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「SLAM DUNK」もっとバスケがしたいです!! プロ挑戦の阿部翔太さん 心動かすプレーで復興の力に

マンガ「スラムダンク」は主人公がシュート練習に励む場面が気に入っているという仙台89ERSの阿部翔太選手=仙台市青葉区で2019年11月19日、和田大典撮影

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 1990年に「週刊少年ジャンプ」で連載が始まった「SLAM DUNK」(スラムダンク)は多くの読者の心をつかみ、ブームを生み出したバスケットボールマンガの金字塔と言われる。プロバスケBリーグ2部・仙台89ERSでプレーする阿部翔太さん(26)も作品にのめり込んだ一人だ。出身は東日本大震災で被災した宮城県石巻市。「復興に少しでも役立てる選手になりたい」と願っている。【斎藤文太郎】

 「両親と5日間くらい連絡が取れず、もう死んでしまったと思って。電話がつながった時は心からほっとしました」

 2011年3月11日。東北学院高校(仙台市)の2年生だった阿部さんは、石巻市の実家が津波で浸水。通学に使っていた線路も流されたことから、仙台市内で急きょ下宿を探した。バスケ部も1カ月以上、活動を休止した。

「スラムダンク」新装再編版1巻Ⓒ井上雄彦 I.T.Planning,Inc.

 「僕たちの世代は夏の全国大会出場を狙えると感じていたので、練習できず不安でした。日常とかけ離れた生活で心配もあったけれど、(バスケのゴール)リングがある近くの公園で走り込んだり、ボールの感触を確かめたりしたことが心の支えでした」

 父が指導者だった影響で小学1年でバスケを始めた。スラムダンクとの出会いは中学時代。友人宅で読むと、試合の描写や選手の心情の現実感にひきつけられた。

 「父親に『こんな面白いマンガがあるんだよ』って話したら、『うちにもあるよ』って。ほとんど全巻そろっていました。自分で買い足して、その後は何回読んだか数え切れないですね。お気に入りは(主人公の)桜木花道がシュート練習を一人で振り返り、改善点に気づくシーン。自分とも重なるなぁ、と思って」

 大学卒業後はプロ入りも考えたが引退後の生活を案じ、地元の復興に携わるため16年春に仙台銀行に入行。宮城県選抜チームの一員として毎年国体に出た。その頃、注目を浴びていたのが同世代の富樫勇樹選手(千葉ジェッツ)や田渡凌選手(横浜ビー・コルセアーズ)だ。

 「刺激を受けました。もっと高いレベルでバスケをしたい気持ちが抑えられず、思い切って退職し、練習生として89ERSに入りました」

 5月に正式契約を結んだ。今はスタメンに定着することと仲間からの信頼を得ることを目標に日々汗を流す。

 「犬猿の仲だった桜木と流川(楓)は終盤の試合でパスを出し合い、勝利をたぐり寄せる。信頼がないとパスできない場面です。仲間を信頼する大切さもスラムダンクが教えてくれたと思います」

 チームの桶谷大ヘッドコーチは阿部さんのことを「例えるなら桜木みたいな存在」と評する。190センチと長身で身体能力も抜群だが、組織的なチーム戦術を理解した動きには課題が多い、という意味だという。

マンガ「スラムダンク」は主人公がシュート練習に励む場面が気に入っているという仙台89ERSの阿部翔太選手=仙台市青葉区で2019年11月19日、和田大典撮影

 「痛感しています。試合を動画で振り返ると、全体の中でこう動けばよかったという点が多い。でも体の強さや速さはひけをとらないと思う。伸びしろがあると思ってもらえるのはうれしいです」

 自分がマンガで心を動かされたように、プレーを通じて地元を元気づけたいと考えている。

 「就職した時に抱いた『復興の役に立ちたい』という思いは変わりません。被災地のためにも頑張って活躍します」

「失われた20年」のはじまり、「ジャンプ黄金時代」

 「スラムダンク」の連載が始まった1990年は国際政治にとって歴史的な年だった。前年12月に東西冷戦に終止符が打たれ、90年10月には統一ドイツが始動した。一方、中東ではイラクがクウェートに侵攻し、翌年の湾岸戦争のきっかけになった。国内では10月に日経平均株価が2万円を割り、バブル崩壊につながっていく。「失われた20年」とも呼ばれる経済低迷の時代への入り口となった。平成の即位式が行われたのもこの年だ。

 テレビで「ちびまる子ちゃん」(さくらももこ)のアニメ放送が始まり、テーマ曲「おどるポンポコリン」とともに一大ブームを巻き起こした。同作と並んで今や国民的アニメとなっている「クレヨンしんちゃん」(臼井儀人)の連載も「漫画アクション」(双葉社)で始まった。「週刊少年ジャンプ」(集英社)では冨樫義博さんの「幽☆遊☆白書」の連載がスタート。「スラムダンク」や鳥山明さんの「ドラゴンボール」とともに「ジャンプ黄金時代」をリードした。

 スポーツ界では長野市が98年冬季五輪の開催地に立候補(翌年に招致決定)。野球界では近鉄の野茂英雄投手が1年目に18勝を挙げ、最優秀選手や新人王などに選ばれる大活躍を見せた。一方、「マサカリ投法」で知られたロッテの村田兆治投手が引退した。

 世相では、「オヤジギャル」「アッシーくん」「ファジィ」といった言葉が流行した。秋篠宮ご夫妻の結婚もこの年で、「紀子さまフィーバー」が続いた。

スラムダンク

 1990~96年、週刊少年ジャンプ(集英社)で連載された。バスケットボールに関して素人の高校1年生・桜木花道が憧れの女性と親しくなりたいという動機でバスケ部に入部し、個性豊かなチームメートと一緒に選手として成長していく。作者は井上雄彦さん。「あきらめたらそこで試合終了ですよ…?」「左手はそえるだけ」などの名言を生み出した。コミックスは31巻まで発行され、累計部数は約1億2000万部。日本バスケットボール協会が集計する競技者登録数は連載が始まった90年の81万560人から95年には102万8450人まで伸び、国内の競技人口拡大にも一役買った。

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