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2050年のメディア

文藝春秋で長くノンフィクションの編集者を務めた下山進氏が「2050年のメディア」を展望します。

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第22回 SNSから現場を特定 第三の通信社目指す「JX」の野望=下山進

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米重克洋と、「FASTALERT」の画面。SNSからAIが事件発生を探知し、場所までも告げる。
米重克洋と、「FASTALERT」の画面。SNSからAIが事件発生を探知し、場所までも告げる。

 <Susumu Shimoyama “MEDIA IN 2050”>

 「通信社のコアコンピタンスは速報性にあるから」

 共同通信デジタルの伊地知晋一(いじちしんいち)にそう言われた時、米重克洋(よねしげかつひろ)は、ばっと霧が晴れたような気がした。2014年のことである。

 米重は、中学生のころから起業をしたいと考えていた。聖光学院という横浜の中高一貫の進学校にいながら、勉強よりも、自分の好きな航空業界のニュースを書いて発信するニュースサイトの運営に夢中になっていた。が、ホームページビルダーとブログの投稿機能でつくったこのニュースサイトで、入ってくる収入はアフィリエイト経由のわずか月1000円から1200円。

 これでは、自分の好きな『月刊エアライン』も買えない。

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