毎日新聞 終活・シニアライフ特集

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認知症

基礎編 認知症の基礎知識と対策

③認知症と終活

監修:明石久美(明石シニアコンサルティング代表)

認知症で困ること

認知症になると、もともと当たり前のようにできていたことができなくなってきます。
自立した生活が困難になり、介護してくれる家族に大きな負担をかけるかもしれません。
また、入居していた老人ホームなどから退去を迫られる可能性もあります。

中でも問題になりやすいのが、お金の管理です。
たとえば、次のような不都合やトラブルの恐れがあります。

●預貯金や不動産など所有している財産を把握できない
●自分の生活に必要な金銭の管理ができない
●売買や賃貸借などの契約で正常な判断ができない
●詐欺などの被害にあう危険性が高まる

安心してお金の管理を任せられる家族(配偶者や子など)がいるのであれば、それほど深刻な問題にならずに済むかもしれません。
しかし、家族の仲があまりよくない、ムダ遣いをされるのが心配、あるいは頼れる家族がいないといった場合には、どうすればいいのでしょうか。

こうした場合は、後見人(成年後見人)と呼ばれる代理人を立てることが有力な選択肢の一つになります。

認知症と後見人

認知症などにより判断能力が十分ではなくなった人は、財産管理や契約などを正常な判断にもとづいて行うことが困難です。
こうした人を法律的に支援する「成年後見制度」という制度があります。
この制度により本人を支援する立場の人は、「成年後見人」と呼ばれます。
(成年後見人は、本人の判断能力の度合いにより、「後見人」「保佐人」「補助人」のいずれかになります)

どのような制度なのか?

成年後見制度には「任意後見制度」と「法定後見制度」の2つがあります。

●任意後見制度
本人が元気なときに、後見人になってもらいたい人と公証役場で契約書を作成しておくもの。
判断能力が低下した際に、後見人になる人や親族などが家庭裁判所に申し立てることで利用できます。
●法定後見制度
すでに判断能力が低下しているときに利用できるもの。
家庭裁判所に申し立てをして、家族や親族または専門家を後見人等として選任してもらいます。

成年後見人は何を行う人なのか?

成年後見人の職務は法律行為の代理や同意・取り消しで、主に次の2つを行います。

●財産管理
現金・預貯金・不動産・有価証券などの管理、税金、公共料金、保険料などの支払い。
●身上監護
福祉・介護・医療などに関する契約や手続きなどの代理や同意・取り消し。
※契約や手続きの代理であり、生活や介護そのものの支援ではないことに注意してください。

利用上の注意点

成年後見制度の利用においては、次のような注意点があります。
これらを把握したうえで、利用を検討してみてください。

●自由に財産移転ができなくなる

空き家の自宅を賃貸する、不要な不動産を売却する、預貯金を運用するなどのことはできません。
不動産の売却代金が本人に必要な場合などは、家庭裁判所に申し立てをして承認を得る必要があります。

●後見人は原則として辞められない

いったん後見人を引き受けると、原則として辞めることができません。
身内が引き受ける場合、事前に職務範囲や報酬について理解や了承を得ておき、そのうえで引き受けることが大切です。

●引受人がいない場合もある

身内であっても、後見人を引き受けてくれるとは限りません。
また財産が少ないと、専門家が引き受けてくれない場合もあります。

ここに注意!身内が後見人になる場合の注意点
周囲の理解や協力がなければ、本来の職務範囲を超えた過大な負荷がかかることがあります。
また無報酬の場合があるため、負荷が大きいと相続でもめることがあります。

認知症と相続

認知症による判断能力の低下は、相続においても問題になります。
家族(相続人)が認知症の場合、本人(被相続人)が認知症の場合に分けて見ていきましょう。

家族(相続人)が認知症の場合

家族(相続人)の中に認知症と診断された人がいると、相続人が亡くなった後の遺産分割協議を適正に行うことができません。
こうした場合は、成年後見人が必要になります。

仮に、身内が後見人を引き受けたとしても、遺産分割において利益相反となる場合は家庭裁判所に特別代理人を選んでもらう必要があります。
たとえば、被相続人の妻が認知症の場合、法定相続人である子が後見人となると、適正な協議ができません。
とはいえ、特別代理人として専門家が登場すると報酬の支払いが必要ですし、分けたいように分けられない可能性もあります。

一時的な特別代理人ならともかく、専門家が後見人になったり、場合によっては身内の後見人に後見監督人がつけられたりすると、これらの専門家への報酬の支払いが長く続くことさえあります。

生前に遺産分割の仕方を決めておき、正式な遺言書を残すことで、こうしたことを回避することができます。

本人(被相続人)が認知症の場合

本人(被相続人)が認知症の場合に問題となりやすいのが、遺言書に関するトラブルです。

たとえば、相続人である兄弟がいて、兄に多くの財産を遺すことを記した父の遺言書があるとします。
これを弟が不服として、父(被相続人)の認知症を理由にその遺言書の無効を主張するようなことになると、話が複雑になります。

遺言書を作成した時点で、正常な判断能力を有していたかどうか。
その判断は、医師に認知症と診断される前か後かといった単純な話では済まないでしょう。

もちろん、正常な判断能力を有するときに作成された遺言書であることが明らかであれば、後に認知症になったとしても、その遺言書の有効性に疑いはありません。

こうしたトラブルを避けるためにも、本人が元気なうちに遺言書を作成しておくべきです。

ここが大切!何のための遺言書か
遺言書を書くべき当人である親が、遺言書の役割や重要性を理解していないことが多いものです。
財産がない、家族仲が良いなどの理由で、遺言書が不要になるわけではありません。
遺言書を残す場合はその目的を明確にし、本人の意思のみならず、家族がもめない、困らないような配慮も必要です。
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