連載

これは、アレだな

「これは、アレだな」と思うことがありませんか? 作家の高橋源一郎さんが軽妙な筆致で描くコラムです。

連載一覧

これは、アレだな

/61 寂聴さんとアレ=高橋源一郎

  • ブックマーク
  • メール
  • 印刷
瀬戸内寂聴(せとうちじゃくちょう)さん=京都市(きょうとし)で2008年(ねん)
瀬戸内寂聴(せとうちじゃくちょう)さん=京都市(きょうとし)で2008年(ねん)

 瀬戸内寂聴さんが亡くなられた。満九十九歳、大往生といっていいだろう。お正月には、ラジオに出演していただいて、元気なお声を聞いたばかりだった。生前、寂聴さんには、ほんとうにお世話になったので、とても悲しい。追悼の文章は、ほかの所で書かせていただいたので、この欄で、深い敬意をこめて、寂聴さんの「アレ」について考えてみたいと思う。

 この連載のはじめの頃に、寂聴さんの、ほぼ最後の小説といっていい『いのち』について書いた。その『いのち』の十五年ほど前、およそ八十歳の頃に出版された長編が『場所』である。この、野間文芸賞を受賞した大作は、もしかしたら、寂聴さんの最高傑作かもしれない。

この記事は有料記事です。

残り2443文字(全文2732文字)

あわせて読みたい

この記事の特集・連載
すべて見る
この記事の筆者
すべて見る