こだわりライフヨーロッパ」のほか、CMナレーションも多数。

【番組について】

番組名:TBSラジオ 知る→わかる→動かす 発信型ニュース番組 「荻上チキ・Session」

日時:月~金曜日 15:30 - 17:50

周波数:AM954kHz/FM90.5MHz

出演者:荻上チキ/南部広美

「知る→わかる→動かす」というコンセプトを引き継ぎ、荻上が提唱する「自由で寛容な社会をつくるために、良質な議論と適切な情報を共有する“場”」としてのラジオの可能性を追求。

企業に求められる社会的責任の高まりの中で、ビジネスにおいてもソーシャルグッドが重視され、地球規模の環境問題、そしてコロナ禍における感染症対策など、個人や一企業では対処できない課題が大きくなっている今、国家や自治体、公共への関心が世界的に高まっています。

「今、何が起きているのか?」「なぜ、起きているのか?」をクリアに解説した上で、一歩先の未来、アップデートされた新しい価値観を提示する、「何かが始まる音がする」ニュースプログラムです。