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東京へ ともに歩む

毎日新聞

インタビューに答える日本トップリーグ連携機構の川淵三郎会長=東京都文京区で2019年4月3日、渡部直樹撮影

東京・わたし

日本トップリーグ連携機構・川淵三郎会長「東京五輪、団体球技はメダル5個期待」

 2020年東京五輪で団体球技に開催国枠が与えられたことで、全33競技で日本選手が出場できる見通しになりました。団体球技の改革や支援に取り組んできた日本トップリーグ連携機構会長の川淵三郎さん(82)に取り組みや五輪後のあるべき姿を提言してもらいました。【聞き手・浅妻博之】

     ――開催国枠で東京五輪の出場権を獲得し、半世紀ぶりに五輪の舞台に戻ってくる球技もあります。

     ◆それは必ずしも望ましいとは言えません。それなりの実力を持ち得て五輪に出るのが本来の姿だと思います。各団体には「次の五輪から再び出場できなくなることをなくすためにどうしたらいいのか」と言い続けてきましたが、東京五輪に出場したことでそこをベースにレベルアップできるかが問われます。20年以降に落ちていかないためにも、団体球技の頑張りを見せてほしいです。

     ――これまでどのような改革に取り組みましたか。

     ◆日本トップリーグ連携機構には9競技団体が加盟しています。改革の一つとして、選手の能力を最大限に引き出すために外国人指導者の招へいを提唱してきました。バスケットボールは日本協会の組織を立て直して男子リーグを統一し、17年、男子日本代表のヘッドコーチにロンドン五輪で母国のアルゼンチンを4強に導いたフリオ・ラマス氏を招き本格的な強化に入りました。アルゼンチンは日本選手と身長が似ているにもかかわらず五輪で活躍した実績がありました。ラマス氏の指導がワールドカップ(W杯)のアジア予選を21年ぶりに突破する力となり、東京五輪の出場枠の獲得にもつながりました。

     協会執行部を立て直したホッケーも男女ともに指導者を世界から公募し、17年から男女で外国人の監督になりました。昨年のアジア大会で男女ともに金メダルを獲得しました。こんな即効性があることは他になかったと思います。他の球技も今の指導体制でいいのかを見極める必要があります。

    インタビューに答える日本トップリーグ連携機構の川淵三郎会長=東京都文京区で2019年4月3日、渡部直樹撮影

     ――16年リオデジャネイロ五輪で団体球技はメダルゼロに終わるなど五輪での苦戦が続いていますが、背景にはどのようなことがあるのでしょうか。

     ◆例えばハンドボールでも海外で活躍している日本選手はいますが、そのような選手の能力を発揮できるチーム作りができていなかったと思います。選手の分析や他国との比較を十分にし、「どうしたらレベルアップして発展できるのか」や「現状でベストのチームを作るにはどのようにしたらよいのか」という視点が重要です。

     サッカー界も1992年に初の外国人監督としてハンス・オフト氏を招き、チームとしてどのようにまとめて勝利するかを学びました。その能力で同年のアジア杯を初めて制しました。高いレベルを持ち、経験豊富な外国人監督であれば能力のある日本選手を生かせられると考えます。バレーボールも特に男子はロンドンから2大会連続で出場できず、メダルも金を獲得した72年ミュンヘン五輪から遠ざかっています。何かを変えようという意欲が求められます。外国人監督を考える時期に来ていると思います。

     ――強化のためには各競技団体のガバナンス(組織の統治)力も欠かせません。

     ◆普及・強化を促進するスタッフが充実していないと難しいです。球技は競技団体がしっかりとしたガバナンスのもとで強化に努めない限り世界と戦えません。競技団体の体制づくりは強化に直結します。ボランティアでやっている団体も多いですが、先進的な取り組みや改革をするための優秀な人材を確保する予算がありません。日本ハンドボール協会と日本ホッケー協会の事務局長は民間企業から来てもらいました。いい人材が入ればスポンサー集めなどで財源を確保でき、さらにいい人材を集めることにもつながります。競技団体のOBだけでは良い発想が生まれないし、何よりノウハウがありません。日本サッカー協会も専務理事は外部から呼んでいますが、ふさわしい人を探して高い報酬を払ってでも呼べるような体制が理想です。東京五輪を踏み台に飛躍しようと思っている団体とそうではない団体とでは明らかに差が出るでしょう。

     ――東京五輪での団体球技でどのぐらいのメダルを期待しますか。

     ◆5個はとらなければ「日本トップリーグ連携機構として何をしてきたんだ」と非難されても仕方ないと思います。ソフトボールとサッカー男女、バスケットボール女子、ホッケー女子にはメダルを期待したいです。団体球技が世界で活躍できないと日本人は燃えないと言われます。そのため元総理である麻生(太郎)さんと森(喜朗)さんの協力のもとで、05年に日本トップリーグ連携機構を設立し、ガバナンスの助言や研修会などを行い、団体球技の強化を進めてきました。東京五輪で存在価値が問われると思います。

    五輪に久々に出場する団体球技

    ホッケー男子 68年メキシコ五輪以来52年ぶり

    バスケットボール男子 76年モントリオール五輪44年ぶり

    ハンドボール女子 76年モントリオール五輪以来44年ぶり

    ハンドボール男子 88年ソウル五輪以来32年ぶり

    かわぶち・さぶろう

     1936年大阪府生まれ。早稲田大、古河電工のサッカー部でプレーし、64年東京五輪に出場した。93年のJリーグ創設に力を注ぎ、初代チェアマン、日本サッカー協会会長などを歴任し、現在は相談役。日本バスケットボール協会会長として男子プロリーグの「Bリーグ」を創設するなど、バスケットボール改革を主導した。15年から日本トップリーグ連携機構会長を務める。

    浅妻博之

    毎日新聞東京本社運動部。1982年、新潟市生まれ。スポーツ紙で校閲業務をして、2007年入社。山形支局、東京運動部、大阪運動部を経て、18年10月から東京運動部でテニス、バスケット、カヌーなどを担当。リオデジャネイロ五輪も現地取材して、テニス取材も全豪、全仏、ウィンブルドン、全米の4大大会を制覇した。高麗人参エキスを毎朝飲んで、健康維持を目指す。