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20年東京五輪・パラリンピック

聖火、試される東北復興 出発地福島

2020年聖火リレーの各都道府県順

 2020年東京五輪の聖火リレーの出発地が福島県となった。「復興五輪」の理念を実現する試金石となる選択だ。1964年東京五輪の聖火リレーは日本全国を熱狂に巻き込んだが、今回は各都道府県がルートを作成して、新たな姿を模索する。24日で開幕まで残り2年。本格的に大会機運の盛り上がりを図る時期に入ってきた。【田原和宏、村上正、松本晃】

     組織委が検討委員会を設置して聖火リレーのルートや出発地の選定を始めたのは昨年2月だった。当初から被災地を重要視することは確認したが、聖火リレーが始まるのは3月下旬。北海道や東北では寒さが残る。桜前線とともに北上できる沖縄県を出発地とする案があったのは合理的だ。さらに熊本地震(16年4月)など全国に被災地はあり、東日本大震災に絞るべきか否かという議論もあった。

     それでも選んだ背景には組織委や政府が掲げる「復興五輪」の姿が見えにくいという指摘を払拭(ふっしょく)する意図があった。「復興五輪」は開催が決まった13年9月の国際オリンピック委員会(IOC)の総会で強調されたが、もろ刃の剣だった。海外メディアが東京電力福島第1原発の汚染水漏れへの懸念を指摘したためだ。総会のあったブエノスアイレスを訪れた安倍晋三首相が「状況はコントロールされている」と説明しただけに、「復興」には重い責任がある。

     ただ、国内では歓迎ムード一色でもなかった。「五輪が復興にどう影響を与えるのか」。人手や財源、施設が不足し、参加国・地域との交流を図る「ホストタウン」の登録や大会前に行う「事前キャンプ」誘致に否定的な被災自治体は少なくない。組織委は16年11月、野球・ソフトボールの福島開催を決め、4月、ギリシャで採火された聖火を「復興の火」として被災3県で展示することにした。鈴木俊一・五輪担当相は「復興五輪を中身のあるものにしなければ」と復興への動きを加速させる必要性を強調する。

     12日に発表された日程は被災3県をまとめて回るのでなく、懸念されていた寒さを避けるように福島県から南下するルートとなったが異論の声は上がっていない。出発地を誘致してきた宮城県石巻市の亀山紘市長は「同じ東北地方で、特にまだ被災者の皆様が多くいる福島県に決定したことは、復興に向けて進む大きな力になる」との談話を発表した。

    都道府県、ルート知恵比べ

     1964年東京五輪の聖火リレーは米国統治下の沖縄が出発地だった。当時は「一筆書き」の規定はなく、沖縄を9月7日に出発して四つのコースに分かれ、約1カ月かけて巡った。沖縄は聖火の国外コースの終着点であり、国内の出発地点でもある位置付けだった。沿道の人々が日の丸の小旗を振る姿が72年の本土復帰へとつながった。

     聖火ランナーだった茨城県牛久市議の柳井哲也さん(71)は「東京で五輪をしたおかげで全てが変わった」と振り返る。全国10万人以上のランナーが参加し、聖火を待ちわびた人々が沿道を埋め尽くす熱気は、戦後復興から高度成長期に向かう原動力となった。

     今回も前回と同様に47都道府県を回るが、ランナーだけが走り、国内の機運醸成が色濃かった光景は過去のものだ。現在はスポンサー企業のロゴ入りのバスなどキャラバン隊の車列がずらりと並び、連日、出発式などのイベントが盛大に行われる。経費は数十億円規模とされ、組織委は今回、収入を増やすため、スポンサーを従来の3社から4社とすることも検討する。国際オリンピック委員会(IOC)が「一筆書き」としたのも、ルートを分けると費用がかかるうえ、スポンサー露出が下がるためだ。

     テレビ映えも求められる。2014年ソチ冬季五輪は聖火が宇宙やバイカル湖の水中に運ばれ、2月の平昌冬季五輪は韓国と北朝鮮の選手が最終ランナーを務め、融和を演出した。開催都市が発信したいメッセージを含めることも増えた。

     ルート案は専門家が作成するのが通例だが、組織委は「国内外に誇る場所」「人々に新たな希望をもたらすことができる場所」など基本的な考え方を示して、各都道府県に委ねた。誰が、どこを、どのように走るのか。各都道府県のアイデア勝負が始まる。

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