大学全入時代、
問われる「自ら進路を選ぶ力」

大学入学共通テストの難化、有名私立大への人気集中、そして年内入試の拡大。2026年度(26年4月入学)の大学入試は「新課程」入試の2年目で、制度改革と少子化の影響が重なり合う転換点にある。私立大の5割が定員割れとなり、「大学全入時代」が現実味を帯びる中、情報を見極め、他者に流されず、自らの進路を選び取る力がこれまで以上に問われている。

25年度入試(25年4月入学)を総括すると、共通テストの平均点は3年連続で上昇したが、それに伴う国立大の志願者の伸びは見られなかった。一方の私立大は、有名大を中心に軒並み志願者増となり、特に共通テスト利用方式は大きく志願者を伸ばした。「浪人を避けたい」という国公立大志願者が、出願校の難易度を下げたり、私立大の併願校を増やしたりといった、安全志向が働いたようだ。

新課程2年目となる26年度の共通テストは、「難化する可能性が高い」と大学受験関係者は口をそろえる。では、受験生の志望動向はどうか。

「地区によって国立大志向が強いところと、公立大志向の強いところにわかれます」と語るのは、駿台予備学校入試情報室の城田高士室長だ。

駿台が7月に実施した共通テスト模試で見ると、国立大志向が強いのは東北、甲信越、東海で、公立大志向が強いのは関東、関西、中国、九州。城田氏は「関東は公立大は前年度並みですが、国立大志望者が減少しています。関西、九州は公立大志向が強いものの、国立大志望者も増えているので、極端な安全志向はなく、国公立大志向は強いと思われます」と語る。

東京大や京都大など旧帝国大7大学に東京科学大、一橋大、神戸大を加えた「難関国立大学」では、志望者増となっている大学が多い。特に東北大と京都大は他地域からの志望者が増えている傾向にあり、全国的な人気が継続している。城田氏は「難関大学の中では、関東の大学の志望者が減っていて、関東の『安全志向』は続きそうです」と指摘する。25年度と同様に、難関大人気は「西高東低」の様相だ。

国際系人気復活、農・水産系も志望者増

26年度入試における受験生の学部系統別志望動向も見てみよう。駿台が7月に行った共通テスト模試のデータでは、前年同時期の志望者数を100とした場合、国公立大、私立大ともに国際系が息を吹き返し、農・水産系に関心が集まりつつある。

しばらく続いていた理系偏重にも変化が見られ、国公立大の文系の志望動向は、全体的に人気が回復傾向。特に目立つのが、外国語や国際関係の志望者増加だ。理系では理、工ともやや増加する一方、大きく伸ばしているのが、農・水産系だ。コメの価格上昇が日常的な話題となる中で、関心を持つ受験生が増えているのだろう。

私立大でも、文系全般の志望者が増加傾向にある。特に、経済・経営・商といった実学系の人気は根強く、外国語や国際関係にも上昇が見られた。理系では、国公立大と同じく農・水産に人気が集まっている。城田氏はこう指摘する。

「高校生は大人が思う以上に、社会問題に対して感受性が強い。環境問題や国際情勢、物価やエネルギーの問題など、身近に感じる課題から『自分に何ができるか』を考え、進路に結びつけているのでしょう」

26年度は「新課程」入試2年目。共通テストの難化や出題傾向の変化など予想される中、明確な志望理由と戦略的な準備がいっそう重要になる。近年では、学びの内容や大学の理念に共感し、「将来、社会とどう関わりたいか」という視点から進路を決める受験生も増えている。一方、大学側も学部名やカリキュラムに独自性を打ち出し、定員割れが進む時代にどう応えるか模索している。だからこそ、一時の風潮や世間の評価だけに頼るのではなく、自分の価値観に根ざした進路選択が求められると言えよう。

本文は毎日新聞本紙特集(2025年9月24日付)を編集、引用しています。

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