秘書官が見た「海軍内部」の真実
昭和の時代に存在を刻んだ「怪物」たちを、現代史研究の第一人者がいま新たな問題意識で論じ直す好評連載。今回は、海軍軍人で連合艦隊司令長官だった山本五十六の第2回。山本が三国同盟に反対した理由と、それによって受けた迫害の実態にさらに迫る。(一部敬称略)
前号で昭和十三(一九三八)年から十四年八月までの三国同盟に傾斜する陸軍と、それに抗した海相の米内光政、海軍次官の山本五十六、海軍省軍務局長の井上成美(しげよし)のトリオの動きを追った。
この三人は反三国同盟の主要メンバーであり、とくに陸軍側は山本の反対論に怒り、肉体的な威圧をかけ続け…
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