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MGC STORY

服部勇馬「プリンス」の殻、破った先に五輪代表

第72回福岡国際マラソンで1位でフィニッシュする服部勇馬=福岡市中央区の平和台陸上競技場で2018年12月2日、矢頭智剛撮影

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服部勇馬(25)=トヨタ自動車

 愛称は「プリンス」。昨年7月の米コロラド州ボルダーで行われた合宿で、日本陸上競技連盟の坂口泰五輪強化コーチらから、そう名付けられた。端正なマスクに加え、宮城・仙台育英高時代からホープと期待され、東洋大3、4年時には箱根駅伝の「花の2区」で2年連続区間賞に輝いた非凡な才能を持つ。弟の弾馬(はずま)=トーエネック=も昨年の日本選手権5000メートル覇者で、「服部兄弟」は陸上ファンに広く知られた存在だ。

 だが、所属のトヨタ自動車の佐藤敏信監督は苦笑いする。「こんなにいい素材なのに何しているの? お坊ちゃまみたいなイメージでプリンスとつけられた」。潜在能力を発揮すれば、もっと恐れられる孤高の存在になれるとの思いがあるだけにもどかしい。

 「プリンス」の最大の欠点は、終盤のスタミナ切れだった。象徴的だったのが、東洋大時代に挑んだリオデジャネイロ五輪の代表選考会の2016年東京マラソン。五輪を意識してけん制しあう日本勢が形成した第2集団を抜け出し、35キロ過ぎで日本勢トップに立った。しかし、残り3キロを切り、大きく失速。後続に次々と抜かれて、日本勢4番手の12位に終わり、「学生での五輪代表」の栄誉を逃した。

 実業団入り後も故障が相次ぎ、マラソンで思うような成績が残せなかった。だが、昨年12月の福岡国際マラソンでは、課題の終盤の36キロ過ぎで外国勢を突き放し、日本勢14年ぶりの優勝でMGC出場権を獲得した。日本陸連の尾県貢専務理事は大迫傑(ナイキ)、設楽悠太(Honda)、井上大仁(MHPS)と並ぶ「4強になった」と評価した。

 転機となったのは、「プリンス」の愛称がついたボルダーでの合宿。後にジャカルタ・アジア大会で優勝する井上らトップ選手が参加していた。各自がバラバラに散って走り込む練習で、一番早く帰ってくるのはいつも自分だった。「他の人は僕より20分、30分は余計に走っているのではと思うぐらい、みんな帰ってこなくて……」。自らの取り組みの甘さ、練習不足を痛感した。月間走行距離を300キロ増の約1000キロに伸ばしてスタミナをつけ、福岡での快走につなげた。「マラソンに対して終盤の怖さは全然払拭(ふっしょく)されていない。ただ、福岡で終盤の走りが改善されて、こうやったらマラソンを走り通せるのではというのが少しずつ見えてきた」

 「プリンス」という愛称について聞くと、「その名に恥じないように」と謙虚に答え、こう続けた。「もっと、強さのある名を頂けるよう頑張りたい」。プリンスの殻を完全に破った時、「東京五輪代表」の称号を得ているはずだ。【新井隆一】

服部勇馬
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