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沖縄県知事選

安倍政権 生活支援で「辺野古隠し」徹底

 子供の笑い声が響く沖縄県名護市の保育園。夕方に1歳の次女を迎えに来た母親(36)は、今月1日から始まった保育料の無償化を喜んだ。「すごく助かる。月額で2万7000円ぐらいが浮く」

 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の県内移設工事が進む名護市。2月の市長選で安倍政権が推す渡具知武豊(とぐちたけとよ)氏が移設反対の現職を大差で破って初当選すると、政府は前市政の8年間にわたって凍結していた米軍再編交付金の支給を再開。保育料の無償化は辺野古移設への協力を前提に支給されるその交付金で賄われる。

 渡具知氏は市長選で辺野古移設への賛否を示さず、保育料の無償化など生活支援を強調することで勝利を得た。この「成功体験」で手応えをつかんだ安倍政権は、沖縄県知事選(13日告示、30日投開票)でも辺野古移設には徹底して触れず、前宜野湾市長の佐喜真淳(さきまあつし)氏(54)の勝利を目指す戦術を取る。

 「争点隠しだ」。移設阻止を訴えながら先月急逝した翁長雄志(おながたけし)知事の後継として出馬する自由党幹事長の玉城デニー衆院議員(58)の陣営は批判を強める。だが、自民県連幹部は「今から工事をする段階ならば別だが、わざわざ争点にする理由がない」と強調。辺野古沿岸部で護岸の造成など工事が目に見えて進んでいることが「辺野古隠し」を後押ししている形だ。

 自民県連の国場幸之助会長は「普天間問題の解決に向けて政治は結果を出さなければいけない。理想を掲げて10年、20年変わらないのは政治の敗北だ」と力説する。党本部と違って辺野古移設に反対の立場を取る公明県本部は、前回選は自主投票だったが、今回は佐喜真氏の推薦に回った。金城勉代表は「県本部として辺野古への抵抗は今も強い」としながらも、「対立ばかりでは物事は前に進まない」と説明する。

 佐喜真氏は5日の公開討論会でも「争点は普天間飛行場の返還」と移設の是非に踏み込まなかった。さらに「過重な基地負担を全国に発信した」と翁長氏を評価してみせ、弔い合戦のムードに火が付かないよう細心の注意を払う。それは、移設反対の民意が高まれば、県民感情を刺激して苦戦を強いられかねない--という強い危機感の裏返しでもある。

 10日に宜野湾市であった佐喜真氏の総決起大会では、推薦する自民、公明、維新の幹部が顔をそろえて「新しい沖縄をつくろう」と声を上げた。だが、国からの振興予算に基づく経済振興などを訴えるほど、辺野古移設を強硬に進める与党・政府との蜜月をアピールせざるを得ないという矛盾を抱えている。

 翁長氏が辺野古の埋め立てを承認した現職に圧勝した2014年の知事選以降、国政選挙など移設問題がクローズアップされた全県レベルの選挙では保守側は敗北を重ねており、陣営には不安も残る。佐喜真氏を支援する国会議員の一人は語る。「『辺野古』を言わない選挙は無理がある」

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