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東京へ ともに歩む

毎日新聞

日本財団パラアリーナで車いすラグビーの選手たちと、競技を体験する篠田麻里子さん=東京都品川区で2018年8月13日、和田大典撮影

東京・わたし

タレント・篠田麻里子さん「持っているもの最大限生かすのがパラの魅力」

 人気アイドルグループAKB48の元メンバーで、現在は女優やモデルとして活躍する篠田麻里子さん。パラスポーツを広める東京都の活動に参加し、イベントや番組出演などを通じてパラスポーツの魅力を伝えています。篠田さんに東京オリンピック・パラリンピックへの期待などを聞きました。【聞き手・神崎修一】

    オリンピックとパラリンピックへの思いを語る篠田麻里子さん=東京都千代田区で2019年1月19日午後3時40分、藤井太郎撮影

     ――東京2020オリンピックまであと500日を切りましたね。

     ◆オリンピック開催が決まったのがもうだいぶ前という感覚です。大会は来年ですが、ニュースも含めてまだ盛り上がりが足りないように思います。私自身はパラスポーツに関わらせていただいているので、選手たちの気持ちがすごく伝わってきていますが、全体的に、オリンピック・パラリンピックが開催されるという雰囲気がまだ少ないような気がします。

     ――パラスポーツとはどのような関わりがありますか?

     ◆パラスポーツを広める東京都の活動「TEAM BEYOND(チーム・ビヨンド)」のメンバーになったことをきっかけに、パラスポーツに関わるようになりました。

     ――篠田さんはパラスポーツを何度も取材していますね。

     ◆パラスポーツは特別なものではなく、スポーツ全般という意味で同じです。ただ、私たちが日常でパラスポーツに触れることが少ないなと感じます。仕事でパラスポーツに触れることが増えてから、知ることがとても多いです。日常でパラスポーツのことを知ったり体験できたりする機会が増えれば良いと思います。

     ――取材の中で気づいたこととは?

     ◆私たちは「これができない」「あれができない」と何かができないことに目が行きがちです。パラスポーツは自分が持っているものを探して最大に生かすという考えです。例えば目が見えない人だったら、耳は聞こえるので「どの音を聞いてどうボールを捕ろう」などとその能力を最大限に生かそうとします。その考え方がとても好きです。そこがパラスポーツの魅力ですし、私たちが忘れがちな部分でもあります。

     ――パラスポーツ専用の体育館「日本財団パラアリーナ」(東京都品川区)にも足を運んだそうですね。

     ◆車いすで動くことは簡単ではないし、パラスポーツ選手たちにとって練習場所が少ないことも悩みです。パラアリーナは目の不自由な方が確認しやすいよう床が黒、壁が白に統一されるなどいろいろなところに工夫が行き届いていて、この施設は「優しさに包まれている」と感じました。今回、東京でオリンピック・パラリンピックが開催されることで、皆さんの障害への意識や社会がどんどん変わろうとしています。この効果はとても良いなと思います。

     ――期待する選手はいますか。

     ◆(親交のある)パラバドミントンの福家育美(ふけ・いくみ)選手です。福家選手のすごくポジティブなところが好きです。私と同じ年で福家選手には小さなお子さんもいます。子育てはものすごく大変だと友人から聞いています。福家選手は車いすで生活しており、できないことは普通の人より多いはずです。日本人の女性はどこかで「自分のしたいことをしていいのかな」と我慢しがちな面があると思いますが、福家選手はそういうことは一切なく、子育ても家庭のこともできるし、スポーツもやる。何でもやろうという福家さんの考え方がすてきです。

     ――篠田さんの記憶に一番残っているオリンピック・パラリンピックは?

     ◆(1998年の)長野冬季オリンピックが一番印象的です。当時は小学6年生だったので選手たちの名前もはっきり覚えていないのですが、スキーのジャンプで選手たちが高く飛んでいたのが記憶に残っています。(長野冬季大会は)日本で開催されたため盛り上がりが海外の大会とは違いました。今回は東京で開催されるので、「これまで見たことない東京になりそう」とわくわく感があります。

    日本財団パラアリーナで車いすラグビーの選手たちと、競技を体験する篠田麻里子さん=東京都品川区で2018年8月13日、和田大典撮影

     ――東京オリンピック・パラリンピックに期待することは?

