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東京へ ともに歩む

毎日新聞

体操男子の強化合宿で技の動きを確認する内村航平(中央)=東京都北区の味の素ナショナルトレーニングセンターで2019年1月13日午後5時12分、佐々木順一撮影

東京・わたし

内村航平「東京五輪は体操人生かけて挑む」

 東京五輪開幕まで3月12日で500日。体操で個人総合3連覇、団体2連覇を狙う内村航平選手(30)=リンガーハット=に、現在の心境や五輪に向けての抱負を聞きました。【聞き手・円谷美晶】

     ――東京五輪開幕まで500日です。

     ◆もう500日、っていう気持ちです。毎日練習しているNTC(味の素ナショナルトレーニングセンター)の1階にカウントダウンの電光掲示板があります。残り1000日以上あったのが、いつの間にか「えっ、ケタが減っている」って。数字として見ていると「近づいているな」と感じるけれど、実際に過ごしていくと500日って相当(時間が)あると思う。その中で、やれることは後悔のないようにやりたいです。

     ――過去に「2020年が東京での五輪じゃなきゃ引退していた」とおっしゃっていました。東京五輪への思いを聞かせてください。

     ◆東京五輪は一生に1度だと思うんです。きっと見るのもそうだし、(代表選手として)出られるのなんて、もう奇跡に近いくらいだと思う。その舞台に立った時、どういう感情になるのか、体験してみたい。絶対に出たい。出て、結果がどうであれ、終わった後にどういう感情になっているんだろうって考えます。

     ――どういう気持ちになると想像しますか。

     ◆自分でもわからないです。すごく喪失感を覚えるのか、ずっとこの状態を楽しみたいという気持ちなのか。また次の4年後も目指したいと思うのか……。東京五輪は自分の体操人生をかけて、目標として掲げて挑む場所です。出られることも奇跡に近いと言ったけれど、やっぱり出なきゃいけないと思う。出て、結果も残さないといけない。一言で言うと、「未知すぎて、わからない」っていう表現が一番近いです。

     ――今までの五輪とは違いますか。

    東京五輪など今後について語る内村航平=東京都北区の味の素ナショナルトレーニングセンターで2019年1月13日、佐々木順一撮影

     ◆全く違います。「東京五輪」と言われても、五輪としてとらえられない。自分の国で開催されるというのが全く想像がつかない。新国立競技場とか、いろいろな会場が着々と建設されているじゃないですか。見ても、まだ現実だと思えないんですよ。

     今までの五輪では全く知らない国に行って体操をやって、結果を残す。そのために行っているので「五輪だ」って気持ちになれますが、東京五輪は行こうと思ったら自家用車で行けるじゃないですか。そこが全然ピンとこない。未知すぎます。

     ――内村選手が故障を抱えていた昨年の世界選手権の団体は3位でした。体操男子の現状をどうとらえていますか。

     ◆僕ら、やっている(選手)側はそこまで危機だとは思っていないです。むしろ、希望しかない。「ここを直せば、戦える」というのが見えているので。でも、周りはどうしても結果や数字に目が行きがちなので、そう(危機だと)思われてもしょうがない。だから、演技で示すしかない。できる自信があるから、僕たちはそこまで危機感を持っていないんです。すごく前向きです。そういう選手しか、世界(で金メダル)はとれないと思う。負けても常に前向きでいられることが強みだと思います。

     ――内村選手は体操界では絶対的な存在です。後を継ぐような存在は育ってきていると思いますか。

     ◆育っています。これも点数などで見られがちですが、チームを引っ張るという意味だと(白井)健三はしっかりできているし、萱(和磨)も安定感のある演技で流れを変えることができる。すごく理想のチームで、いい選手が下から出てきたなという印象です。同じような選手は出ない。選手一人一人、色が違うので、その中でどう日本らしくまとまっていけるかが大切だと思う。そこは僕も北京五輪代表になった時、冨田(洋之)さんら上の先輩から教えてもらった部分があるし、まだまだ下に伝えていかないといけない。東京(五輪)がゴールではなく、その先もずっと、体操はお家芸として強い競技じゃなくてはいけない。そのために僕が伝えられることは、全部伝えたいなと思います。

    うちむら・こうへい

     1989年生まれ、長崎県諫早市出身。元体操選手の両親が営む体操クラブで競技を始め、日体大時代の2008年に北京五輪に出場した。12年ロンドン五輪、16年リオデジャネイロ五輪での個人総合2連覇を含め、五輪3大会で7個のメダル(金メダル3、銀メダル4)を獲得している。

    円谷美晶

    毎日新聞東京本社運動部。1985年、東京都生まれ。2009年入社。北海道報道部、千葉支局を経て、東京社会部では気象庁や東京都庁を取材。18年から東京運動部で五輪取材班となり、体操、トライアスロンなどを担当。高校までの部活動は陸上で中・長距離の選手。いつも皇居周りを走っていた。