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東京へ ともに歩む

毎日新聞

長身を生かした上からのショットが持ち味の永原和可那(右)と松本麻佑=東京都調布市の武蔵野の森総合スポーツプラザで2018年9月14日、宮武祐希撮影

Passion

連覇狙うバド・ナガマツ 会話不足の同期ペア、初戦敗退きっかけに結束

 バドミントンの世界選手権(スイス・8月19~25日)に臨む女子ダブルス世界ランキング1位の永原和可那(23)、松本麻佑(24)組=北都銀行=にとって、前回大会は運命を大きく変えた舞台だった。ワールドツアーで優勝経験のなかった1年前、一気に頂点まで駆け上がり、世界に衝撃を与えた。ともに170センチ台という長身を生かして日本勢初の連覇を狙う「ナガマツ」の原点と転機を振り返る。【小林悠太】

ジャパン・オープンの準決勝で高橋礼華、松友美佐紀組からポイントを取りガッツポーズする永原和可那(左)と松本麻佑=東京・武蔵野の森総合スポーツプラザで2019年7月27日、喜屋武真之介撮影

 2人とも北海道出身で同学年だったが、地域も離れていたため、学生時代は顔見知り程度だったという。高校は、松本は北海道江別市のとわの森三愛高に残ったが、永原は道外の強豪・青森山田高へ進んだ。その2人が高校卒業後に入った日本リーグ(現S/Jリーグ)1部の北都銀行で共に汗を流すことになる。

 青森山田高は隣県・秋田の北都銀行に練習に行く機会が多く、永原は「チームの雰囲気も分かっていた」と早々に入行を決めた。一方、松本は高校3年の夏の全国高校総体後も進路が確定していなかった。北都銀行の原田利雄総監督が、松本の進路が決まっていない情報を耳にしたのは9月のこと。身長177センチの松本の将来性を見込み、北海道へ向かって勧誘した。日本リーグ2部の実業団からも誘いを受けていた松本だったが「1部で戦いたい。ぜひ行きたいです」と即答した。

 2014年の新人は3人で、もう1人はシングルスを専門としていた。先輩たちのペアは既に決まっていて、必然的に永原と松本で組むことになった。ペアは上下関係のある先輩、後輩の方がスムーズにいくことが多いとされるが、その通説を証明するかのように同学年の2人は衝突した。

 性格は対照的で、きめ細かく真面目な永原に対し、松本はマイペースで波長が合わなかった。またともに高校までは、強打を求められる後衛を専門としており、ネット際の小技が必要な前衛が苦手だった。ライバル意識も強く、原田総監督は「仲が悪く、歯車がかみあっていなかった」と振り返る。

 転機となったのが、17年9月のジャパン・オープンだった。活躍を期したはずの大舞台で、前週勝った台湾ペアに惨敗した。秋田に戻ると、コーチの助言を受け、初めて2人だけで話し込んだ。まず、互いの目標を確認すると「東京五輪の金メダル」で一致した。五輪出場権獲得まで逆算すると、同11~12月の全日本総合選手権で好成績を残してA代表に入らなければならない。約1時間の話し合いで、練習時から思ったことを言い合うと誓い合った。

 その全日本総合選手権では準決勝で16年リオデジャネイロ五輪金メダリストの高橋礼華、松友美佐紀組(日本ユニシス)に対し、ファイナルゲームで惜敗したものの大善戦した。健闘が評価され、翌18年から初めてA代表に入った。躍進の原動力となったのは、互いを尊重する姿勢と試合運びの柔軟性だ。世界選手権では、あえて前衛と後衛を固定せず、対戦相手や自分たちの調子次第で前後を入れ替える戦略が的中して優勝した。

 2人は浮かれることなく、その後も安定した成績を残す。初出場だった昨年と全く異なる立場で臨む世界選手権となるが、永原は「初心を忘れずに頑張りたい」と淡々としている。

永原和可那(奧)、松本麻佑ともにレシーブが安定したことが飛躍に結びついた=東京・武蔵野の森総合スポーツプラザで2019年7月23日、喜屋武真之介撮影

ながはら・わかな

 北海道芽室町出身。青森山田高では2013年の全国高校総体でダブルス優勝。14年に北都銀行に入り、同期の松本麻佑とペアを結成。16年からB代表、18年からA代表とステップアップ。ワールドツアーなどの優勝経験がない状態で臨んだ18年の世界選手権で初優勝。170センチ。右利き。

まつもと・まゆ

 札幌市出身。北海道内のとわの森愛三高に進み、2013年の全国高校選抜でシングルス3位、ダブルス2位。14年に北都銀行に入り、永原和可那とペアを組む。18年の世界選手権優勝後、ワールドツアーでも2度優勝し、今年4月に自身初の世界ランキング1位になった。177センチ。右利き。

小林悠太

毎日新聞東京本社運動部。1983年、埼玉県生まれ。2006年入社。甲府支局、西部運動課を経て、16年から東京本社運動部。リオデジャネイロ五輪を現地取材した。バドミントン、陸上、バレーボールなどを担当。学生時代、184センチの身長を生かそうとバレーに熱中。幼稚園児の長男、次男とバレーのパスをするのが目下の夢。