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大災害列島「ニッポンの異常事態」

「停電」「断水」のサバイバル術 熱中症そして伝染病の恐怖

札幌駅前通地下広場「チ・カ・ホ」で一夜を明かす人たち。市が一部を開放し毛布や水を用意した=札幌市中央区で2018年9月7日午前5時半、貝塚太一撮影

 北海道で9月6日未明に発生した震度7の地震の影響で道内のほぼ全域が停電し、一部地域は断水した。大災害により、電気と水が失われる緊急事態は、列島のどこで起きても不思議ではない。最低限の備えをどうするか。インフラ途絶のサバイバル術を探った。

     約295万戸の明かりを消し去った今回の停電。電車やバスなどの交通インフラはもちろん、宿泊施設や医療現場にも大打撃を与えた。北海道電力は8日に99%が停電から復旧したと発表したが、予断は許さない。

     電力問題に詳しいユニバーサルエネルギー研究所代表取締役の金田武司氏は「このような大停電は東京などの大都市でも起きる可能性がある」と懸念する。

    「今回は道内の電力需要の半分以上を担う苫東厚真(とまとうあつま)火力発電所が地震の影響で止まり、需給のバランスがとれなくなったことが停電の原因でした。電力は世間で思われる以上にデリケート。停電はいつどこで起こってもおかしくはない」

     電力は蓄積できない。また供給量は需要量と同量に合わせないと、双方の周波数がズレて、大規模な停電を引き起こすこともあるという。つまりブラックアウト―大停電は地震でなくても起こりうる。

    「余力が3%を切ると停電の恐れがある。つい最近も寒波で暖房需要が高まった2018年1月下旬に、東京電力管内の需要が供給の95%を上回る危機的状態になりました」(金田氏)

     すぐそこにある停電のリスク。普段、電力に頼りきりの生活を送る我々は、相応の準備をするべきだろう。とはいえ、防災マニアでもない限り、あれもこれも準備するのは難しい。ここでは「これだけは絶対に準備しておくべき」という最低限の備えを確認しておこう。

     停電時の最優先課題は、部屋の明かりの確保だ。防災・危機管理アドバイザーの山村武彦氏のオススメグッズは「LED(発光ダイオード)のランタン」。

    「ランタンとは手提げ型の小型ランプです。乾電池が電源なので停電時の室内の明かりに最適です。家電量販店やアウトドアショップで1500円から3000円程度で購入でき、1週間程度はもちます」

     次に、現代人の“命綱”、スマートフォンや携帯電話について。ITジャーナリストの三上洋氏はこうアドバイスする。

    「停電時にもスマホや携帯電話を充電できるようにモバイルバッテリーを防災バッグに入れておきたい。スマホは連絡のみならず、情報収集にも欠かせない必需品。電源が必要な固定電話と異なり停電時も使える。カメラのライトは懐中電灯の代わりにもなりますよ」

     さまざまな種類がある。どれを選べばいいのか。

    「容量が1万ミリアンペア以上のものがオススメです。3~4回はスマホを満タン充電できる。値段は3000円程度です」(三上氏)

     これがあれば心強い。

     三上氏が続ける。

    「停電は電話やインターネットの通信を中継する基地局にも及びます。基地局には非常用電源がありますが数日しかもたない。停電が長期化し、基地局のバッテリーが切れれば電話が通じない地域も生じる」

     電話も、電気なしではやっていけないのだ。

     一方、偶然、北海道に滞在し、停電に遭遇したフリーライターの鈴木智彦氏は意外な盲点を指摘する。それは“お金”の話―。

    「停電するとクレジットカードが使えません。頼りになるのは現金ですが、ATMが動かないので、現金を引き出すのは困難なのです。防災バッグに1万円を忍ばせておくと、間違いなく役立つでしょう」

     経験者の教訓である。

    「備え」あればこそ命救う

     北海道大地震では一部地域の断水も発生。震源地に近い厚真町や安平(あびら)町などでは全戸が、札幌市内では計約1万5000戸が断水した。停電でポンプが停止したことが原因のようだ。

     断水対策に、何が必要なのか。武蔵野大非常勤講師で水ジャーナリストの橋本淳司(じゅんじ)氏が語る。

    「まずは飲み水を確保しましょう。災害時には給水車も来ますが、普段から10リットルのポリタンク二つに水道水を入れ、自宅に備蓄しておくと安心です」

     10リットルのポリタンクは1000~2000円程度で買える。ただ、ポリタンクに入れる前に、水道水を煮沸してはいけない。

    「水道水に含まれる塩素は水が腐るのを防ぎます。熱を加えると塩素が蒸発するので厳禁です。また、復旧作業をしていると水を飲むのを忘れがち。こまめな水分補給で、熱中症を回避しましょう」(橋本氏)

     飲料水と一緒に準備すべきなのが、衛生用の水である。橋本氏が解説する。

    「人は1日に250リットル程度の水を使いますが、飲むのは2リットル程度。あとはトイレや風呂、洗濯などの衛生用です。普段からバスタブにフタをし、お風呂にためた水を捨てず、緊急時に備えましょう」

     衛生用の水が極端に少ない状況下では工夫も必要。

    「風呂がわりにバケツ1杯の水で体を洗います。ペットボトルを半分に切った容器を桶(おけ)にして、頭から少しずつ洗うのがポイント。食器はラップをかけて使えば洗わずにすみます。洗濯には洗濯板を使い、洗剤は最低限にすれば、すすぎ水の量が減らせます」(橋本氏)

     災害用の仮設トイレの設置には最低3日はかかる。注意を要することもある。

    「3日分の簡易トイレは必要です。夏場、衛生環境が悪化すると避難所ではノロウイルスなどによる伝染病のリスクがあるので、消毒液も必要です」(橋本氏)

     ボタンを押せば電気が使え、蛇口をひねれば水が出る……。そんな「当たり前」はいつ途切れるかわからない。備えあるのみだ。

    (本誌・河野嘉誠/松岡瑛理)

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