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余録

江戸時代の絵暦を見ると鬼が泣いている絵があって…

 江戸時代の絵暦を見ると鬼が泣いている絵があって、これが「節分」という。なかには山賊のような人物が縄でゆわえた荷物を持って走る図がある。これは荷奪(にうば)い=「入(にゅう)梅(ばい)」だというから、もう判じ物である▲元号も手紙(文)とくわが描いてあって「ぶんくわ」=文化、千両箱10個を縁側に重ねたのが「まんえん」=万延だという。文字の読めない人のための工夫という意味もあるが、読める人にも瞬時で分かる絵文字は便利だったようだ▲こんなご先祖をもつ日本人だから、前回東京五輪で外国人に一目でトイレや食堂、競技種目が分かる絵文字=ピクトグラムを考えたのも当然か。非アルファベット言語の国初の五輪は、ピクトグラムが初めて使用された大会となった▲この東京大会をきっかけに、その後の五輪でもピクトグラムは開催都市ごとに改変されながら用いられてきた。東京大会のレガシー(遺産)とされるゆえんだが、いわばその里帰りにあたってのリニューアル・デザインが披露された▲2020年東京五輪開幕まで500日というきのう、大会組織委は実施競技を表す33競技50種類のピクトグラムを公表した。前回東京では20種だった競技ピクトグラムのシンプルさを継承しつつも、躍動感あるデザインにしたという▲思えば今やスマホにおいてもemoji(絵文字)は世界共通語である。絵暦の時代からのレガシーが世界の人々のお役に立ったのはうれしいが、もう一つのレガシー、だじゃれが世界に伝わらぬのが惜しい。

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