     ◆選手にも見ている人にも「東京でやってよかった」と思われる大会になってほしいです。パラスポーツでいうと、もっと認知度が上がり、多くのみなさんにパラスポーツのことを知ってほしいと感じています。私自身も最近になってパラスポーツを知ったのですが、パラリンピックが終わったら終わりじゃなくて、そこから社会がもっとバリアフリーになったり、障害者も健常者も寄り添って生きられる社会になったりすることが目標になるかと思います。今回がそのスタートになれば良いかなと考えています。

     ――オリンピック・パラリンピックを観戦したいですか?

     ◆行ってみたいです。仕事としても関わりたいですが、個人的に応援にも行きたいと思います。競技会場は新設されるところが数多くあります。新国立競技場は建設までにいろいろと話題になったので、どのような施設になったのか実際に見てみたいです。どのような開会式になるかも気になります。

     ――どのような競技に注目していますか?

     ◆オリンピックの競技では陸上や水泳です。タイムや速さで競うスポーツには分かりやすさがあります。今回から競技に採用されたスポーツクライミングは、どんな戦いになるのか、観戦の仕方がまだ分からないところもありますが、新しい競技なのでとても気になります。パラリンピックでは車いすバスケットボールや車いすテニス、ウィルチェアー(車いす)ラグビー、ボッチャなどいろいろな競技を見に行きたいです。パラバドミントンの福家選手は、同じ年でもありますし、東京パラリンピックに出場してもらいたいなと応援しています。

     ――篠田さん自身はスポーツの経験はありますか?

     ◆中学、高校と6年間テニス部でした。小学生の時はバレーボールや剣道も経験しました。体を動かすことは好きです。趣味でバドミントンやゴルフもします。スポーツの好きなところは「無」になれるところです。大変なこともありますが、まっさらな「無」になる感覚はとても気持ちがスッキリします。テニスはボールを打った瞬間に爽快感がありますし、気持ちがとてもポジティブになります。健康を維持できて、良いことずくめです。

     ――スポーツから得られたものはありますか?

     ◆(部活の顧問の)先生がよくおっしゃっていたのが、「今のうちに、たくさん『きつい』ことをしよう」ということでした。「世の中へ出たらもっと大変なことがあるので、今の練習はそんなに大変なことではないよ」という意味でした。その時は毎日がきつくて倒れそうになるし「まだきついことしないといけないのか」と思っていました。AKB48に入ってから、練習だったり、忙しくて十分に眠れなかったりすることもたくさんありました。しかし大変だとは思いませんでした。部活での経験は大きかったです。

     ――あらためて、篠田さんにとっての東京オリンピック・パラリンピックについてお尋ねすると?

     ◆期待は大きいです。東京から世界に向けて発信できる良いチャンスだと思っています。東京が注目される時期に、どこまで日本の良さを知ってもらえるかが大切だと思います。日本が変わる時期にも来ています。これまでの日本の良いものは残していきつつ、海外の良さも取り入れ、もっと柔軟な日本になってほしいです。

    しのだ・まりこ

     1986年福岡県生まれ。2006~13年、アイドルグループ「AKB48」の中心メンバーとして活動。女性誌の専属モデルも務めた。現在は女優・モデルとして活躍。パラスポーツを広める東京都のプロジェクト「TEAM BEYOND(チーム・ビヨンド)」のメンバー。

    神崎修一

    かんざき・しゅういち。1978年神奈川県生まれ。早大卒。2004年毎日新聞入社。長野支局、青森支局を経て、東京本社・西部本社(福岡)で経済部。百貨店、コンビニ、銀行、鉄道会社などを担当した。2018年4月よりオリンピック・パラリンピック室。学生時代はサッカー部だったが、現在は見る専門。