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ALL FOR 2020

東京へ ともに歩む

毎日新聞

インタビューに答える是永瞳さん=伊藤聖和撮影

東京・わたし

スペシャルアンバサダー・是永瞳さんに聞く“空手の魅力”

 女優やモデルとして活躍するかたわら、全日本空手道連盟公認の「TOKYO2020オリンピック空手スペシャルアンバサダー」としても活動する是永瞳さん。自らも空手三段という腕前です。是永さんに空手への熱い思いと、空手が正式競技となった東京オリンピックへの期待を聞きました。【聞き手・神保忠弘】

     ――スペシャルアンバサダーの役割とは何ですか。

     ◆空手は、まだまだマイナーなスポーツだと思うので、より多くの人に空手を知っていただけるようにPRするのが仕事です。特にお子さんの競技人口がもっと増えてほしいなと思っています。

     ――イベントなどでアピールするわけですか。

     ◆トークショーやイベントで空手の話題を振っていただいた時には、腹から声を出しながら形(かた)を披露し、気合を入れてアピールしています。昨年9月に東京の上野警察署で一日警察署長を務めさせてもらった時にも、警察の方が「空手をやっていたんだよね」とおっしゃってくださり、空手の話で盛り上がりました。また、テレビのバラエティー番組で芸人さんのお尻を蹴らせていただいたこともあります(笑い)。空手にそんなイメージをつけたくはないんですが、インパクトは強いと思うので……。

     ――空手を始めたきっかけは。

     ◆小学6年生の時に父親に「何かひとつ買ってあげるから空手を始めなさい」と言われて始めました。結局、何も買ってもらえなかったんですけど(笑い)。

     ――ご両親も武道をやっていらしたとか。

     ◆はい、母は剣道、父は柔道をやっていました。3人姉妹の末っ子なのですが、姉たちはピアノとかバレエとかをやっていて、誰も武道を習っていなかったんです。なので、両親に勧められるがままに空手を習うことになりました。両親の期待が全て来たって思いました(笑い)。

     ――始めてからはどうでした?

     ◆最初は「空手をやりなさい」と親に言われてやっていたのですが、途中からは「負けたくない」「勝ちたい」と思うようになり、空手への楽しさが自分の中に芽生えました。つらいと思う日もありましたが、試合になると先生の顔や、地方での試合にも必ず応援に駆けつけてくれる両親の顔を思い出して、「絶対に負けられない」と取り組みました。

     ――段々とのめり込んでいった空手の魅力って何ですか?

     ◆週7回空手をやっていたので、「休みたい」と思う日もありました。それでも大学に入って、空手から離れた時に思ったのは、空手のおかげでメンタル面が成長できたなということです。また、恩師(空手道場の師匠)に目上の人への礼儀も、厳しく指導していただきました。空手を通して、改めて両親や恩師のありがたみを感じることができたんです。

     ――空手の経験は芸能生活にどんなふうに役立っていますか。

     ◆「負けたくない」という気持ちも強くなりましたし、きつい練習でも休まないのが当たり前だったので、何事も途中で投げ出さない忍耐力を学んだと思います。それは芸能界でも、すごく役立っています。あと、幼い時から大きな声で気合を入れていたので、発声レッスンの時に滑舌が良かったり、おなかから声を出すことが自然にできたりしているので(空手を)やっていて良かったなと思います。ウオーキングのレッスンでも先生から「体幹がすごくしっかりしているから軸がぶれないね」と褒められましたが、これも空手のおかげです。

    イベントやトークショーで積極的に空手をアピールしている=伊藤聖和撮影

     ――その空手が実施競技になった東京オリンピックまで、残り約1年となりました。

     ◆空手をよりたくさんの人に知ってもらえる機会になると思うので、すごく楽しみですし、期待しています。注目度も高いと思うので、空手がもっと人気のスポーツになっていったらいいなと思います。

     ――過去のオリンピックで記憶に残っているシーンとか選手はいますか?

     ◆競泳の北島康介選手と、フィギュアスケートの浅田真央選手が、すごく印象に残っています。

     ――どんなところが?

     ◆北島選手は、オリンピックで一番にゴールし勝った時の「よっしゃー!」と力こぶを作った姿に感動しました。浅田選手は美しく、どんなに追い込まれても、日本全国の人の期待に応えてすてきなパフォーマンスをする姿が印象的で、浅田選手のメンタルの強さはすごいなと思いました。

     ――勝った時のパフォーマンスに心が揺さぶられるのは、どうしてでしょう?

