毎日新聞 終活・シニアライフ特集

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相続

実践編

相続開始直前の贈与は有効か?

平成27年1月1日以後に発生した相続より、基礎控除額が4割縮小されるなど、相続税の引き上げが行われました。相続税を節税したいと思う方も増えていることでしょう。

当然ですが、相続財産が少なければ少ないほど、相続税も少なくなります。相続税を少なくする最も効果的な手段が、生前贈与です。
生前贈与に関する相談はかなり増えてきていますが、下記のような事例も発生してきています。

亡くなる前3年以内の贈与は

「え? そうなんですか!?」
税理士の説明に、長男Aと長女Bは驚きました。

「はい。相続税法に規定がございまして、お母様がお亡くなりになった日から遡って3年以内にされた贈与については、相続税の計算に含めることになります」

母の相続について依頼した税理士の説明では、母が亡くなる数日前に母から長男Aと長女Bが贈与を受けた各300万円については、相続税を計算する際に財産に含めるというのです。贈与をすれば相続税が減るものとばかり思っていた二人には、軽いショックでした。

贈与の経緯

父はずいぶん前に亡くなり、その際は母が多くを相続しました。
それから相続税法の改正があり、世間で「相続税の大増税時代」などと騒がれ始めたのです。
気になった私は母とともに、相続セミナーや無料相談会に何度か足を運びました。そして、相続税がかかりそうだということと、生前贈与が有効だということを知りました。

母もそのことを理解しており、いくらくらいずつ贈与したらいいかということや作成すべき書類のことについて、簡単に話し合ったこともあります。
ただ、実際に贈与するところまでは進まず、何もしないまま約6年が経ちました。

母はずっと元気でいましたが、年が明けたころに咳が止まらないということで、念のために検査入院をしました。症状は重くなかったので、母自身も私もそこまで心配をしていなかったのですが、これも何かのきっかけかもしれないということで贈与を実行することにしました。

贈与の金額は、私長男Aと長女Bにそれぞれ300万円です。病院近くの銀行から母が自分で振込の手続をしました。
それから数日経ったある日、母の容態が急変し、そのまま帰らぬ人となってしまいました。

有効性を理解していたのに・・・

今回のケースでは、被相続人(亡くなった方)と相続人(遺族)がともに生前贈与の有効性を理解していましたが、実行に至るまでに時間を要してしまったために、その効果を得ることができませんでした。

もし、生前贈与を早めに実行していた場合の税負担を試算すると、下記のようになります。今回のケースの税負担は、下記①の金額と同額になります。
(※下記の金額は一例です。贈与方法や金額、贈与時期などによって試算結果が変わります)

①贈与をしない場合
相続税の総額:1,060万円

②100万円ずつ3年間贈与していた場合(母が亡くなった日前の3年間より前)
相続税の総額:940万円(①との差額 120万円)

③300万円ずつ3年間贈与していた場合(母が亡くなった日前の3年間より前)
 相続税の総額:725万円
 贈与税の総額:114万円
合計:839万円(①との差額 221万円)

亡くなる日前3年以内の贈与に注意

上記の通り、相続開始前3年以内の贈与は、相続税の課税対象となります。
相続税の申告書を作成するにあたり、被相続人の預金通帳を確認しますと、亡くなる直前に110万円内で贈与をしている事例を見ることがあります。

「110万円内は税金がかからない!」ということをご存じの方が増えているため、こういったことが起きるのでしょう。気持ちはよくわかりますが、国も甘くはありません。

相続や遺贈によって財産を取得した人が、被相続人からその相続開始前3年以内(死亡日から遡って3年前の日から死亡日までの間)に贈与を受けた財産があるときには、その人の相続税の課税額に贈与を受けた財産の贈与時の価額を加算すると定められています。
ただし、相続などにおいて財産を取得していない人は、3年以内に贈与を受けたとしても、相続税の加算の対象とはなりません。

せっかくの贈与が有効なものとなるよう、贈与の意思が固まっている場合や贈与について関心がある場合は、なるべく早く行動に移すことをお勧めします。

<執筆者>コンパッソ税理士法人
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