メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

スポーツ♡マンガ for TOKYO2020

「キャプテン翼」現実がマンガに近づき、追い越した 「不毛の時代」に一大ブーム

シュートを怖がるようになった仲間のGKにアドバイスした言葉。「サッカーを楽しむ」という作品を象徴する名言 Ⓒ高橋陽一/集英社

[PR]

 1981年に「週刊少年ジャンプ」(集英社)で連載が始まった「キャプテン翼」は、日本のサッカー人気の火付け役となった。それから約40年。日本はワールドカップ(W杯)の出場常連国となり、日本人選手が海外クラブで当たり前にプレーをする時代になっている。作者の高橋陽一さん(59)は「現実がマンガに追いつき、追い越した」と振り返る。

「キャプテン翼」の作者、高橋陽一さん=東京都千代田区で2019年10月16日、梅村直承撮影

 「小さい頃は野球が好きで、サッカーはよく知りませんでした。でも78年のW杯アルゼンチン大会をテレビで見ていたら、レベルの高いプレーやサッカーの持つクリエーティブさがすごく楽しくて。面白いマンガを描けば、読者もサッカー自体を面白いと思ってもらえるんじゃないかと。それが連載のきっかけでした」

 80年代当時はまだ日本にサッカーのプロリーグはなかった。W杯、五輪出場も遠い「不毛の時代」だったが、主人公の大空翼には「日本のW杯優勝」の夢を掲げさせた。

ジュニアユース世界制覇時のスピーチ。W杯優勝という目標に向け、翼は今も走り続けている Ⓒ高橋陽一/集英社

 「描きながら『日本代表に強くなってほしい』という思いもあったし、いつかW杯、そしてまた五輪に出てほしいという思いも込めていました。大きなことを成し遂げるには天真らんまんで、何にでも前向きに楽しむことが大事と考え、『ボールはともだち』というせりふが生まれました」

 個性豊かなライバルとの戦い。仲間との友情。ドライブシュートやスカイラブハリケーンといった「必殺技」に子供たちは熱狂した。小学生年代の日本サッカー協会登録選手数は、連載が始まった時は約12万人だったが、連載終了の88年には約24万人と倍増。今では小学生の「なりたい職業ランキング」でサッカー選手は野球選手と上位を争う。

 「私だけではなくて例えば『巨人の星』では野球、井上雄彦先生の『スラムダンク』ではバスケットボールの人気が出たり。日本では文化としてのマンガが影響力を持つものなのかなと思います」

 影響を受けた一人が世界で活躍した元日本代表の中田英寿氏(42)だった。その姿に憧れた少年たちが背中を追いかけて成長していく循環は、マンガ家冥利に尽きる。

 「現実がマンガに近づき、追い越されたと中田さんの時は思いました。セリエA(イタリア1部リーグ)でオーバーヘッドキックでゴールを決めたりして『これマンガで描こうと思っていたんだけどな』と」

 「キャプテン翼」はアニメ化もあって世界中に広がり、ジダン氏(元フランス代表)や、イニエスタ選手(元スペイン代表)ら超一流選手もファンを公言してはばからない。

 物語は終わっていない。シリーズ最新作の「キャプテン翼 ライジングサン」は五輪でU23(23歳以下)日本代表の翼たちが優勝を目指して戦っている。2020年東京五輪代表候補の若い年代にも「キャプテン翼」を好きな作品に挙げる選手は多い。

 「素直にうれしいですし、開催国なのでぜひメダルをとってほしい。若い選手には時代の変化も感じます。久保建英選手(18)、中井卓大選手(16)がバルセロナやレアルマドリードのようなクラブの育成組織で育ったように、小さい子が最初から『レアル、バルサに行きたい』という世界になってきている。マンガでは描いていなかったことで、現実がマンガっぽいですよね」

 東京都社会人サッカー1部リーグからJリーグ入りを目指す「南葛SC」(葛飾区)の代表取締役も務める。これまで得た知見や人脈などを現実社会に還元しようとしている。

 「取材で訪れた南米や欧州には小さい町にも『我が町』のサッカークラブがあった。日本もJリーグができてクラブは増えつつあるが、自分の町にもできればみんなが楽しめて、町にも貢献になるかなと。最終的にはスタジアムができて、そこにキャプテン翼のミュージアムがあったら理想的です」

 翼と共に歩む夢は、まだまだ続く。【大島祥平】

同じ年に「タッチ」も連載スタート

 「キャプテン翼」の連載がスタートした1981年は、「名古屋五輪」が幻となった年だった。名古屋市は88年の五輪開催を目指していたが、国際オリンピック委員会総会の投票で韓国・ソウルに敗れ涙をのんだ。

 「週刊少年サンデー」(小学館)で、あだち充さんの野球マンガ「タッチ」の連載が始まったのもこの年だ。出版界では写真雑誌の創刊が相次いだ。また、黒柳徹子さんの自伝的物語「窓ぎわのトットちゃん」が空前の大ヒットとなった。

 世間では子猫に「ツッパリ姿」をさせた「なめ猫」の大ブームが起きた。ロッキード事件の公判では、元首相秘書官の元妻が検察側の証人として出廷し、田中角栄元首相の「5億円受領」を裏付ける証言をして一躍、時の人に。「ハチは一度刺したら死ぬといいます。私も同じ気持ちです」から出た「ハチの一刺し」という言葉も話題になった。

キャプテン翼

 主人公・大空翼の成長と活躍を描きながらサッカーの楽しさを伝えた作品。仲間やライバルたちと切磋琢磨(せっさたくま)しつつ小・中学校で全国優勝し、ジュニアユース国際大会でも頂点に立つ。「ワールドユース編」「ROAD TO 2002」「GOLDEN―23」「海外激闘編 EN LA LIGA」などの続編があり、2014年から「ライジングサン」を連載中。単行本のシリーズ国内発行部数は7000万部。フランスやイタリア、メキシコなど約20の国・地域でも出版され、アニメも多くの国で放送されている。

おすすめ記事
広告
毎日新聞のアカウント
ピックアップ
話題の記事

アクセスランキング

毎時01分更新

  1. 岐阜・中3転落死「主因は前日のいじめ」 トイレで便器に頭入れる姿勢とらせる 第三者委が認定

  2. 立憲、ジャパンライフ会長と首相「35年来の知人だった可能性」指摘

  3. 準強制わいせつ容疑 エヴァ制作「ガイナックス」社長を逮捕 警視庁

  4. 大阪・梅田の地下街に日本酒が出る蛇口、おちょこ1杯200円 新潟のアンテナショップ

  5. 神戸市立小教諭いじめ「連帯責任」 小中高校長ら320人ボーナス増額見送り

のマークについて

今週のおすすめ
毎日新聞社は、東京2020大会のオフィシャルパートナーです