メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

ALL FOR 2020

東京へ ともに歩む

毎日新聞

国立競技場の設計管理技術者、川野久雄さん=東京都新宿区で2019年11月27日午後2時4分、内藤絵美撮影

Together

「世界一のユニバーサルデザイン」実現へ〝特定プロジェクト部長〟の信念 国立競技場ものがたり㊦

 国立競技場の工事が始まって1年が過ぎた2017年12月11日。建設現場近くの会議室で、設計管理技術者の川野久雄さん(55)は障害者や高齢者、子育てグループの代表者と向き合っていた。「水洗ボタンと非常呼び出しボタンが並んでいて、視覚障害者は間違って押してしまう」。車椅子の男性が意見した。子育て関係団体の女性は「クッションがついているベビーチェアもあるので検討してほしい」。川野さんはうなずきながら、赤ペンを紙に走らせる。「世界一のユニバーサルデザイン」の実現に向け、設計はヤマ場を迎えていた。

 1991年に大成建設に入社し、5年目で札幌ドームの設計に携わった。野球とサッカーで併用する全天候型多目的施設。人工芝と天然芝を自動交換する世界初のシステムのコンペに、著名な建築家・原広司氏らと組んで参加した。ドームの観客席を開閉式にし、天然芝のグラウンドごと空気圧で7・5センチ浮かせて屋外に移動させる「ホバリング方式」を採用。ドーム内の空調は「冬は氷点下1、2度の札幌だが、20メートルぐらい掘ると地熱で9度ぐらいある」と、北の大地の温熱環境に着目した。

 札幌ドームで手応えをつかんだ。「日本の技術をアジアで試したい」と、08年北京五輪のメインスタジアムのコンペに原氏と参加した。開閉式の屋…

この記事は有料記事です。

残り1628文字(全文2172文字)