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倉重篤郎のニュース最前線

暗転する新年 寺島実郎、藤木幸夫、酒井啓子 賢者が読む激動の世界と日本

中東海域への自衛隊派遣でアフリカのジブチに向け出発するP3C哨戒機=那覇市の海自那覇航空基地で2020年1月11日、徳野仁子撮影

日本の知恵袋・寺島実郎/横浜(ハマ)のドン・藤木幸夫/中東研究の俊英・酒井啓子

▼海自「中東派遣」の愚策

▼IR汚職で揺らぐ安倍政権…

 内憂外患。2020年はこの言葉がもっともふさわしい幕開けとなった。米政権がイラン革命防衛隊司令官を爆殺して世界の不安定化を促進し、国内では「桜を見る会」疑惑に加えてカジノ汚職が事件化して政権が揺らぎ続けている。私たちはこの状況をどう捉え、どこへ向かうべきなのか。賢者たちが英知を傾ける。

 バーバラ・タックマンの『八月の砲声』を読んだのはいつだったか。

 第一次世界大戦が、実は当事者の誰もが戦争の意思がなかったにもかかわらず、サラエボの一発の銃声から欧州全体にまで広がる長期の大戦争と化していく過程をつぶさに検証した教訓的な歴史ノンフィクションだ。ケネディの愛読書であり、米国の安全保障担当者の必読の書との触れ込みで手に取った記憶がある。

 米政権がイランのソレイマニ司令官を殺害したニュースに接した時に思い浮かんだのがそれだった。トランプ大統領が殺害後に、米国に戦争の意図はない、とツイッターするほどにその連想が強くなった。もちろん、当時と今を安直に比較できないが、バルカンならぬ中東の火薬庫に火を投じたことは間違いあるまい。

 かくして2020年の世界は、米中両大国の対立のみならず、中東火薬庫の潜在的発火という、これまた世界の政治経済に致命的な影響を及ぼす大懸案を抱え込んでの幕開けとなった。

 特に、日本にとっては深刻である。米中対立の狭間(はざま)でどう位置取りするかは、日本の安保政策上「国家百年の計」になりつつあるし、中東暗転の中でどうエネルギー外交を進めるかは、なお石油依存度の高い日本経済にとって死活的課題といえる。この二正面に日本外交がどう取り組むか。従来の対米従属路線を超え、自尊自立の道を切り開けるかが大きな岐路となろう。

 内政はどうか。越年した「桜を見る会」疑惑は、安倍晋三政権の権力私物化・公文書廃棄体質を問い続けることになるだろうが、これに加えてカジノ(IR=統合型リゾート)利権をめぐる贈収賄事件が勃発、政権を揺さぶっている。看板政策にケチがついただけではなく、捜査の進展によっては政権中枢の力関係を変える可能性がある。中東を襲った事件の背景と展望を深め、カジノ事件については政局への影響を考える。

 ところでその前に一言釈明すべきことがある。

「桜を見る会」との関連でクローズアップされたジャパンライフの山口隆祥会長と私との関係である。山口氏が自民党の二階俊博幹事長を呼んで会食した席に同僚記者らと共に誘われたことがあった。実力者の二階氏が時の政局をどう見ているのか、その取材に行ったつもりであった。

 ただ、その後判明したことは…

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