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東京へ ともに歩む

毎日新聞

毎日新聞の取材に東京五輪への思いを語る岩手県の達増拓也知事=岩手県庁で2019年2月1日、佐藤慶撮影

東京・わたし

競技会場がない岩手 達増知事が考える海外から観客を呼び込むアイデア

 2020年東京五輪開幕まで500日の節目を迎えるのを機に、岩手県の達増(たっそ)拓也知事(54)が毎日新聞の取材に応じました。11年の東日本大震災後に東京都が開催都市に立候補した当時の思いや、競技会場がない岩手に海外からの観客を呼び込むアイデアを聞きました。【聞き手・村上正】

     ――11年8月に日本オリンピック委員会(JOC)の竹田恒和会長が東京の五輪立候補に向けて岩手県庁を訪問し、協力を要請しました。

     ◆当時は岩手県内で(16年)国民体育大会、全国障害者スポーツ大会開催の内々定をもらっていて、大会を予定通り実施すべきかどうか議論していました。そんな時に、五輪・パラリンピックの話が出てきました。五輪についても、震災復興にエネルギーが注がれる方が被災地にとってはいいのではないかという考え方もありました。五輪を招致、開催するのであれば、復興の妨げにならず、復興を促すようなやり方でなければならないと思いました。

    毎日新聞の取材に東京五輪への思いを語る岩手県の達増拓也知事=岩手県庁で2019年2月1日、佐藤慶撮影

     ――そこから2年が過ぎ、13年にブエノスアイレスで、東京が開催都市に決まりました。

     ◆「よし」と思いました。その頃には岩手も国民体育大会を実施することを決めていました。その準備を進めるなかで、スポーツや文化、共生社会の推進は、復興に通じることを実感しました。

     ――9月に開幕するラグビー・ワールドカップ(W杯)日本大会では釜石市も会場となります。この機運をどう五輪に生かしていきますか。

     ◆昨年8月に釜石鵜住居(うのすまい)復興スタジアムのオープニングセレモニーがありました。印象的だったのが釜石高校の女子生徒によるキックオフ宣言という4分間のスピーチです。震災時は鵜住居小の児童で、中学生と手をつなぎ、高台に逃げて助かったという「釜石の奇跡」の当事者でした。震災の経験、復興が進んで立派なスタジアムができる喜び、W杯成功への期待、そして未来に向かって頑張るという決意を語ってくれました。

     ビジョンを共有し、W杯を成功させることができれば復興の力になっていくと思っています。加えて、6月から2カ月間、「三陸復興防災プロジェクト2019」(防災をテーマにしたシンポジウムなどを実施予定)というイベントを行います。震災の風化を防ぐのが目的です。

     ――岩手では五輪・パラリンピックの競技は実施されませんが、海外からの観客をいかにして呼び込む考えですか。

     ◆ラグビーW杯までに陸前高田市の(津波に耐えた)「奇跡の一本松」のあるエリアに「高田松原津波復興祈念公園」を一部開園し、津波伝承館をオープンします。震災関連の展示に加え、津波を体感できるようなスクリーン、音響機器も整備します。神戸市にある阪神大震災の記録を展示している「人と防災未来センター」のような施設です。岩手に来てもらうきっかけにしたいと考えています。

    たっそ・たくや

     1964年生まれ。東大卒。米国ジョンズ・ホプキンズ大国際研究高等大学院修了。外務省大臣官房総務課長補佐などを経て、96年の衆院選で初当選。衆院議員を連続4期務め、2007年の岩手県知事選に立候補し初当選。現在3期目。

    村上正

    毎日新聞東京本社運動部。1984年、神戸市生まれ。2007年入社。舞鶴支局、神戸支局を経て、大阪本社社会部では府警などを担当。東京運動部では17年4月から水泳やサーフィンを担当。16年リオデジャネイロ五輪を取材した感動から、長女に「リオ」と命名した。