今年から飼った猫が予想以上の癒やしに

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 ここは山形駅に近いお宅ですが、静かで落ち着いた雰囲気ですね。ゆったりと時が流れる環境で、執筆も毎日決まった時間に決まった分量を書いているんですか。

 「そういうふうにちゃんとしたスケジュールで書きたいんですが、僕はアイデアがきちっとまとまらないと書けないタイプなので、一日一日まちまちです。行き当たりばったりというか、かっちり毎日執筆するというわけではありません。アイデアが出なくて、締め切りギリギリ追い詰められて、まさに脂汗を流しながらやっています。悪い癖ですけど」

 私も似たタイプで、締め切りがないと一行も書けません。でも追い詰められると、人間、何とかなるものですよね。

 「窮すれば通ず、何とか出てくるものですね」

 苦吟しているとき、縁起を担いで、アイデアが出るために何かすることはありますか。

 「風呂に入ることが多いです。シャワーを浴びますが、マイナスイオン効果があるのか、追い込まれて必死になると何とか出てきます」

 長岡さんはこうしてお会いしていると温厚な印象を受けますが、追い詰められている時は人格が変わりますか。

 「めちゃくちゃ性格が悪くなって、家内には迷惑をかけっ放しです。それに書いたものをまず第一番に読んでもらって、その意見をもらって原稿を直すとよくなっているので、助かります。感謝のしっ放しです」

 奥様とはいつご結婚を?

 「5年前です。家内は県庁職員で、今年退職して、僕の仕事を手伝ってもらっています。ちょうど4年前の東日本大震災が起きた3月11日は、新婚旅行中で沖縄にいました。予定通りに3月15日に戻ってきましたが、仙台空港に駐車していたマイカーは流されていました」

 先ほど、ネタはほとんど読書から、というお話でしたが、そうすると、結構たくさん本はお読みになる?

 「年がら年中読んでいます。僕の部屋はもう本だらけというか、蔵書がたくさんでして……」

 作家の蔵書は、よく床が抜けるくらい大量だと言います。確かにすごい分量ですよね。ざっとどのくらいですか。

 「蔵書は1万冊くらい。いや、紙の本はもう半分くらいかな。というのも、本棚に入りきらないものはスキャンしてパソコンに入れています。もう3000冊くらいになりますか」

 いわゆる電子書籍化ですね。ご自分で“自炊”しているんですか。

 「女房にも手伝ってもらっていますが、あらゆる種類の本を自炊しています。パソコンに入れておけば検索ができて、辞書としても使えます。便利といえば便利、確かに探すのは便利ですね。でも、やっぱり紙の本の手触りが好きなので、できれば紙の本のまま持っておきたいんですけどね」

 ネタ探しの苦しみを癒やすようなものは何かないんですか。

 「今年1月から我が家で猫を飼い始めました。2歳のメスでフクという名前です。猫は自分の縄張りを主張する本能を持っているのでしょう、この家の角という角をすべてガリガリかいてボロボロにしてしまいました。でも、僕にとっては予想以上に癒やしになっていて、はっきりいっていいものだなと」

 猫は人の気持ちがわかる?

 「人の気持ちを読みますね。こっちが悪いことをすると、仕返しをしてきますしね。でも、今は結構慣れてきて、こちらが疲れているときに、あっちのほうから僕の脚にからみついてきてスリスリされると、メロメロになっちゃう。それまで仕事で悩んでしかめっ面だったのが、自然にパッと顔がゆるみますね。それが思った以上にありがたい。笑顔をプレゼントしてくれます」

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