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毎日新聞

国立競技場の屋根部分の建設に携わった小山聖史さん=東京都新宿区で2019年11月25日、大西岳彦撮影

Together

屋根をかけた「国立マニア」のサッカー少年 国立競技場ものがたり㊥ 

 2019年1月31日午後3時、全長約60メートルの屋根の骨組み108列がつながった。3年かけた国立競技場建設で最難関とされた屋根工事。根元が数ミリくるうと先端は10倍近くずれるとされ、1年を要した。担当課長の小山聖史(きよし)さん(36)は「ほっとしたけれど、寂しかったです」。その瞬間、複雑な思いがこみ上げた。

 小学1年でサッカーを始めた。Jリーグが開幕した1993年、初めて旧国立競技場で観戦したヴェルディ川崎(現・東京ヴェルディ)の試合。鮮やかな緑のユニホームを着て躍動する「カズ」こと三浦知良選手(52)を見て、「目の前で走っているだけで感動した」。スタジアムは憧れの場所になった。

 サッカーをやめた後も日本代表の試合を見に通った。14年5月、旧国立で行われた解体前最後のイベントにも参加。「建物がなくなっても何か手元に置いておきたい」と、記念販売された青色の座席と10センチ四方の芝を購入した。

 幼い頃からガンダムやミニ四駆のプラモデルを作るのが好きで、「死んでも形が残るモノ作りをしたい」と日大の建築学科に進学。大空間の建築に携わるのが夢になった。卒業論文のテーマは旧国立で、メインスタンドにしかなかった屋根を全体にかける研究をした。旧国立の建設を担った大成建設に06年に入社。ホテルや警察署、学校などの現場監督を務めていたが、旧国立の建て替えと東京五輪・パラリンピックの開催決定に、「チャンスが訪れた」と心を躍らせた。

自費でチケット購入 初観戦はボルト

 14年10月、新婚旅行先の欧州で、国立との「赤い糸」を感じさせる出来事が起きた。地中海クルーズの途中、天候不順で航路変更になり、連れて行かれたのが古代五輪発祥の地とされるギリシャのオリンピア遺跡だった。

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