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金哲彦のレース展望・解説

“MVP”前田穂南は五輪メダル級の力 男子「4強」は冷静さ欠く

女子1位でフィニッシュする前田穂南=東京都港区で2019年9月15日、宮間俊樹撮影

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 五輪代表の座を懸け、選手が持ち味や努力の成果をぶつけあったMGC。マラソン解説者の金哲彦さんにレースを振り返り、勝負のポイントや今後の課題について語ってもらった。【構成・石井朗生】

 男女とも非常に充実したレースだった。13日の記者会見で、選手たちが体をしっかり絞り、闘志をみなぎらせていた様子から、これまでにない高揚感が伝わってきたが、それがレースにもそのまま表れていた。

女子2位でフィニッシュ後、笑顔を見せる鈴木亜由子=東京都港区で2019年9月15日、久保玲撮影

 大会のMVP(最優秀選手)は女子で優勝した前田穂南選手(天満屋)だろう。最後は少しペースが落ちたが、中盤以降に自力でペースを作って独走した内容は、既に五輪のメダルに近い力があることを示した。今後の1年、さらに磨きをかければ五輪も楽しみだ。

 2位の鈴木亜由子選手(日本郵政グループ)は最後まで粘れたのは評価できる。だが終盤は1キロあたりのタイムが4分超まで落ちた。前田選手との差は、まだ大きいと言わざるを得ない。

男子1位でフィニッシュする中村匠吾=東京都港区で2019年9月15日、宮間俊樹撮影

 序盤から一山麻緒選手(ワコール)が速いペースで引っ張ったのは、多くの選手にとって想定外だっただろう。そうした展開にも対応し得るウオーミングアップをせずにスタートした選手もいたように見受けられた。

 男子で優勝した中村匠吾選手(富士通)は終始落ち着いていて、無駄な力を使わなかった。それが、13日の記者会見で勝負どころを問われて「40キロから」と答えた通りのレースができた要因だ。

男子3位でフィニッシュする大迫傑(奥)。手前は2位の服部勇馬=東京都港区で2019年9月15日、久保玲撮影

 2位の服部勇馬選手(トヨタ自動車)や3位の大迫傑選手(ナイキ)は、他の選手の動きに反応しすぎたのが最後に影響した。最初から飛び出した設楽悠太選手(Honda)や中盤で後退した井上大仁選手(MHPS)も含めた「4強」は、注目された重圧もあり、普段の冷静さを欠いたようにも見えた。全体的に、冬のマラソンのタイムでは目立たなくても、きちんと練習を積み、レースでは終盤まで無駄な力を使わない、昔から言われるマラソンの「王道」を実践できた選手が実力を発揮していた。

 本番とほぼ同じ条件のレースを経験できたのは日本の利点だ。男女とも最初の5キロの下りで足に大きな負担がかかると、その後の走りにも大きく影響することが示された。五輪では、この部分の走り方を十分に考える必要がある。

 ペースメーカー不在で展開が予想できず、2位以内の結果も求められたMGCは「本当の強さ」が問われた。どの選手も指導者も、レース中はもちろん、長い練習の日々からあらゆることを考え、実践する努力や工夫を重ねたに違いない。この経験は東京五輪後にも必ず生きる。今後は国内でもペースメーカーを置かないマラソンがあってもいいのではないだろうか。

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