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あなたの参院選

「タピオカ」から考える環境問題 街にあふれるプラごみはどこに行く?

原宿でタピ活中のカップル。津田貴士さん(30)=中央=は「月1回くらい飲みます。ごみは持ち帰って分別して捨てています」と話していた=東京都渋谷区で2019年7月9日午後1時23分、待鳥航志撮影

 タピオカブームが続いている。1990年代初め、2000年代後半に続いて国内で3回目となるブームだ。ミルクティーなどに入った黒い粒などのタピオカの独特な見た目が、インスタ映えを狙う若者を中心に受けている。若者文化の発信地である東京都渋谷区などでは多くの若者が「タピ活」(タピオカドリンクを飲む活動)をしている。だが、ブームの陰でタピオカのプラスチック容器のごみが問題になっている。路上にポイ捨てされている容器も多く見かけるが、日常的に使い捨てられるプラスチックごみはその後、どこへ行くのか。タピオカブームの現場を歩いた。

ポイ捨て散乱

街角に捨てられたタピオカの容器=東京・原宿で2019年6月18日撮影

 東京都渋谷区・原宿の竹下通り(約350メートル)周辺には5、6軒のタピオカ店が建ち並ぶ。原宿竹下通り商店会によると「ここ数カ月で一気に増えた」という。タピ活中の若者たちが行き交う街中を歩くと、道ばたのあちらこちらで放置されたタピオカのプラスチック容器を見かけた。人けのない路地に入ると、容器が10個以上ポイ捨てされているところも。自動販売機の脇にあるリサイクルボックスに大量の容器が詰め込まれ、あふれ出ている光景もあった。

 竹下通りではそれぞれの店舗が開店前などに付近に放置された容器を回収しているという。近接する表参道では商店街振興組合「原宿表参道欅会」が13カ所にごみ箱を設置しているが、日中に容器などがあふれて周辺に散らかることも。ボランティアや地元住人が自主的にごみを拾っているほか、タピオカ店「春水堂(チュンスイタン)」が設立した「タピオカミルクティー協会」も毎月1回、原宿周辺でごみ拾い活動を行う。

東京・下北沢での清掃活動=2019年6月30日撮影

プラスチックの使用減を

 タピオカ店の出店が相次ぐ下北沢(世田谷区)では、NPO「グリーンバード」のメンバーが毎週末、ごみ拾い活動を続けている。6月末に駅周辺で学生ら15人が参加して行われた活動に同行すると、缶やビン、ペットボトルなど資源ごみやたばこの吸い殻などもある。タピオカの容器の多くは道ばたの植え込みや自動販売機周辺に、目立たないように捨てられていた。メンバーの大塚健一さん(41)は「活動を始めた15年ほど前に比べればごみは減った。ただ、ここ数カ月で10店舗以上のタピオカ店がオープンし、タピオカの容器のポイ捨ても多くなった。ポイ捨てがもっと減ってほしいし、プラスチックの使用量を社会全体で減らす必要がある」と話す。

プラごみとリサイクルの現状は

 約2万5000トン。日本で1日に平均で排出されるプラスチックごみの量だ。国連環境計画によると、プラスチック容器包装のごみについては、国民1人あたりでは米国に次いで世界2位の廃棄量とされる。プラスチック循環利用協会によると、17年に国内で排出されたプラごみの総量903万トンのうち、約86%にあたる775万トンがリサイクルなどに有効利用されている一方、残りの14%は埋め立てられたり単純焼却されたりしている。

 プラごみのリサイクルは一般的に、プラスチックを素材として製品に再利用する「マテリアルリサイクル」▽化学的に分解して油や化学原料などとして活用する「ケミカルリサイクル」▽プラごみを焼却した際の熱エネルギーを発電などに用いる「サーマルリサイクル」――の3タイプ。こうした有効利用の割合は年々増加しているが、うち約7割がサーマルリサイクルでプラごみの大半は焼却されている。

ベストミックス?

 東北大大学院環境科学研究科の吉岡敏明教授(環境工学)は「サーマルリサイクルは焼却した際のエネルギーを生かすもので、他の二つと異なり資源として循環しているとは言い難い。一方で資源循環を徹底させるとしてもエネルギーやコストがかかり、環境負荷が大きくなることもある。どれか一つの方法が良いのではなく、コストや環境パフォーマンスを踏まえてベストミックスのリサイクルの仕方を考える必要がある」と語る。サーマルリサイクルが7割を占める現状に「ベストミックスとは言い難く、まだまだ循環できるプラごみがある」と話す。

 人類が作り出したプラスチックはこれまで83億トン、そのうち63億トンがすでにごみになり、50年には120億トンに達する――。そんな試算もある。

第3次ブームを迎えているタピオカ=東京都渋谷区で2019年7月9日午後1時55分、待鳥航志撮影

 吉岡教授は「プラスチックは社会に必要な素材です。タピオカ容器などワンウエー(使い捨て)のプラスチックは素材転換を図ってプラごみにならないようにするなど、それぞれの製品に適したプラスチックの作り方も考える必要がある。プラスチックの使い方と処理の仕方、その両輪で考えることが大切です」と話す。

政府の取り組みは?

 プラごみ問題を巡って、日本政府は昨年6月、カナダで開かれた主要7カ国(G7)首脳会議で40年までにプラスチック包装の100%回収を目指すなどの数値目標を盛り込んだ「海洋プラスチック憲章」が採択された際、国内の経済界との調整が間に合わなかったとして署名を見送り、環境団体から批判を浴びた。今年6月、政府はプラごみ削減に向け、20年中にプラスチックレジ袋の無料配布の禁止を法制化すると表明。先月28、29両日に大阪で開かれた主要20カ国・地域(G20)首脳会議では「プラごみの海洋流出の抑制や大幅な削減のために適切な行動を速やかに取る」との決意を首脳宣言に盛り込み、「50年までに新たな海洋プラごみ流出ゼロ」を目指すビジョンも打ち出した。

 議長国としてビジョンをとりまとめた政府は今後、「海洋プラごみ流出ゼロ」という重い課題を背負う。実現に向け、政府や各党はどう考えるのか。参院選を契機に耳を傾けてはいかがだろうか。【待鳥航志】

 

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 この連載は毎日新聞社とYahoo!ニュースによる共同企画です。参院選を新たな目線から伝えます。

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