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社説

日本の岐路 自民党の選挙公約 再び検証を欠く上書きか

 自民党がきのう衆院選の公約を発表した。

     北朝鮮の脅威を強調して指導力を強くアピールし、消費税増税の増収分を新たに教育無償化に振り分けることを訴えたのが柱だ。

     安倍晋三首相(自民党総裁)の意向を強く反映した内容といえる。

     だが、唐突な衆院解散表明からわずか1週間である。どこまで党全体で議論され、共有された方針なのか。疑問がある。

     自民党は2014年衆院選で大胆な金融政策や成長戦略などの「三本の矢」を旗印にアベノミクス推進を公約した。

     2年後の16年参院選では「1億総活躍社会」を掲げ、待機児童対策を重点化した。アベノミクスを「最大限ふかす」とも約束した。

     今回は「生産性革命」「人づくり革命」という新たなフレーズをアベノミクスのエンジンと位置付ける。

     あの手この手で看板を差し替えては耳目を引こうとしてきたのが安倍自民流の選挙公約である。

     一方で、国と地方の基礎的財政収支黒字化目標の「20年度」は削除され、女性の活躍の文字も消えた。

     過去の公約を総括せずに新たな政策を繰り出しても、また中途半端に終わるのではないか。そんな疑念を持たれても仕方ないだろう。

     とくに、消費税の扱いはあまりに乱雑だ。

     14年衆院選で10%への引き上げを1年半延期し、16年参院選では世界経済の不透明感を理由にさらに2年半先延ばしした。現時点での増税時期は19年10月だ。

     ところが、こんどは、その世界経済が好転する展望があるのかどうかの説明もないまま、2年先の増税を前提に使途変更に踏み込んだ。

     そうかと思うと、「希望の党」代表の小池百合子東京都知事が消費増税凍結に触れると、首相は「リーマン・ショック級の緊縮状況」が起きれば再延期もあり得ると発言した。無責任な議論ではないか。

     憲法改正は、首相提案に基づき9条への自衛隊明記を含む4項目を盛り込んだが、条文案を示していない。党内議論が熟していないことも背景にあろう。

     検証を欠いたまま上書きしただけの公約、という印象は否めない。

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