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元村有希子の科学のトリセツ

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/149 原発事故の処理費用を原発再稼働で稼ぐ皮肉

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元村有希子論説委員
元村有希子論説委員

「頼りになる原子力」 2010年秋、東京電力が公表した中長期経営計画「2020ビジョン」には、こんなスローガンが掲げられている。

 もちろん、半年後にあの福島第1原発事故が起きることは知る由もない。地球温暖化の原因となる二酸化炭素を削減するため、「ゼロ・エミッション(排出ゼロ)」電源として原子力発電を積極的に進めていこう、という意気込みが見て取れる。 今となっては、強烈なブラックジョークとしか思えない。

 福島第1原発は、廃炉が決まった。廃炉作業は、健全な原発でも30年かかる大仕事だが、3基がメルトダウンしている現状では、ゴールがさっぱり見通せない。 散乱した高線量の核燃料は総重量800㌧以上という。これを回収できるかどうかも、おぼつかない。 廃炉に除染や賠償を加えた事故処理費用は、約22兆円と見積もられている。だが、前例のない難事業のため膨らむことは確実だ。80兆円超というシンクタンクの試算もあ…

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