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毎日新聞

車いすフェンシングの英国代表と記念写真に納まるパラリンピック英国代表団長のペニー・ブリスコーさん(中央)=英国パラリンピック協会提供

東京・わたし

チケット完売のロンドンパラ 英国選手団長ブリスコーさんに聞く成功の秘訣

 パラリンピックで初めてチケットを完売し、国民の関心を集めた2012年ロンドン大会は、史上最も成功したパラリンピックと言われています。パラリンピック英国選手団長のペニー・ブリスコーさん(54)に、パラリンピック成功の秘訣(ひけつ)を聞きました。【聞き手・芳賀竜也】

    記者会見で記者の質問に答えるペニー・ブリスコーさん=英国パラリンピック協会提供

     ――東京パラリンピックも開幕まで300日を切りました。ロンドン大会前と比較して感じることは?

     ◆英国パラリンピック委員会の同僚たちが、今年の夏に開催されたテスト大会に参加しました。現状の計画がどうなっているか、インフラの整備がどの程度進んでいるのかなどの報告を受けていますが、私たちはすべての面で高く評価しています。

     ――ロンドン大会の2年前、パラリンピック選手を一人でも知っているロンドン市民は1%に満たなかったという調査結果があります。どのようにしてチケット完売まで持っていったのですか。

     ◆それは決して、私の成果ではありません(笑い)。とにかく(パラリンピックを英国内で放送した)「チャンネル4」に脱帽ですね。大会中だけではなく、大会前や終了後もとても大きな貢献をしてくれました。視聴者の心の中の壁を壊し、障害についてや障害者エリートスポーツへの理解を深めてくれたと思います。

     他にも2点ポイントがあります。1点目は、国内すべての初等、中等教育機関において、生徒たちが何らかの形で五輪・パラリンピックについて学習しました。教育を通して、パラリンピックについても周知が図られたのです。2点目は、選手によるアンバサダー(広報大使)活動で、障害者スポーツに関する理解が広まったことが挙げられます。

     ――日本は16年リオデジャネイロ大会で金メダルを一つも取れませんでした。一方、英国は国・地域別ランキング2位の64個。パラスポーツの国際的競技水準が年々、上がってきていると感じます。

     ◆私たちは東京大会に大きな期待を寄せています。過去大会における英国チームの実績をさらに上乗せし、さらなる成功を勝ち取っていきたい。リオデジャネイロ大会は英国チームにとって、非常に大きな成功を収めた大会でした。パラスポーツの世界で、競争がますますし烈になっているのを感じます。選手一人一人がまず出場権や代表切符を勝ち取り、来年の本番に向けて努力をしてほしい。

     英国の選手がどれほど東京大会を楽しみにしているか一例を紹介しましょう。リオデジャネイロ大会のカヌーで金メダルを獲得した選手が「日本人ほど親切な国民はいない。自分を歓迎してくれ、我が家に戻ったような実感をさせてくれる場所は日本以外にない」とフェイスブックに投稿しました。選手がいかに東京大会を待ち望んでいるかわかるでしょう。

     ――一方で、国際パラリンピック委員会(IPC)は、日本のホテルのアクセシビリティー(利用しやすさ)について懸念を持っています。

    2016年リオデジャネイロ・パラリンピックの英国選手団旗手と並ぶペニー・ブリスコーさん(右)=英国パラリンピック協会提供

     ◆アクセシビリティーに関しては、関係者全員が懸念を抱いていることは事実だと思います。IPCのパーソンズ会長が懸念を示された談話も目にしました。私たちの気持ちも反映したコメントと受け止めていますが、英国チームの事前キャンプ地である横浜市と川崎市の準備に関しては、大きな進捗(しんちょく)があったと評価しています。

     ――英国チームが横浜市のホテルからバリアフリー化の費用を請求され、チームはあぜんとさせられたという英紙報道もありました。

     ◆事前キャンプの件ですが、私たちは素晴らしい施設があるということで横浜と川崎をキャンプ地に決めました。確かに宿泊に関して課題はありますが、私たちは林文子横浜市長をはじめ市当局のチームには非常に感謝しています。

     日本で話題になっている課題は、世界中でパラ選手が直面する課題と同じで、特異なケースではありません。我々のパートナーである横浜市や川崎市、慶応大が解決策を見いだすため、多大なる努力をしてくださっていることに感謝しています。

    ペニー・ブリスコー

     1965年、英国生まれ。カヌー・スラロームの選手として83年から13年間、年代別の英国代表入りを果たす。2002年から英国パラリンピック協会のスポーツディレクターを務め、14年ソチ冬季、16年リオデジャネイロ、18年平昌冬季の各パラリンピックで英国選手団長を務めた。20年東京パラリンピックでも英国選手団長としてチームを率いる。

    芳賀竜也

    毎日新聞東京本社運動部。1976年、北海道生まれ。2002年入社。北海道報道部を振り出しに東京運動部で水泳、フィギュアスケート、パラスポーツ、東京社会部で東京都庁などを担当。五輪・パラリンピックを夏季2回、冬季4回取材。趣味は歯磨き、靴磨き、床磨き。