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毎日新聞

インタビューに答えるマカリミ・アデチュブ駐日ベナン大使=東京都文京区のベナン大使館で2019年11月12日午後1時17分、大島祥平撮影

東京・わたし

八村効果で国のイメージアップなるか ベナン大使の秘策とは…

 米プロバスケットボールNBAのウィザーズで、1年目から活躍する八村塁選手(21)は、父の出身地である西アフリカ・ベナンを自らのルーツとして大事にしています。マカリミ・アデチュブ駐日ベナン大使(66)に、八村選手の活躍の影響や応援の思いを聞きました。【聞き手・小林悠太】

    八村塁選手(左)と握手を交わすマカリミ・アデチュブ駐日ベナン大使=アデチュブ大使提供

     --八村選手は6月のNBAドラフト会議で日本選手初の1巡目指名(全体9位)され、開幕戦から中心選手として活躍しています。

     ◆ベナンにとっても、非常に素晴らしいことです。彼の活躍で日本でのベナンのイメージは変わりました。ベナンはアフリカの中でも小さな国(面積は日本の約3分の1、人口約1100万人)です。以前は国名も知らない人が多かったですが、多くの人に良い印象を持ってもらっています。八村選手は、日本とベナンの友情関係のシンボルです。日本に住んでいるベナンの人も誇りに思っています。私も他国の駐日大使のパーティーに招かれると、「八村選手の父の出身国の大使」と紹介してもらえるようになりました。たまに八村選手の父親だと間違われます(笑い)。

     --以前、ベナン人のテレビタレントが人気になったこともありますが、ベナンゆかりの日本人アスリートの活躍は八村選手が初めてです。アスリートだからこそ果たせる役割はあると思いますか。

    ニュージーランドとの試合で、相手と競り合いながらシュートを狙う八村塁選手=千葉市中央区の千葉ポートアリーナで2019年8月12日、小川昌宏撮影

     ◆お笑いタレントはいましたが、行いの内容によって人々のベナンへの評価は良い方向にも悪い方向にも変わってしまいます。スポーツ選手の方が良い影響を与えるように思います。特にバスケットやサッカーのようなチームスポーツは、多くの人が注目して応援します。八村選手が活躍することの意義は大きいです。

     --来年には東京五輪・パラリンピックがあります。大会組織委員会は基本コンセプトに「多様性と調和」を入れています。日本の多様性の現状を、どのように感じていますか。

     ◆2017年10月に大使に就任して約2年。東京の人たちは多様性を持っていると感じています。道で突然、質問した場合、言葉が通じなくても必死に理解してくれます。公邸でベナンの料理を出しても、受け入れて食べてくれます。私はイスラム教ですが、五輪に向けてはイスラム教の人のためにモスク(礼拝堂)を作り、イスラム法に則して処理した肉や調味料を使ったハラール対応の料理を準備してくれています。ありがたいです。

     --課題を感じることはありませんか。

     ◆日本の一部の人はアフリカが一つの国だと思っています。アフリカは54カ国ある大陸です。それぞれの国で別々の文化があります。グローバリゼーションが進んでいますが、国ごとの文化があることは知ってほしいです。

     --五輪のホストタウンとして埼玉県幸手市と交流事業を行っています。五輪が果たす国際交流の役割をどのように考えますか。

     ◆ベナンの選手が既に幸手市を訪れて子供たちと交流しています。子供たちはベナンの伝統楽器を演奏し、私たちの文化を学んでくれています。非常に意味があります。

     --東京五輪で、ベナンの選手と八村選手にどのような期待をしていますか。

     ◆ベナンでは陸上の選手たちに一番期待をしています。ただ、バスケットやサッカーは出られません。バスケットについては、私たちは八村選手がいる日本代表を応援します。8月に埼玉であった日本とチュニジアの親善試合を観戦しましたが、同じアフリカのチュニジアではなく、日本を応援しました。五輪でも精いっぱい応援したいと思っています。12月にも米国へ行く予定です。いろいろと話すこともあります。

     --どのようなことを話しますか。

     ◆八村選手は今年、ベナンの大統領と日本国内で面会した際、「将来的にベナンでバスケットのプロジェクトをしたい」と話してくれました。詳細はまだ秘密ですが考えていることがあります。12月に米国で話を詰める予定です。また、在日大使館としても、来年の東京五輪までにいくつか八村選手の関連イベントを実行したいと考えています。一つは八村選手の故郷の富山へ行き、親族や学校時代の恩師、友人の動画を撮影して、インターネット上で公開することです。地元の自治体にも表敬訪問を行って、協力関係を模索していきます。そのほかもいろいろと考えているので、楽しみにしていてください。

    小林悠太

    毎日新聞東京本社運動部。1983年、埼玉県生まれ。2006年入社。甲府支局、西部運動課を経て、16年から東京本社運動部。リオデジャネイロ五輪を現地取材した。バドミントン、陸上、バレーボールなどを担当。学生時代、184センチの身長を生かそうとバレーに熱中。幼稚園児の長男、次男とバレーのパスをするのが目下の夢。