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東京へ ともに歩む

毎日新聞

日本室内選手権で優勝し、寺内健選手(左)と馬淵崇英コーチ(右)と記念撮影する玉井陸斗選手=東京都江東区で2019年4月21日、村上正撮影

東京・わたし

飛び込み「超新星」玉井陸斗 五輪の男子最年少出場へ、たった1度のチャンスにかける

 来年の東京五輪に向け、飛び込み界に期待の「超新星」が現れました。兵庫県宝塚市の中学1年、玉井陸斗選手(12)=JSS宝塚=です。初めて出場した4月の日本室内選手権男子高飛び込みで史上最年少優勝しました。13歳10カ月で迎える東京五輪に出場すれば、記録が残る限りで日本男子最年少出場とされる1932年ロサンゼルス五輪競泳男子金メダルの北村久寿雄さん(14歳10カ月)を更新します。飛躍の要因や五輪に懸ける思いについて聞きました。【村上正】

日本室内選手権男子高飛び込み決勝で優勝した玉井陸斗選手の4回目の演技=東京辰巳国際水泳場で2019年4月21日、宮間俊樹撮影

 ――国内の主要大会で史上最年少優勝を果たし、一気に日本のトップダイバーとなりました。

 ◆素直にうれしかったです。報道も想像以上に大きく、優勝した日や翌日は信じられない感じでした。たくさんの友達にも声をかけてもらい、飛び込みについて知ってもらえたのもうれしかったです。でも僕はまだ1回しか優勝していません。(同じJSS宝塚を拠点とする)寺内健さんのように、何度も優勝できるようになりたい。まだまだ、未熟だと思っています。

 ――競技を始めたのはいつで何がきっかけでしたか。

 ◆3歳からJSS宝塚で競泳を習っていました。小学1年の時に練習に行った際、飛び込みの体験教室のチラシをもらって帰りました。特に興味があったわけではありませんが、母にチラシを手渡すと「やってみる?」と聞かれたので、「やってみる」と軽い気持ちで参加しました。プールサイドや高さ1メートルの板の上で跳ねて深いプールに飛び込むのは気持ちよく、普段できない体験でした。

 ――ここまで成長できた要因は?

 ◆同じ時期に始めた同学年の男子と切磋琢磨(せっさたくま)して頑張ってきました。しかし、小学4年の時にその友達はやめてしまいました。仲間がいなくなり、寂しい気持ちでしたが、ここで自分もやめたら今までやってきた練習がもったいない。そう思えるようになり、練習に打ち込んできたのが一番大きかったと思っています。

 ――世界トップクラスの技はいつぐらいからできるようになりましたか。

東京五輪への思いを語る玉井陸斗選手=兵庫県宝塚市で2019年6月14日午後3時35分、村上正撮影

 ◆昨年10月から難度の高い技を練習し始めました。本当にできるようになるのかなあと思いながらも、馬淵崇英コーチの指導でできるようになりました。特に自分が武器だと思っているのは前宙返り4回転半抱え型(109C)です。

 ――6月にはシニアの国際大会デビューとなるグランプリ(GP)スペイン大会に出場し、高飛び込みは4位でした。

 ◆初めてのことばかりでした。中国には合宿で7回行ったことがありますが、欧州は初めてで時差も経験しました。何よりも1日で予選、準決勝、決勝を行い、疲労がすごかったです。決勝は(6本中)3本でミスが出てしまいました。

楊健選手(左)と記念撮影した玉井陸斗選手。宝物として携帯電話に保存している=玉井選手提供

 ――国際舞台を経験してどのようなことを感じましたか。

 ◆正直、決勝まで残れるとは思っていなくて、決勝で戦えることがうれしかったです。ただそこまできたならメダルを獲得したかったです。そのなかで驚かされたのは海外選手の入水技術でした。特に中国選手は入水角度が悪くても水しぶきをあげないノースプラッシュが見事でした。

 ――目標とする選手は?

 ◆もちろん5回も五輪に出場している寺内選手です。小学5年生の時の上海合宿で指導してもらいました。それからは「健コーチ」と呼んでいます。海外の選手では中国の(2018年ワールドカップ2位の)楊健選手です。18年のワールドシリーズ富士大会で一緒に記念撮影してもらった写真は、宝物として大切に携帯電話に保存しています。

 ――自分のなかで五輪のイメージは?

 ◆記憶にある五輪は16年リオデジャネイロ大会だけですが、世界のトップが戦う場所だと思っています。

 ――いつごろから東京五輪を視野に入れ始めましたか。

 ◆先輩の寺内さんや板橋美波さんがリオデジャネイロ五輪に出場したのを見ていたので、自分もいつかという思いは強くありました。でも、それは24年パリ五輪や28年ロサンゼルス五輪を想定していました。東京五輪には間に合わないと思い、考えてもいませんでした。ですが、難度の高い技ができるようになってきたぐらいから、安定してできるようになれば、いけるかもしれないと思えるようになりました。

 ――東京五輪に出場するには来年4月のワールドカップ(東京)で18位以内に入ることが条件です。年齢制限(12月31日時点で14歳以上)により、五輪出場の選考を兼ねた世界選手権(7月・韓国)とアジアカップ(9月・マレーシア)は出場できないため、チャンスは1回しかありません。

 ◆なぜ(出場できないの)だろうと思うこともありますが、そこは年齢は年齢で、ルールで決まっているなら仕方がないと考えています。勝負は1回しかないので、しっかりそこで実力が発揮できるように調整し、目標とする五輪のメダルを獲得したいです。

たまい・りくと

 兵庫県宝塚市出身。宝塚市立高司中1年。回転力を武器に国内シニアデビューとなった日本室内選手権(4月・東京)で2位に60点差を付けて優勝。名前の由来は「大陸のように心の広い子に」。好きな食べ物は焼き肉。好きな芸能人は「NON STYLE」。身長143センチ。

村上正

毎日新聞東京本社運動部。1984年、神戸市生まれ。2007年入社。舞鶴支局、神戸支局を経て、大阪本社社会部では府警などを担当。東京運動部では17年4月から水泳やサーフィンを担当。16年リオデジャネイロ五輪を取材した感動から、長女に「リオ」と命名した。