第4回ダイハツ日本障がい者バドミントン選手権大会 篠田麻里子さん 大会観戦リポート!

障がい者バドミントンの日本一を決める、「第4回ダイハツ日本障がい者バドミントン選手権大会」が2018年12月15日と16日、福岡県久留米市の久留米アリーナで開催されました。今大会は全国から約120選手がエントリー。車いすや立位などの身体障がいに加え、知的障がいや聴覚に障がいがある選手もそれぞれの障がいに応じたクラスに分かれ競いました。女優、篠田麻里子さんも会場を訪れ、熱い声援で選手たちを力づけました。

同い年で仲良しの福家選手を応援

12月16日、福岡県久留米市の久留米アリーナで行われていた、「第4回ダイハツ日本障がい者バドミントン選手権大会」の観戦に行ってきました。会場の久留米アリーナは6月に完成したばかりで新しく明るく、バリアフリー。それに、観客席とコートが近い! 試合の迫力を感じられます。

今回、観戦に来た一番の目的は、福家育美選手(ダイハツ工業所属)の応援です。9月に東京で行われた「ヒューリック・ダイハツJAPANパラバドミントン国際大会2018」も観に行きましたが、福家選手の試合を応援することができず、「いつか必ず!」と思っていました。

昨年8月福家選手を取材し、パラバドミントンを体験した時の模様
昨年8月福家選手を取材し、パラバドミントンを体験した時の様子
ヒューリック・ダイハツJAPANパラバドミントン国際大会2018

訪れたのは大会2日目。この日は、男女ダブルスの試合が行われていました。9月に見た国際大会と違い、車いすや立位などの身体障がいだけでなく、知的障がい、聴覚障がいなどさまざまな障がいをもった選手が集まっています。選手にとっては来年度の強化指定選手の選考に向けた重要な大会。障がいクラス別の日本一を決める大会ということもあって、国際大会と違った緊張感がありました。

第4回ダイハツ日本障がい者バドミントン選手権大会

福家選手が出場するのは、車いすの女子ダブルス。小倉理恵選手とペアを組んでいます。私も、テニス部時代にダブルスの経験がありますが、相手に頼りすぎても、自分だけが頑張りすぎてもダメで、二人のバランスが大事なんです。福家選手・小倉選手ペアはチームワークよく、ショットに緩急をつけたり、エンドライン際の深いところに打ち込んだり、相手が嫌がりそうなところにコントロールされたショットをきっちり決めていきます。

福家選手は障がいが重く、腹筋など体幹の機能が利かないそうですが、そんなことを全く感じさせないパフォーマンス。私、障がい者スポーツの、「使える部分をすべて使う」という精神が好きなんです。この後の試合にも期待ですね。

篠田麻里子さん観戦

大会を裏から支える人たち

試合観戦の合間に、大会を支える方たちにもお会いしました。

ボランティアリーダー

小形公一さん


小形公一さん(久留米市バドミントン協会理事長)

小形さんはこの大会のボランティアリーダー。3年前に久留米で行われた第1回大会の時もボランティアとして関わったといいます。

今大会は競技審判員など60名に、久留米市内の2つの高校からバドミントン部の皆さんが約40名、合計100名のボランティアが参加。「選手がプレーしやすいこと」を第一に活動されているそうです。

久留米アリーナは、設計段階から、さまざまなスポーツ団体の意見を聞き、競技しやすい環境にこだわった施設で、例えば、バドミントンはシャトルを追って上を向く機会が多いので天井の照明の位置や明るさにも配慮されています。

充実した施設とたくさんのボランティアの方の存在があって、選手のパフォーマンスが支えられているのだと改めて感じました。

トーナメントディレクター

春日淳一さん

春日淳一さん(日本障がい者バドミントン連盟)

運営や進行など大会全体を統括するトーナメントディレクターの春日さんは、アメリカでバドミントンの国際大会を運営した経験のある方。日本の大会では、一昨年、町田市で行われたヒューリック・ダイハツJAPANパラバドミントン国際大会から関わられています。

大会にはさまざまな障がいの選手が出場するので、それぞれの障がいにあった配慮が求められます。苦労も少なくないとお聞きしましたが、会場も広くて使いやすく、久留米の皆さんがとても協力的で障がい者スポーツに対する理解や意識も高いことから「運営上のストレスがない」と春日さんはおっしゃっていました。

お二人のお話を聞き、久留米の皆さんの選手への温かい思いが感じられ、同じ福岡出身の私としても嬉しく思いました。

ハラハラしながら、決勝戦を応援

福家選手ペアは順調に勝ち星を重ね、決勝戦に進出しました。福家選手が所属するダイハツ工業から、グループ会社の社員など、およそ100名の応援団と一緒に応援しました。

応援って、ありがたいです。私も舞台やライブなど、ファンの方からたくさん力をもらいますが、スポーツではなおさら自分一人で越えられないものを越えていく力が与えられる気がします。

試合は、両ペアともコートのぎりぎりをついた厳しいショットの応酬で、長いラリーや威力のあるスマッシュなど、見ごたえたっぷりです。

実際に試合を間近で見て、改めて感じたのは、会場で応援すると、選手と同じような気持ちで「試合に参加できる」ということ。選手たちの息遣いや互いに交わし合う言葉も聞きながら、「惜しい」「もったいない」なんて言葉が思わず漏れたり、鋭いショットには私も体をのけぞらしていたり……。この臨場感は、コートのすぐ近くで見られる会場観戦の醍醐味だと思います。

福家選手ペアは、1セット目、2セット目とも落とし、決勝で惜しくも敗れました。でも、負けている場面でも笑顔を絶やさず、最後まであきらめない姿勢が伝わってきた素晴らしい試合でした。

