メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

ALL FOR 2020

東京へ ともに歩む

毎日新聞

座談会で笑顔を見せる(左から)BMXの中村輪夢、スケートボードの西村碧莉、池田大亮の各選手。東京五輪での活躍が期待される=東京都中央区で2019年5月9日、喜屋武真之介撮影

東京・わたし

結果だけではない 第一人者が語るアーバンスポーツの魅力

 2020年東京五輪では、スケートボードや自転車BMXフリースタイルなどアーバン(都市型)スポーツと呼ばれる若者に人気のある競技・種目が採用された。スケートボードで活躍する世界選手権初代女王の西村碧莉(あおり、17)=木下グループ=と国際大会で活躍する池田大亮(18)=ムラサキスポーツ、BMXの国内第一人者である中村輪夢(りむ、17)=ウイングアーク1st=に、アーバンスポーツの魅力や東京五輪への期待などを聞いた。【構成・田原和宏】

    スケートボードの魅力を語る西村碧莉選手=東京都中央区で2019年5月9日、喜屋武真之介撮影

     ――皆さんは大会やイベントなどで顔を合わせていると思いますが、お互いの印象を教えてください。

     池田 輪夢は(4月に広島で開催されたアーバンスポーツの国際大会)FISEに出ていました。その大会には僕も出場しましたが、BMXフリースタイルはスケートボードのストリート(※手すりや階段など街中を模したコースで実施)と違い、迫力がありました。見ていて分かりやすい。すごく跳んでいるなあ、回っているなあ、という感じです。碧莉さんとは(世界選手権を兼ねたストリートの世界最高峰プロツアーである)SLSのブラジル大会で一緒に出ました。まさか優勝するとは思わなかったです。いいなあと思いましたね(笑い)。

     西村 BMXはスケートボードと違い、誰が見ても分かりやすい。跳んで、回って。私はBMXのことを全く知らないのですが、誰が見てもすごいと思えるし、(中村選手は)コンテストでも上位に入って活躍しています。大亮はコンテストで何度か一緒になっているけど、本番で全然ミスをしない。すごくメンタルが強いなと思っていて、そこは見習いたいです。

     中村 スケートボードはBMXよりも競技人口が多いと思います。いい順位を取るのは難しいけど、2人とも(国際大会で)優勝している。すごく刺激になります。

    スケートボードの魅力について語る池田大亮選手=東京都中央区で2019年5月9日、喜屋武真之介撮影

     ――来年は東京五輪が開催されます。どんなことを期待していますか。

     池田 五輪で活躍するためには、もっといろいろな種類のスケートパークが増えてほしいです。そして子どもたちが五輪を見てスケートボードを始めてほしいと思います。僕もまずは(左膝の)けがを早く治して元の状態に戻し、もっといい成績を残したいです。

     西村 自分が東京五輪に出るならば、ストリートは見た目で分かりにくいかもしれないですが、そのなかでもすごいとか、楽しそうとか、そういうふうに見てもらえたらと思います。

     中村 東京で開催されるので、日本のいろいろな人に見てもらい、BMXを始める人がもっと増えたらいいなと思います。

    お互いに技を見せ合うスケートボードの池田大亮選手(左)と自転車BMXフリースタイルの中村輪夢選手=神奈川県藤沢市で2017年7月16日、宮武祐希撮影

     ――3人が取り組む競技や種目は東京五輪で初めて採用されます。これまでの五輪競技とは違うと感じることはありますか。

     中村 ほかの競技は結果が一番。もちろん結果も大切ですが、自分の最高の走りができたら、それで満足できます。そういうところは、他の競技とは違うところだと思いますね。

     西村 スケートボードの魅力は、乗ってみなければ分からない楽しさにあります。一つの壁を越えても次の壁があるし、技のトリックにも限りがないです。スケートボードは永遠に楽しめる競技で、限界がないのが魅力かなと思います。

     池田 他の競技は結構、ライバル同士でバチバチだったりしますが、スケートボードにはそういうのがありません。みんな仲が良く、大会の時も応援し合ったり、楽しんで滑ったり、そういうのが魅力かなと思います。

     ――他の人には負けない強みを教えてください。

     池田 碧莉も言ってくれたけど、みんなからメーク率(※技の成功率)が高いと言われます。自分は(セクションと呼ばれる構造物では)階段が得意で、そこで板を回したり、階段に乗ったりするのが得意です。

     西村 自覚はないのですが、周りからは本番に強いと、よく言われますね。

     中村 ジャンプの高さとか、誰が見ても分かりやすく迫力があるところです。そういう部分をもっと伸ばしていければいいなと思います。

    東京五輪に向けた意気込みなどを語るBMXの中村輪夢選手=東京都中央区で2019年5月9日、喜屋武真之介撮影

     ――3人の中で自分が一番すごいと思うものは。

     中村 ええっと……笑い。

     池田 俺からいいですか?

     中村 そんなに自信があるの?

     西村 ははは(笑い)。

     池田 俺は写真写りは、まじ、負けないですね。本当に。

     西村 強いていうならば、膝のけが(※17年10月に左膝前十字靱帯<じんたい>を断裂)。自分の中では一番大変なけがだったし、選手生命を絶たれるスケーターもいますので。

     中村 強いて言うなら、大会やイベントを一番楽しんでいるかなと思います。

    観客の前で技を披露するスケートボードの池田大亮選手=神奈川県藤沢市で2017年7月16日、宮武祐希撮影

     ――最後に東京五輪に向けて一言。

     池田 もし東京五輪に出られるならば、もっといい滑りをみんなに見せて、観客を盛り上げたいという気持ちはありますね。

     西村 とにかくプレッシャーを感じずに楽しみたいという気持ちでいっぱいです。

     中村 自分の最高の納得いく走りをして、いい結果を取れるように頑張りたいですね。

    にしむら・あおり

     東京都出身。7歳の時、自宅で父哲雄さんのスケートボードを見つけ、競技を始めた。2016年に世界最高峰の「ストリートリーグ(SLS)」に初出場し、17年には北米の賞金大会「Xゲーム」で日本人初の優勝。左膝前十字靱帯(じんたい)断裂の大けがを乗り越えて、今年1月の世界選手権で初代女王に輝いた。

    いけだ・だいすけ

     東京都出身。4歳の時、スノーボードの夏場の練習としてスケートボードを始めた。2015年に米国で開催された14歳以下のアマチュア大会で優勝し、17年に全日本選手権で初代王者の座に就いた。昨年11月にアマチュア世界最高峰の「タンパ・アマ」で日本人として初めて優勝の快挙を達成。

    なかむら・りむ

     京都市出身。BMXの専門店を営む父辰司さんの影響で3歳から競技を始め、中学生でプロに転向した。2017年から本格的に海外の大会に参戦し、史上最年少で世界選手権のファイナルに進出(7位)。17年の全日本選手権で初代王者に輝いた。

    田原和宏

    毎日新聞東京本社運動部。1972年、奈良県生まれ。教職などを経て2001年入社。06年からスポーツ取材に関わり、福岡、大阪勤務を経て13年から現職。16年リオデジャネイロ五輪では体操、卓球などを担当。東京五輪取材班キャップ。スポーツクライミングなど新競技にも注目する。職業病なのか、「おかしいやろ」が口癖。