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集中連載:確執の令和政治史〈後編〉 ポスト安倍のカオス 岸田は急落 石破は党内不評 非常時は「麻生さん」

首相官邸=本社ヘリから

「1強多弱」と呼ばれてきた永田町の構図が、にわかにほころんできた。首相と官房長官の確執は官邸の不協和音を生み、政治の混乱を招き、支持率に反映してきたからだ。自民党総裁や現衆院議員の任期をにらみ、ポスト安倍の思惑が交錯する永田町をリポートする。

「えっ、こんなにも」

 永田町に衝撃が走った。5月23日夕、毎日新聞の全国世論調査結果が報じられた。内閣支持率は同6日の前回調査から13ポイント減の27%。不支持率は同45%から19ポイント増の64%に跳ね上がった。

「政権がいつ倒れてもおかしくない数字だ。(支持率が)そう簡単に戻ることはないだろうな」

 自民党中堅衆院議員が思わず、こうつぶやいた。

 2012年12月、首相・安倍晋三が返り咲きを果たして7年5カ月余。内閣支持率は高値安定で推移し、安倍は「政高党低」の1強体制を築いてきた。しかし、コロナ禍で状況が一変。NHK、朝日新聞、毎日の世論調査で下落傾向が顕著化し始めたのだ。

 例えば、NHKの3月調査は内閣支持率が42・7%だったが、4月は39%と4割を切り、5月も37・1%と緩やかに下降した。朝日は4月が41%、5月中旬が33%。毎日の翌日に報じた5月下旬は29%にまで落ち込んだ。

 支持率30%割れは、政権がいつ倒れてもおかしくない〝危険水域〟とされる。永田町には不支持率から支持率を引いた数値が10以上だと政権運営が不安定化するという〝10%理論〟も伝わる。朝日と毎日の調査は、ともに「10」を大幅に上回っていた。

 今国会閉会後には、前法相・河井克行と妻で参院議員の案里について、検察当局は公選法違反(買収)容疑で立件する方向だとも伝えられている。支持率低下の要因は閉会後もある。

 安倍の自民党総裁の残り任期は21年9月まで。だが、支持率が危険水域入りし、永田町の関心は早くも「退陣時期」と「ポスト安倍」に向かい始めている。それは、衆院議員の任期満了が来年10月に迫ってきたことにも連動している。

 ポスト安倍の最有力と見られていたのは政調会長・岸田文雄。安倍が首相の座を辞した後も求心力を維持し、後事を託す自身の路線の継承者として〝うってつけの人材〟だからだ。

 しかし、岸田は「人気度」が弱点だ。ポスト安倍で本命視されながら、世論調査では〝低空飛行〟のまま。見かねた安倍が、テコ入れに動く。コロナ禍で第1次補正予算案のまとめ役を指示したのが一例だ。

 岸田は「減収世帯30万円給付案」をまとめ、4月7日に閣議決定された。ところが、収まらなかったのは、連立パートナーの公明党だった。支持母体・創価学会からの抗議が殺到し、一律10万円給付案へと舵(かじ)を切らざるを得なくなる。同15日午前、官邸に乗り込んだ公明党代表・山口那津男は安倍に連立離脱も辞さない覚悟を見せて詰め寄った。安倍は屈した。

 安倍は山口を「憲法改正をめぐり、事あるごとにブレーキをかける嫌いな政治家の一人とみている」(首相周辺)という。その山口に大恥をかかされた安倍は周囲に、「彼(岸田)、駄目だねえ」と、ぼやくことしきりだったという。

 かくしてポスト安倍レースは、岸田株急落で本命不在となった。その中、存在感を見せているのが元幹事長・石破茂だ。各世論調査でも人気ぶりは抜きんでる。これまでも石破は安倍政権に一定の距離を保ち、折に触れ異議・批判を唱えてきた。

 コロナ禍対応にも、中国からの入国の制限時期やクルーズ船対応、PCR検査態勢について、「早期の検証が必要だ」と注文を付けた。賭けマージャンで辞任した前東京高検検事長・黒川弘務の振る舞いに批判を展開するなど、言動が耳目を引き付けている。が、党内人気は低い。

「自説を押し付け、批判は得意だが、いざ閣僚に入ると責任を取ろうとしない。官僚からも不評だったとあっては、なかなか信頼を得られないのも当然だ」

 自民党関係者の石破評は手厳しい。安倍が石破に抱く感情はもっと辛辣(しんらつ)だ。

「以前から『石破だけは首相に…

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