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社説

視点・総選挙 国際環境の変化 世界の潮流を見据えたい=論説委員・坂東賢治

 「1990年代の新党ブームは政治の混乱と経済の低迷を生んだ」。安倍晋三首相の言葉だ。小池百合子東京都知事も参加した日本新党などの連合で非自民政権が誕生した93年の政治状況を指しているのだろう。

     しかし、因果関係が逆転している。バブル崩壊による経済低迷は政権交代前に顕在化していた。冷戦終結という国際情勢の激変が自民党の長期政権を支えた「55年体制」の崩壊に結びついたことも否定できない。

     それ以来の国際情勢の変化ではないか。昨年は英国が国民投票で欧州連合(EU)からの離脱を選択し、「米国ファースト」を掲げるトランプ米大統領が当選した。一方、フランスでは今年、新党を起こしたマクロン氏が既存の2大政党や排外主義的な色彩の濃い右派勢力を破って大統領に就任した。

     うねりの中心にあるのは中国やインドなど新興大国も加わって世界全域に広がるグローバリズムと、インターネットに代表される情報革命を中心とした技術の飛躍的な進歩だろう。格差の拡大や移民への反発がナショナリズムや保護主義に結びつき、ネットを通じた情報の拡散は選挙戦の様相を一変させた。

     世論が二分され、対立が深まっているのも特徴だ。米英では内向きの選挙結果に失望の声も広がった。逆に今年の仏独の選挙ではEU擁護派が多数を握った。他国の選挙結果が国境を越えて相互に影響を与える現象もみられる。

     マクロン氏への共感を公言する小池都知事が7月の都議選で設立した「都民ファーストの会」が希望の党結成、民進党の解体に結びついた。解散以来の選挙情勢の急変も世界の潮流と無縁ではありえない。日本では欧米ほど保護主義や排外主義の動きが広がっているわけではないが、ヘイトスピーチや歴史修正主義的な動きが垣間見える。

     対北朝鮮での日米連携は重要だ。しかし、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)から離脱し、温暖化対策にも否定的なトランプ政権に追随するだけでは日本の主体性が問われる。

     総選挙は新たな国際情勢に対応して日本を前進させる政権を選ぶ場でもある。日本の良さを守るためにも、国際環境の変化という視点を失わずにいたい。

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