メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

倉重篤郎のニュース最前線

寺島実郎・日本総研会長が構想 コロナ後の日本

緊急事態宣言の延長について記者会見する安倍晋三首相=首相官邸で2020年5月4日午後6時6分、竹内幹撮影

 新型コロナ感染拡大に対峙して、本欄「ニュース最前線」では、PCR検査と補償の圧倒的拡充を訴え続けてきた。今回は寺島実郎日本総研会長が登場、より大局的な視野から、コロナ問題が何を炙り出したか、コロナ後に私たちはどこへ向かうべきかを語ってもらう。

 ようやく安倍晋三首相から新型コロナ問題で「責任を痛感」という言葉が出てきた。4日の記者会見で緊急事態宣言を5月末まで延期すると発表した際のことだ。

 先日この欄で取り上げたイタリア人記者のピオ・デミリア氏の質問には、出てこなかったワーディングである。遅きに失した感はあるものの、そこに言及したからには、従来の半身の姿勢を転換し、全責任を自ら負う覚悟を表明した上で、首相にしかできない決断を一つ一つ大胆に下していくことだ。PCR検査の欧米並み拡大と休業補償の実質的拡充が当面の2課題だ。

 思えば2カ月にわたりコロナを追いかけてきた。

 最初の取材は2月中旬。まだコロナを中国問題としてしか見ていなかった時のことだ。児玉龍彦・東京大先端科学技術研究センター教授が問題の深刻さを教えてくれた。後手に回る日本の対応を「薬害エイズ以来の人災だ」と喝破、今後の2課題として入り口であるPCR検査拡大と、出口である重篤者への手厚いケアの重要性を強調された。

 上(かみ)昌広医師をインタビューしたのは、3月初め。なぜ日本のPCR検査が進まないか、その謎を解いてもらった。氏は、政策決定中枢にある政府の専門家会議の臨床軽視、秘匿体質が原因であるとし、その背景を構成組織の戦前からのルーツにまで遡(さかのぼ)って分析、同会議構成メンバーを代えない限りその体質は変わらないと警鐘を鳴らした。上氏はその時点で、収束には1年以上かかる、とも見通した。

 PCR検査の遅れについては、金子勝・慶應大名誉教授の見立てにも説得力を感じた。曰(いわ)く、「危機の初期段階で事態把握と対処がズルズルと遅れ、結果的に危機を拡大した点では、かつてのバブル崩壊後の不良債権処理の失敗と全く同じである」と。初動の失敗が後に響く。氏は、コロナが日本経済に与える影響として、アベノミクスに内在した矛盾、弱点が一気に顕在化するだろうとも予言した。

 コロナと政局も取材した。政権の一連の後手悪手については、小沢一郎氏の言が本質を突いた。「コロナが国民の生活、生命を危うくしている。つまり政治の根本に関わる大問題だという認識が薄い」。安倍後を狙う石破茂氏には「コロナ対応、私が首相ならこうする」と石破流を展開してもらった。小池晃・共産党書記局長は、政権がコロナ対応で思い切った補償に踏み切れない背景には、森友問題の呪縛がある、つまり、森友の公文書改ざんで財務省に借りを作ったことが影響している、との見方を披露した。いずれも先を見た高い識見だった、と思う。

 この稿ではさらに視野を広げ、コロナ問題の本質、コロナ後の世界を展望したい。ナビゲーターは寺島実郎氏(日本総研会長、多摩大学長)だ。氏がコロナと時代状況について1時間半語り尽くす番組(MXテレビ 4月19日)に刺激を受けた。氏は、平成が始まってから安倍政権7年間に至る日本の歩みについて、金融への過剰依存と、米国への過剰同調という二つの過剰をキーに、日本が政治経済両面で大失速した時期と総括、コロナを機に二つの過剰を排し、日本再生の新機軸を構想すべき時だと主張された。寺島ワールドからコロナをどう俯瞰(ふかん)し、克服するのか。ぜひ聞きたい。まずは、補正予算の評価から…

この記事は有料記事です。

残り4048文字(全文5502文字)

サンデー毎日

サンデー毎日は毎日新聞出版から毎週火曜日に発行されている週刊誌。1922年に日本で初めての総合週刊誌として創刊されました。

おすすめ記事
広告
毎日新聞のアカウント
ピックアップ
話題の記事

アクセスランキング

毎時01分更新

  1. 松尾貴史のちょっと違和感 大阪府知事「うがい薬でコロナ陽性減」 個別商品示す意味あるのか

  2. 「予防効果一言も」「しゃべれなくなる」うがい薬発表翌日の吉村知事一問一答

  3. ジャパンライフ立件へ 被害2000億円、元会長ら詐欺容疑 警視庁

  4. 菅官房長官、アベノマスクしないのは「暑そうで」 ネット番組で

  5. 新型コロナ 新たに10人が感染 確保の155床に115人入院 /滋賀

のマークについて

今週のおすすめ
毎日新聞社は、東京2020大会のオフィシャルパートナーです