     ◆「リアルだな」と感じるんです。オリンピック代表になる選手って、苦しくつらいことや、メンタル面でズタズタになることが、たくさんあったと思います。その結果として世界の舞台で一番になれた喜びに、リアルタイムで同時に共感できるというのは身が震えるというか……。私自身も心の底からうれしくなり、アドレナリンがたくさん出ます。

     ――やっぱりご自身も試合で勝った時の喜びや負けた時の悔しさを知っているからこそでしょうね。

     ◆私なんかが全然共感できるレベルじゃないと思いますが…。やっぱり勝った時のうれしさだったり、勝った瞬間にたくさんの思い出がよみがえったり、(空手を)やっていて本当に良かったと感じたりする部分は自分にもあるので、そうしたところで共感できるのだと思います。

     ――東京オリンピックでも、たくさん共感したい?

     ◆そうですね。空手だけでなく他のスポーツでも、もっと共感したいです。これまでの夏季オリンピックは海外で開かれていたので、少し遠くに感じてしまうこともありました。なので、東京で開催することでより近くでリアルに感じられるのではと思い、わくわくしています。しかも空手が種目に選ばれているのでより一層楽しみで期待しています。

     ――1年後が楽しみでたまらない感じですか?

     ◆あっという間だと思います。「美しい20代コンテスト」でグランプリに選ばれた時、ちょうど空手が東京オリンピックの種目に選ばれた直後だったので、「2020年のオリンピックで空手のリポーターを務めて、たくさんの人に空手を勧めたい」とスピーチしたんです。それが、あと1年後に迫っているんだと思うと、ドキドキしてきます。

     ――空手の大会でテレビ中継のリポーターを務めたこともありますが、リポートの仕事をするうえで気をつけていることは?

     ◆選手の技だけじゃなくて、人柄だったり、性格だったり、そうしたことを視聴者の方にお伝えすることができると、もっと面白いんじゃないかなと思っていて……。もちろん技も完璧にリポートできるようになりたいですが、選手の内面をもっとアピールすることで、深みが出て、興味を持ってくれる人が増えるのではと思い、選手の内面も見るように心がけています。

     ――これからの1年間、そうした仕事の経験を積みたいですね。

     ◆頑張ります。今まで空手の大会も含めて何度かMCをやらせていただいたこともあるのですが、まだまだ課題がたくさんあるので、もっと多くの仕事を経験し、常に勉強したいと思っています。

    七夕の短冊に、オリンピックでの空手継続の願いを書き込んだ=竹内梨佳撮影

     ――ただ、2024年のパリ・オリンピックでは、空手が競技から外れてしまいましたね。

     ◆本当にショックでした。「えー、ウソーッ!」って。次はパリに行って選手を応援したいと思っていましたので……。でも、まだ希望は捨てていません。正式決定は来年の12月(に開かれるIOC理事会)でしょう? 東京オリンピックでもっともっと注目されるように、私自身ができることを精いっぱい頑張り、「絶対に空手は必須でしょ!」って、多くの方に推していただけるようなスポーツになっていけたらいいなと思います。

     ――東京オリンピックがどんな大会になってほしいと思いますか。

     ◆東京オリンピックをきっかけに、日本のいいところ、魅力を世界のたくさんの人たちに知ってもらって、海外の人たちが「日本に来たい!」と感じられる大会になってほしいですね。また、日本も東京オリンピックで元気になってほしいし、そうなれば私も元気になります(笑い)。外国の人にも日本の人にも、日本の魅力をたくさん知ってもらえる機会になるんじゃないかなと感じています。

    これなが・ひとみ

     1995年生まれ。大分県出身。2016年9月に「第1回 ミス美しい20代コンテスト」(オスカープロモーション主催)で、応募総数4万18通の中からグランプリに選出される。17年10月スタートの「ドクターX~外科医・大門未知子~」第5シリーズ(テレビ朝日)で女優デビュー。17年6月、全日本空手道連盟公認「TOKYO2020オリンピック空手スペシャルアンバサダー」に就任した。

    神保忠弘

    毎日新聞オリンピック・パラリンピック室委員/編集編成局編集委員。1965年神奈川県生まれ。89年入社後、小田原支局、横浜支局、運動部、大阪運動部、運動部デスク、運動部長などを経て、2019年5月から現職。学生時代は一貫して帰宅部、私生活は徹底したインドア派なのに、なぜ長くスポーツ報道に関わっているのか時々、不思議に思う。