メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

あなたの都知事選

開票はコロナで長引く? 感染防止対策に追われる現場の事情

新型コロナウイルス感染防止のため、普段より間隔を空けて都知事選の開票作業を始める区職員ら=東京都の千代田区役所で2020年7月5日午後8時50分、手塚耕一郎撮影

[PR]

 東京都知事選は5日、投開票日を迎えた。投票は午後8時に終わり、その後、開票作業が始まる。新型コロナウイルスの感染対策に気を配りながらの作業となるが、どのくらい長引くのだろうか。対策に追われる現場の「事情」を聞いた。【竹地広憲】

終了予定 最も遅いのは足立区の午前6時

新型コロナウイルス感染防止のため手袋とマスクを着用し、都知事選の開票作業を行う区職員ら=東京都の千代田区役所で2020年7月5日午後8時53分、手塚耕一郎撮影

 開票結果が確定する「開票終了予定時刻」。都選挙管理委員会は今回、各市区町村の選管から2パターンの回答を集めた。新型コロナ対策をしていない想定の「通常」パターンと、「コロナ対策」を織り込んだパターンだ。「通常」で終了予定時刻が最も遅かったのは日野市。6日の午前2時だった。

過去の東京都知事選の開票確定時刻

 ところが、「コロナ対策」込みで最も遅い時刻だったのは足立区で、午前6時だった。「通常」パターンは午前0時半。5時間半も余計にかかる想定だ。都内62市区町村のうち、足立区を含め37市区町村が、コロナ対策によって、「通常」より20分以上長引くと答えた。

 過去の知事選を振り返ると、2016年の前回、開票結果がすべて確定したのは午前1時5分だった。12年は衆院選と同日だったため午前7時20分とかなり遅かったが、ほかはだいたい午前0~1時台に確定している。

 開票作業は体育館などに設けた開票所で行われる。各投票所から運び込まれた投票箱から投票用紙を出して、候補者ごとに分類、誤りがないか審査、集計と自治体職員による流れ作業で進む。

衆院静岡4区補選の開票所で、フェースガードやゴム手袋を着用して作業する市職員ら=静岡県富士宮市で4月26日、手塚耕一郎撮影

 都選管は投票所と同じく、開票作業でも新型コロナ対策のガイドラインをまとめた。開票作業にあたる職員の間隔を確保する▽開票所が広くない場合、少人数体制で実施▽全員が手袋を着用――などだ。佐藤竜太選挙課長は「実際には想定より早く終わるケースもあるとみられるが、安全に気を配りながら作業を進めてほしい」と注意を促している。

 終了予定は午前6時と回答した足立区の開票所は、区総合スポーツセンターだ。どうして最も時間がかかるのか。区選管によると、投票用紙を整理する作業台は卓球台を使う。通常は10人程度が囲んで作業するが、今回は「密」を防ぐため5人程度に半減させる。会場の広さに限りがあって作業台を増やせず、職員は前回の464人から約6割減らし、約200人まで絞る。区選管の石鍋敏夫事務局長は「一人でも感染者が出れば職員の多くが自宅待機になる。区民へのサービスが落ちて迷惑をかけることになる」と説明し、理解を求めた。

 開票が長引くと答えた多くの自治体は、こうした人員削減の影響を考慮している。ただ、それだけが理由ではない。4月19日に区長選を実施した目黒区は、全員がゴム手袋を着用したが「すべすべした特殊素材の投票用紙が、より滑りやすくなった」(区選管)ため作業効率が落ちたという。都知事選でも手間取るとみられ、人員を2割以上減らすこともあって、通常より1時間ほど長引き、午前1時に終了すると答えている。

選挙機器や疑問票の影響も

 人員を減らしても、作業時間は延びないと予測する自治体もある。品川区は、前回約210人いた職員を今回は194人に減らす。ただ、終了予定時刻は「コロナ対策」込みでも「通常」と同じ、午前0時とした。前回16年には使わなかった最新の「読取分類機」を5台使用するためだ。票の表裏や上下を自動でそろえて仕分ける機能があり、1分間に660票を処理できる。「票をそろえる手間が省けるので、人員削減のマイナスと機械による効率化で『行って来い』になると読んだ」(区選管)と説明する。

 投票率の影響も大きい。投票率の増減によって、投票数が変動するので作業量も変わるためだ。投票率は前回59.73%だった。同日に行われる選挙の数も影響する。今回は都議補選が大田区や日野市など4選挙区であり、その分、開票する票数は増える。

 投票用紙に書かれた候補者名の一部が間違っていたり、「頑張れ」といった関係のない記述(他事記載)がある「疑問票」のチェックも作業時間に影響を与える。疑問票の扱いについては、候補者陣営からの「開票立会人」が意見を言うことができる仕組みとなっている。疑問票が多かったり、立会人が多くて確認作業が増えると、その分確定まで時間がかかる。

緊張が増す? 開票現場

 ある選管職員は開票確定時刻について、「予定時刻を過ぎても作業が終わらないと、都選管やマスコミから『なぜ遅れているのか』と問い合わせを受けて、プレッシャーになる。予定時刻にはどうしても余裕を持っておきたくなる」と内情を漏らす。

 過去の選挙では、「プレッシャー」のためか、不正が行われたこともある。2017年衆院選で、滋賀4区の開票作業に従事した滋賀県甲賀市の元総務部長らが、票の計算が合わないため白票を水増しするなど不正な処理をして有罪判決を受けている。元総務部長らは市の調査に「開票終了を遅らせないためだった」などと弁明したという。

 各選管には、開票でミスが許されないだけでなく、今回は「新型コロナの感染者を出さない」という緊張感も加わる。投票所が置かれる小学校などでは、PTAから子供への感染を心配する声も寄せられているといい、「投票終了後は手すりなど、会場全体の徹底的な消毒作業も実施する」(区選管幹部)と気を使う。

 各候補の街頭演説など表舞台に注目が集まる都知事選だが、各選管は開票確定まで緊張が続く。開票作業は朝までかかるのだろうか。民主主義の根幹をなす選挙を支える現場の仕事を目の当たりにして、1票の価値に一層の重みを感じている。

おすすめ記事
広告
毎日新聞のアカウント
ピックアップ
話題の記事

アクセスランキング

毎時01分更新

  1. 副厚生労働相に三原じゅん子氏 がん克服 党女性局長など歴任

  2. ジャパンライフに8000万円投じた女性 「安倍首相らが広告塔なので信用」

  3. 「僕が駅を利用しない方がもうかるのか」 疎外感訴える障害者 無人駅巡りJR九州提訴へ

  4. ORICON NEWS 『夏目友人帳』新作アニメ制作決定、2021年初春上映 2つの短編エピソード

  5. 大坂なおみ選手起用「かわいさ」狙った広告に集まった批判 その背景は

のマークについて

今週のおすすめ
毎日新聞社は、東京2020大会のオフィシャルパートナーです