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月刊パラリンピック

課題の世代交代 平昌、若手が存在感

距離男子10キロクラシカル立位で滑る川除大輝=宮武祐希撮影

 平昌冬季パラリンピックで日本は計10個のメダル(金3、銀4、銅3)を獲得したが、若手が大舞台を経験したことも大きかった。世代交代が長年の課題とされる日本の冬季障害者スポーツだが、今大会は日本選手団最年少となる17歳の2人を含む高校生3人と、大学生2人(いずれも所属は大会時)が初出場。2022年北京大会に向け、力強く一歩を踏み出した。【谷口拓未】

    17歳、入賞に貢献

     平昌大会最終日の3月18日、アルペンシア・バイアスロンセンターで行われたノルディックスキー距離の混合10キロリレー。男子立位の川除(かわよけ)大輝(17)=日立ソリューションズJSC=は最終4走で出場し、日本の過去最高となる4位に貢献した。「力を出し切れた。結果もとても良かった」と笑顔を見せた川除は、充実感を漂わせた。

     今大会は重圧もあり、個人種目は20キロフリーなどの9位が最高だった。しかし、リレーでは本来の伸びのあるスケーティングを見せ、最後まで上位に食らいついて健闘した。10キロクラシカルで金メダルを獲得し、リレーの1走を務めた男子立位の新田佳浩(37)=日立ソリューションズ=は、「力以上の滑りを発揮してくれた」と川除の成長を頼もしく感じていた。

     若いうちに最高峰の大会を経験することは飛躍へのきっかけになると語るのは、日本選手団の大日方(おびなた)邦子団長だ。「パラリンピックは観客数も会場の雰囲気も、海外選手の仕上がりも他の大会と全く違う。簡単には勝てない現実を知ることも今後につながる」と意義を説く。

     大日方団長の言葉を裏付ける成長を見せた一人が、大回転の金を含め出場全5種目でメダルを獲得したアルペンスキー女子座位の村岡桃佳(21)=早大=だ。初出場した14年ソチ大会は5位が最高だったが、「もっと速くなりたい」と悔しさをバネに飛躍を遂げた。

    アルペン女子回転立位で8位入賞を果たした本堂杏実=宮武祐希撮影

    ラグビーから転向

     アルペンスキーでは、過去のパラリンピックで日本の歴代メダル獲得数が2個と苦戦していた立位で、女子の本堂杏実(あんみ、21歳)=日体大=が意地を見せた。元々はラグビー選手だったが、パラリンピックを目指しスキーに転向。本格的に競技を始めて約1年5カ月で大舞台に立った。スーパー大回転ではスタート直後に旗門をクリアできずに途中棄権。左右の振り幅が大きい難度の高いコースに対応できず、悔し涙を流したが、1週間後の回転では8位入賞を果たした。

     本堂は「トップとの差を実感した。4年後に向けもっと努力しないといけない。もっともっと、上に上がれる」。女子立位に日本勢が出場したのは06年トリノ大会以来。本堂だけでなく、日本の障害者スキー界にとっても大きな収穫となった。

    スキー距離に新星

     アルペンスキー男子立位の高橋幸平(17)=岩手・盛岡農高=は最高成績が回転の17位だった。ただ、このカテゴリーの他の日本選手は、ともにトリノ大会から出場している三沢拓(30)=SMBC日興証券=らベテラン2人で、高橋は次代を担う存在として期待されている。

     スキー距離の荒井秀樹監督は「ベテランが若手に(間近で)走りを通じて教えていくと、強くなれる」と語る。このほか距離では、日本勢で唯一、座位に出場した女子の新田のんの(21)=北翔大=や、男子立位の星沢克(18)=北海道・立命館慶祥高=も初出場した。

     世代交代を円滑に進めるには、ベテランが第一線で活躍している間に、若手に技術や経験が継承されることが理想だろう。4年後の北京大会を視野に、経験は若手の財産となり、飛躍への礎になる。


     原則、第2火曜日に掲載します。

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