福家さんに、インタビュー

試合終了後、ダブルスとシングルスで銀メダルを獲得した福家選手にインタビューしました。

――お疲れさまでした。やっと福家選手の試合が観戦できてうれしかったです。いいプレーがいっぱいで見ごたえがあって、すごくおもしろかったです。

(福家選手、以下略)

ありがとうございます。でも、やっぱり、(優勝して)一番いい色のメダルが欲しかったです。最後に負けてもらう銀メダルは悔しいです。シングルスは去年、勝った相手(里見紗李奈選手)に負けてしまいました。相手をもっと研究して、来年はまた、金メダルを狙います。

ダブルスは、これまでに比べ、一番手ごたえがある試合ができました。相手ペア(山崎悠麻選手・里見紗李奈選手)は強く、以前はラリーにもならなかったのですが、今日はラリーに持ち込むことができました。

――お互いに厳しいショットを打ちあって、拾って……。ハラハラしながら見ていて、応援にも力が入りました。福家選手のショット、相手が嫌がりそうなところによく決まっていましたね。

はい、得点も今までで一番取れたと思いますし、以前よりも相手にプレッシャーを与えられた気がします。収穫はありました。勝てなかったのは悔しいけど、階段は昇れているのかな。

ただ、最後の決め球を打ち急いでミスをしたり、攻めが甘かったりで、勝ちきれませんでした。修正して、また挑戦します。

――さすが、アスリート。目標は高く、ですね。応援しています。今後の目標はいかがですか?

来年からパラリンピック代表選考レースが始まります。一層練習に集中し、悔いのないように頑張りたいです。練習することでしか、自信は得られませんから。娘がメダルをかじるのが大好きなので、一番いい色のメダルをプレゼントできるように、頑張ります!

アスリートを応援する、さまざまな取り組み

コート外のイベントブースも覗いてみましたが、こちらには大会に特別協賛するダイハツ工業の選手への思いがあふれていました。

オリジナルメダル
製作プロジェクト

オリジナルメダル

成績上位の選手に贈られるメダルは、「世界にひとつだけのメダルで選手に喜んでもらおう」と、(株)ダイハツメタルの鋳造技術と地元久留米市の伝統工芸がコラボした、心のこもった特製品。メダルとストラップのVで、シャトルをイメージしているそうで、一目見て、「私もほしい!」って思いました。

メダル部分は見るからに大きく重厚で、首にかけさせてもらったら、ズッシリ! 表面には大会名が書かれていますが、鋳型に漢字をデザイン通りに再現することが難しく、何度も作り直したそうです。

今回、必要なメダルは金銀銅合わせて91個。鉄で原型を作ってから職人さんが1個につき6時間もかけて磨き上げ、最後に金銀銅のメッキを施し、完成するそうです。スゴイ!

ストラップも、地元の「久留米絣(くるめがすり)」で手作りされたオリジナル。実際に手にした選手たちも「国内の大会で、こんなに大きなメダルは見たことない」と喜んでいましたよ。

競技用車いすの
輸送時保護カバー製作プロジェクト

競技用車いすの輸送時保護カバー

「競技用車いすを安全に、楽に運びたい」という車いすクラスの選手の要望に応え、「競技用車いすの輸送用保護カバーの製作プロジェクト」も現在進行中でした。

車いすクラスの選手にとって、競技用車いすは大切な用具であり、また、「脚」でもあります。これまでは、むき出しのまま運搬していて壊れてしまったこともあると聞きました。

空輸等で預けている時以外は選手自身が運ばなければならないため、小柄な福家選手の要望は、「頑丈だけど、軽量でコンパクト」。イメージ画を描いて試作品を製作し、より使いやすくなるよう福家選手に意見を聞いて改善を重ねているそうで、見せていただいたのは3代目でした。

選手によって車いすのサイズも違うし、要望もさまざまなようですが、今後は他の選手にも広げていきたいということです。選手を応援する素敵なプロジェクト。少しでも広がっていくといいですね。

ダイハツ タントスローパー

ダイハツ タントスローパー

車いす移動用車両、ダイハツの「タントスローパー」も見学しました。後部にスロープが装備されていて、後部座席部分に車いすのまま乗り込めるようになっています。

以前、車いす体験をしましたが、スロープって転倒の可能性もあり、怖いんです。でも、この「スローパー」は電動ウインチをリモコンで操作して乗り込むので、車いすの人も、介添えする人も安心だと思いました。

カフェサービス

カフェサービス

観客の方には、美味しいホットドリンクも無料でサービスされていました。ダイハツロゴのラテアートが入ったカフェラテやコーヒー、抹茶にクッキーまでついて、大満足。ホッと一息つけました。

大会を観戦して

福家選手の結果は少し残念でしたが、試合は接戦だったし、応援しがいがありました。福家さんの悔しそうな表情に、勝負の世界の厳しさとアスリートとしての強い思いを感じました。

大会を支えるたくさんの人たちにもお話を聞きました。それぞれの立場から、運営や会場づくり、競技環境の整備など、選手たちへの思いやりが詰まっていました。選手にもそんな思いが伝わり、「応援に応えたい。勝ちたい」という一生懸命さが試合にも出ていたように思います。

障がい者バドミントンの試合の面白さはもちろん、競技に対する理解の高まりやサポートの厚みを感じることもでき、実り多い大会観戦でした。選手の皆さん、関係者の皆さん、ありがとうございました。

篠田麻里子さん観戦
しのだ・まりこ
1986年3月生まれ。福岡県出身。人気アイドルグループ、AKB48の中心メンバーとして2006~13年に活動。
女性誌の専属モデルも務めた。パラスポーツの熱を高めることを目指す東京都のプロジェクト「TEAM BEYOND」のメンバー